【ページズ書店の仲間たち2】崩れかけた童話を救え!本の中での大冒険。シリーズ第二巻【ティリー・ページズと消えた童話】【小学校高学年以上】

2024年4月14日

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ページズ書店の仲間たち 2  ティリー・ページズと消えた童話  アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵  株式会社文響社

イーノック・チョークの陰謀から逃れたのもつかの間、地下図書館館長アミーリアが失脚させられ、あらたにメルビル・アンダーウッドが選ばれる。しかし、彼にはおそろしい野望があって……(ページズ書店の仲間たち 2  ティリー・ページズと消えた童話  アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵  株式会社文響社)

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ おとぎ話オールスターズ☆☆☆☆☆ 本好きの夢☆☆☆☆☆

ページズ書店の仲間たち 2  ティリー・ページズと消えた童話  アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵  株式会社文響社

<アナ・ジェームス>
ライター、ジャーナリスト。学校図書館司書を経て、〈ザ・ブックセラー〉のブック・ニュース・エディターに就任。現在は、さまざまな新聞や雑誌に寄稿するほか、イギリス内の書店やブックフェスティバルのイベントで司会を務めたりしている。ロンドン北部在住。本にかこまれた部屋で暮らしている。

<池本尚美>
早稲田大学教育学部英語英文学科卒。訳書に絵本「うさぎさん つきからとびだす」「まっくろけ まっしろけ」「グランデュードのまほうのコンパス」「いぬがほしいの!」(共に潮出版社)、「ゆがめられた世界 パート・オブ・ユア・ワールド上/下」「ゆがめられた世界 アンバースデー上/下」(共に学研プラス)などがある。

<淵゛>
京都府出身。フリーランスのイラストレーター。学生時代に油絵や日本画を学んでいた経験を活かし、質感と温かみを大切にしたデジタルイラストを制作。季節の植物や異国情緒の溢れるモチーフを描くことが得意。主に書籍の挿画や広告イラストなどを手掛けている。

 イギリスからやってきた、心躍るファンタジーの第2巻、「ページズ書店の仲間たち 2  ティリー・ページズと消えた童話」です。
 原題はPAGES&CO.(2)-TILLY AND THE LOST FAIRY TAILS. イギリスでの初版は2019年。日本での初版は2023年10月です。

 これは、「ページズ書店の仲間たち 1  ティリー・ページズと魔法の図書館」から完全にお話が続いていますので、ご興味を持たれた方はまずは第1巻からお読みください。

 「ページズ書店の仲間たち 1  ティリー・ページズと魔法の図書館」のレビューはこちら↓ 

 今回のお話は……

 イーノック・チョークの陰謀から逃れたのもつかの間、地下図書館に大事件が起きる。
 図書館長アミーリアが失脚し、長い間本の中で行方不明だったメルビル・アンダーウッドが図書館長の座に着いたのだった。

 メルビルは、地下図書館に保管されている本を完全管理下に置き、「本の旅人」(ブック・ワンダラー)を管理し規制しようとしている。

 危機感をつのらせるページズ家。

 一方、ティリーの親友オスカーは、父親の再婚先のパリに休暇で招かれティリーと一緒にパリの父の元へ。
 そこでフランスの「本の旅人」(ブックワンダラー)たちと出合い、ひょんなことから童話の世界を旅することになる。
 しかし、童話の世界はかつてないほどの危機に瀕していたのだ……

 ……と、いうのがあらすじ。

 本の中を旅する「本の旅人」たちの大冒険、今回は童話の世界に入ります。
 童話はもともと口伝で伝えられたものをグリム兄弟などが文章にまとめたもの。なので、様々なバージョンがあり、とても不安定な存在です。

 そんな不安定な童話の世界で、今大きな陰謀が進行中なのでした。

 この「童話オールスターズ」系のファンタジー、最近はもう「そういうジャンル」がひとつできそうなくらいに増えてきています。と言うのも、「最近の子どもたちは伝統的なおとぎ話を知らない」と言うのが世界的な社会問題になりつつあるからのよう。

 童話やおとぎ話は古臭いところはあるけれど、親しむことで古い歴史や文化を知ることが出来るし、道徳的な教訓がある話もあります。童話やおとぎ話から派生したバレエや絵画などもあるので、童話に親しむことは後の人生をぐんと豊かにしてくれます。

 とはいえ、最近は面白いアニメーションやファンタジーもいっぱい。ついつい伝統的なお話を知らずに歳をとってしまうこともあるかも。
 そういう意味では、こういった「おとぎ話オールスターズ系ファンタジー」は多くの役割があるのでしょう。

 今回登場する童話は「赤ずきん」「三匹のくま」「ジャックと豆の木」「ラプンツェル」「ヘンゼルとグレーテル」「おどる十二人のお姫さま」「ルンペルシュティルツヒェン」などなど……

 読んでから読むか、読む前に読むか。どちらでも楽しめそうです。

 また、今回のストーリーはクリスマス休暇のお話でもあるので、今の季節にぴったり。
 アーチーおじいちゃんの作るイギリスの伝統料理トード・イン・ザ・ホールやスティッキー・タフィー・プディング、オスカーのパパと食べるクロワッサンや熱いコーヒーなど、おいしそうな食べ物が次々と登場します。
 食べ物がおいしそうなファンタジーは名作。今回もこの法則は裏切らないですね。

 文章は平易で読みやすいですが、振り仮名があまり振られていないので小学校高学年から。賢い子なら中学年からでもぜんぜん大丈夫。 岩波少年文庫の中学年向けが読めればばっちりです。もちろん、大人が読んでも良質のファンタジーとして楽しめます。
 淵゛先生の挿絵がこれまた素晴らしく、要所要所で物語に引き込んでくれるのです。

 読書をするのが何倍も楽しくなるファンタジー。クリスマスプレゼントにぴったり。
 1巻からまとめて冬休みの読書にぜひとうぞ!

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな描写はありません。心躍る新感覚の冒険ファンタジーです。
 伝統的なおとぎ話が数多く登場するので、読後はもう一度童話を読み返すなどの横展開も期待できます。世代を超えての交流の橋渡しにもなり、大人やお年寄りにもおすすめです。

 読後は濃く淹れたミルクティーか、丁寧に作ったココアでティータイムを。

 

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