【はるとあき】もしも「春」と「秋」が文通したら?気づかなかった魅力に気づくファンタジック・ストーリー絵本【3歳 4歳 5歳 6歳】

2024年2月2日

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はるとあき  斉藤倫・うさまる/作 吉田尚令/絵  小学館

春が目を覚まし、冬と交代します。だんだんとあたたかくなり、やがて春は夏と交代します。春は秋に会ったことがありません。冬と夏から話に聞くだけの存在、秋。春は秋に手紙を書くことにしました。

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 季節の美しさ☆☆☆☆☆ 自己肯定感☆☆☆☆☆

はるとあき  斉藤倫・うさまる/作 吉田尚令/絵  小学館

<斉藤倫>
1969年生まれ。詩人。2004年「手をふる手をふる」(あざみ書房)でデビュー。初の長篇物語「どろぼうのどろぼん」(福音館書店)で、日本児童文学者協会新人賞、小学館児童出版文化賞を受賞。

<うさまる>
横浜生まれ。日本大学芸術学部デザイン科卒。広告や商品企画、映像制作などの仕事に携わり、絵本の制作へ。おもに斉藤倫との共作を手がけ、「はるとあき」がデビュー作となる。

<吉田尚令>
1971年生まれ。書籍や絵本の作画を主に手がける。絵本「希望の牧場」。

 素敵な絵本のご紹介です。
 初版は2019年。

 お話は……

 春が目覚め、冬と交代します。
 だんだん暖かくなり、やがて春は夏と交代します。

 春が眠りに着くとき、夏は「秋が来るまでがんばるぞ」と言いました。

 秋?
 そういえば、春は秋に会ったことがありません。
 秋ってどんな子かしら。

 春はお手紙を書くことにしました。
 「秋に渡してね」と夏に託します。

 次の春、春は冬から秋のお返事を受け取りました。

 一度も会うことのない春と秋の文通が始まりました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 春は秋に春に咲く桜や、春に生まれるめだかの子どもなどの話を手紙に書きます。
 秋はおへんじに、秋に咲くコスモスやきのこのお話を書きます。

 春は、秋にお手紙を書くことで自分の季節の良さにひとつひとつ、気づいてゆきます。
 どうやら、秋も同じ想いのようです。

 夏のようなすかっとした魅力も冬のようなきりっとしたところもない、中途半端な春と秋……

 でも、春と秋には、春と秋にしかない魅力があります。

 はっきりきっぱりとした何かがなくても、なんとなく中途半端に思えても、春にはたくさんの花が咲き、秋には豊かな実りがある。

 一度も会ったことのないふたりですが、文通をすることで以前よりもずっとずっと自分が好きになっていました。

 今はインターネットが世界のすみずみにまで広がる時代となりました。
 もしかしたら、直接会うことができなくても、わかりあえる誰かが日本のどこかにいるのかもしれません。いや、世界のどこかにいるのかも。

 自分とおんなじような気持ちで悩んでいる人が、自信を失っている人が、インターネットのどこかにいるのかもしれません。
 もしかしたら、ポジティブな言葉を書けば、それはどこかのだれかに届くのかもしれません。

 自分の良さは自分では案外わからないものです。
 「こんなの誰にでもできるさ。たいしたことないさ」とあなたが思っていることが、実は貴重な才能なのかもしれません。

 春にはどこにでもある、ありふれたタンポポの花は、ほかの季節では見ることができません。ただの雑草でしかないつくしだって、春にしか食べられない味です。

 自分にも、そんなところはないかしら?
 ないがしろにしてきた、自分のいいところはないかしら?

 ふとそんな気持ちになる絵本です。

 吉田尚令先生の絵が色彩豊かで愛らしく、繊細な春の揺れる気持ちをあざやかに表現しています。
 ひかえめで、やさしい春の気持ちにうなずいてみたり、励ましたくなってみたり。

 字はすべてひらがな。
 見開きに十行前後で読みやすく、五十音が読めればコツコツひとりで読みきることができます。もちろん、読み聞かせにもおすすめです。

 大人が読むとしみじみとあたたかい何かが沁みてきて、癒される絵本です。
 愛らしい絵も眺めているだけでほっこりした気持ちになります。

 四季の美しさ、小さな自分の美点に気づく、優しい絵本です。
 子どもから大人まで、老若男女問わずおすすめ。
 少し大きめの絵本ですが、プレゼントにも。

 季節が秋へとかわりつつある、このときにぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。ネガティブな要素はいっさいありません。
 HSPやHSCのほうが多くのメッセージを受け取れるでしょう。
 四季折々の楽しさや美しさを見つけることに喜びを感じる方に。
 自分にも他人にも優しくしたくなる絵本です。

商品ページはこちら

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