【推しになりたい!!】スターになりたい!がんばる女の子の自己実現ストーリー第1巻。【エンタメ人育成学園小学部Cコース】【小学校中学年以上】
ウチ、藤道れいん。仲良しのいとこ、もゆるちゃんを追いかけて東京の学校に入学してきたんや。この学校はふつうの学校とはちょっとちがう。「JAPANエンタメ人育成学園」ちゅうスターを育てる学園なんや。試験に受かったはいいものの、同じ「Cコース」の連中はクセが強すぎて……?!
この本のイメージ アイドル養成学校☆☆☆☆☆ 学園友情物語☆☆☆☆☆ 自己実現☆☆☆☆☆
推しになりたい!! 1 エンタメ人育成学園小学部Cコース 令丈ヒロ子/作 淡海音々葉/絵 ポプラ社
<令丈ヒロ子>
1964年、大阪市に生まれる。嵯峨美術短期大学(現・京都嵯峨芸術大学)卒業。講談社児童文学新人賞に応募した作品で、独特のユーモア感覚を注目され、作家デビュー。おもな作品に「若おかみは小学生!」シリーズ(講談社青い鳥文庫)、「メニメニハート」「パンプキン! 模擬原爆の夏」(以上、講談社)、「ブラック・ダイヤモンド」シリーズ(フォア文庫)、「笑って自由研究」シリーズ(集英社)など。
<淡海音々葉>
おうみねねは。日本の漫画家。まんがタイムきららにて「そらコミュニケーション」を連載。
「若おかみは小学生!」でおなじみ令丈ヒロ子先生がおくる、キュートなアイドル養成学校物語の第一巻です。初版は2022年。
お話は……
藤道(とうどう)れいんは、「タコ焼き居酒屋れいん坊」の娘。東京に住んでいる大好きないとこ、咲耶もゆるちゃんがアイドル養成学校を受験すると聞き、「一緒の学校に行きたい」と同じ学校を受験したら、なんと合格してしまいました。
その名も「JAPANエンタメ人育成学園」。
学園のモットーは「エンタメで世界を照らせ」。あらゆるエンタメ人を育成し、世界を元気にする学校です。
アイドルを目指してすでに読者モデルもしているもゆるちゃんはIコース。れいんはCコースです。
ところが、このCコース、どうやら訳アリのようで……?
……と、いうのがあらすじ。
れいんちゃんは、大阪生まれの元気な小学五年生。
しゃべっているとひとりボケひとりツッコミでひとり漫才になってしまうこともある、コテコテの大阪娘です。
同じCコースにはシナリオライター志望の板橋ドキくん、漫才師志望の神野エン太くん、愛されキャラの百坂ジュンくんなど濃いキャラばかり。担任の中本エイチ先生もクセが強そうです。
それもそのはず、Cコースは特殊合格生。つまり、CコースのCは「キャラクター」のC。ちょっと変わった子たちが入るコースだったのでした。
第1巻では、ただただ大好きないとこのもゆるちゃんと一緒にいたいだけで学園に来たれいんが本気で「推しになりたい」と決心するまでのお話。
「スターを養成する」と言う特殊な学校を舞台としていますが、基本的にはスポ根学園もの風の笑いあり涙ありの正統派学園ストーリーです。
文章はれいんちゃんの一人称で書かれているので読みやすく、関西弁交じりの楽しい文体になっています。
そんな軽めの口当たりながら根底には太いテーマも流れており、「誰かを笑顔にする」と言う「エンタメ」の基本について語る場面も。
「人を笑わせるのと、人を笑いものにするのは、ぜんぜんちがう」。(引用p74)
よくぞ言ってくださいました!
この科白を読んだ瞬間に、このシリーズ「推し」確定。
れいんちゃんが小学五年生という設定なので、小学校中学年から。
しかし、すべての漢字に振り仮名が振られており、ボリュームもそんなにないことから、小説を読みなれた子なら小学校低学年からでも読めると思います。「なんでも魔女商会」や「わかったさん」シリーズあたりを卒業してもう少しボリュームあるものを、と言う段階あたりだと読みやすいでしょう。
ちょっと変わった学園ものを読みたい方に。「私立探検家学園」がお好きな方なら、こちらもおすすめです。
誰かを笑顔にするために、がんばる女の子の自己実現ストーリー。
次から次へと濃ゆいキャラクターが登場して、自分だけの「推し」をさがす楽しみもあります。淡海音々葉先生のかわいい挿絵がふんだんに入っているのもうれしい。
れいんちゃんたちは、どんなふうに成長してゆくのでしょうか。
今後の展開が楽しみです!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。元気印の女の子の自己実現ストーリーです。明るく楽しい学園コメディですが、心の成長あり熱い友情ありで、太いテーマも垣間見えます。
読後はタコ焼きと緑茶でひとやすみ。
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