【魔女のレッスンはじめます】魔女になりたくなったら?不思議なおばあちゃんのレッスンのはじまりはじまり【小学校中学年以上】
つばさのばあばちゃんは、ふしぎなおばあちゃん。着物を着た魔女?なのかもしれません。親友の由紀がどうしても魔女になりたいと言うので、つばさは由紀と一緒にばあばちゃんに弟子入りすることに。ファンタジックな日常ストーリー。
魔女のレッスンはじめます 長井るり子/作 こがしわかおり/絵 出版ワークス
<長井るり子>
埼玉県生まれ。中央大学文学部卒業。主な作品に「わたしのママはママハハママ」「魔女があなたを占います」「転校生は悪魔くん」(以上偕成社)「もいちどあおうね」(大日本図書)「小さなりゅう」シリーズ(国土社)などがある。日本児童文学者協会会員。 こがしわかおり 埼玉県生まれ。児童書を中心に幅広く活躍中。作・絵に「ツツミマスさんと3つのおくりもの」(小峰書店)、絵に「ロップのふしぎな髪かざり」(講談社)「チキン! 」(文研出版)「料理しなんしょ」(偕成社)、装丁に「すみれちゃん」シリーズ(偕成社)など多数。
<こがしわかおり>http://www.pagoda-house.net/pagoda-house/youkoso.html
1968年生まれ。早稲田大学卒業。出版社に勤務後、絵本や童話など、こども向け本の仕事に従事。ブックデザイン・イラストも手がけ、「料理しなんしょ」など多くの作品を出版。日本画を師に学ぶも、ほぼ独学。
夏が終わると日本の商店街はハロウィンシーズンに入ります。
オレンジと黒のディスプレイが華やかなこの季節、大好きな魔女関係、魔法関係のファンタジーを重点的にご紹介したいと思います。(まあ、このブログがファンタジー寄りなのはいつもなんですけども)
初版は2018年。小学生の女の子の夏休みを描いた、ファンタジックな日常ストーリーです。
お話は……
つばさは十歳。小さな雑貨店の店長さんをしているお母さんと二人暮らしです。
離れて暮らしている「ばあばちゃん」ことおばあちゃんは、古い家で着物を着て暮らしている不思議な女性。親友の由紀は「魔女だ」と信じています。
ある日、由紀がばあばちゃんに「魔女になりたいので弟子入りさせてください」と頼み込み、成り行き上つばさも一緒に魔女修行することになってしまいました。
戸惑いながらも「魔女修行」に励むつばさ。
そんなとき、遠い国にいるお父さんからの手紙を受け取って……
……と、いうのがあらすじ。
ばあばちゃんは、古い平屋の家で一人で暮らしています。いつも着物で生活していて、お掃除もはたきや箒をつかいます。
そんな一風変わったばあばちゃんを親友の由紀は魔女だと信じています。
つばさは由紀と一緒に、はたきと箒、ぞうきんでお掃除をしたり、飯ごうでご飯を炊いたり、自分たちでお料理を作ったりして「魔女修行」をするのでした。
昔々、魔女と呼ばれていた人たちは野山に生えている薬草の知識に深く、様々な病気をその知識で治療していた人たちでした。便利な機械を使わずに生活しているばあばちゃんは、もしかしたらやっぱり魔女なのかもしれません。
よく知っている人たちとよく知っていることの繰り返しで生活していたつばさは、ばあばちゃんとの魔女修行で身近で些細なことのなかに不思議なことや面白いことがたくさん隠されていることに気がつきます。
箒やはたきを使って丁寧に掃除をしたり、草むしりに汗をかいたり、火を使ってご飯を炊いたりとたくさんの未経験のことを自力でできるようになるうちに、彼女は自分自身の考えで人生の選択ができるようになるのでした。
特別な大事件があるわけではありませんが、心がじんわりとあたたかくなる、ほのぼのとした物語です。
気持ちのすれ違いがあれど、悪人のいない世界で、つばさがゆっくりと自分の殻をやぶって成長してゆきます。
わたしは魔法ファンタジーが大好きです。
「ハリー・ポッター」のような、悪人がいてそれに立ち向かう主人公がいて……と言う話も好きですが、悪人が一人もいない心の交流を描いた魔女ものも大好き。
悪や障害に勇気を持って立ち向かうことも大切ですが、身近で些細なことのなかに美しいものや素敵なものを見つけ出す魔法も大切だからです。
「魔女のレッスンはじめます」は、普段の生活の中にキラキラした不思議を見つけ出す物語です。
文章は読みやすく、簡単な漢字以外は振り仮名がふってありますので、小学校中学年から。長すぎるということもなく、読みやすいボリュームですからどんな子にもおすすめです。
魔女や魔法、ハーブなどが大好きなお子さまに。大人が読むとどこかなつかしい気持ちになれます。
夏の終わりのハロウィンシーズンに。素敵な着物魔女の物語をぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。ほのぼのとした日常の中に、キラキラしたものを見つけ出す物語です。HSCのお子さまのほうが多くのメッセージを受け取れるでしょう。
読後はハーブティーでひとやすみ。
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