【博物館の少女】文明開化の時代に怪異を追う乙女。洋館に潜む謎を斬るシリーズ第二巻【騒がしい幽霊】【中学生以上】

2024年4月14日

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博物館の少女 騒がしい幽霊 富安陽子/作 禅之助/装画 偕成社

博物館で働く花岡イカルはひょんなご縁で陸軍卿大山巌の妻捨松と親しくなる。彼女の依頼で先妻の娘たちふたりの手習いを引き受けることになったイカルだったが、大山邸では奇妙な怪異が起きていたのだった……(博物館の少女 騒がしい幽霊 富安陽子/作 禅之助/装画 偕成社)

この本のイメージ オカルトファンタジー☆☆☆☆☆ 文明開化☆☆☆☆☆ ミステリー風味☆☆☆☆☆

博物館の少女 騒がしい幽霊 富安陽子/作 禅之助/装画 偕成社

<富安陽子>
富安 陽子(とみやす ようこ、1959年2月15日~)は、日本の児童文学作家。東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年「クヌギ林のザワザワ荘」で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年「空へつづく神話」でサンケイ児童出版文化賞を受賞。「やまんば山のモッコたち」はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、「盆まねき」で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2021年、「さくらの谷」で第52回講談社絵本賞を受賞。(wikipediaより)

 富安陽子先生の文明開化オカルトファンタジー「博物館の少女」シリーズ、第二巻は「騒がしい幽霊」。初版は2023年。

 ひょんなことから上野の博物館で働くことになった少女、花岡イカルがいわくつきの骨董品にまつわる怪異現象を解決するオカルトファンタジーです。

 お話は、一応一話完結の形をとっていますが、大きな流れは第一巻「博物館の少女 怪異研究事始め」から続いておりますので、イカルが博物館で働き始めた経緯など詳しいことをお知りになりたい方はまずは「博物館の少女 怪異研究事始め」からお読みになったほうがよろしいでしょう。

 「博物館の少女 怪異研究事始め」のレビューはこちら

 さて、今回のお話は……

 上野の博物館に陸軍卿大山巌の妻捨松が来訪する。
 そのさい、イカルが案内役を務めたことから二人は親しくなり、大山の先妻の娘たち、信子と芙蓉子の手習いの指導を頼まれる。

 実はそのころ、大山邸では奇怪な現象に悩まされていたのだった。

 次々と目撃される幽霊、激しく音を立てて揺れる屋敷、そしてついには命を落とすものさえ……

 はたしてイカルはこの謎を解くことができるのか?

 ……と、いうのが今回のあらすじ。

 「騒がしい幽霊」とはポルターガイストのこと。イカルは洋館に発生したポルターガイストの謎を解くべく、家庭教師として潜入します。

 明治の洋館といえば、木造建築の技術の粋を集めた和洋折衷の美しい建築。いまではもう同じものを建てることはできないのではないかと言われている繊細な建物です。
 今回の舞台装置も心ときめきますね。

 洋行帰りの美しき貴婦人、大山捨松が今回のもうひとりのヒロイン。
 歳の離れたイカルと心を通わせます。

 女の子には学などいらぬとは言わず、できるだけ学問をさせてあげたいと考える親心、そして、身分や性別関係なく能力を評価し、イカルを信頼し子どもたちの指導をまかせてくれるなど、捨松の魅力が光ります。

 ふたりの子どもたち、信子と芙蓉子もあどけなく可愛らしい。

 第一巻で登場した親友トヨとのひとときは今回もあり。
 おいしい餡餅やお団子をほおばりながら互いの近況を語り合うだけの時間ですが、この「女の子同士の時間」に限りなく癒されます。
 お仕事や頼まれごととは何の関係もないところで、他愛もないおしゃべりができる女友だち、トヨ。イカルにとって、とても大切な存在です。

 今回のお話では、訳ありの奉公人アキラが大活躍。彼にもまだまだ謎が多そう。

 ミステリー的な謎解きとオカルト要素が絶妙に入り混じり、活劇要素もあって怪しくも心躍る物語となっています。洋館にドレスなど文明開化の風俗もきらびやかで乙女心が掻き立てられます。

 文章は読みやすいのですが、漢字の振り仮名はそれほど手厚くないので中学生から。
 明治時代の風俗描写が詳しく、明治にタイムトリップした気分を味わえます。

 大山卿や捨松など、実在した歴史上の人物も登場しますので、読後は歴史を調べると横展開が楽しそう。大河ドラマ「せごどん」の少しあとくらいの時代、「るろうに剣心」などの時代です。あの時代が好きな方にもおすすめ。

 今回のお話ではイカルの持つ特異な能力も開花し始めたことにも触れられます。

 これからイカルにはどんな冒険が待っているのでしょうか。
 文明開化の香り漂う、明治乙女のオカルトファンタジー、続きを読むのが楽しみです!

 「博物館の少女 騒がしい幽霊」は、和オカルトがお好きな方、女の子の謎解き冒険物語がお好きな方、そして、明治大正時代のクラシックな雰囲気がお好きな方におすすめのオカルトファンタジーです。

 年末年始にぴったりの小説なので、寒い季節に温かい飲み物をお供にじっくり読書したい方、読み応えのあるミステリーをお探しの方はぜひどうぞ!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

オカルトミステリーなので、怖いシーンは少しありますが配慮して書かれているので残酷・残虐なシーンはありません。でもホラー要素があるので少し怖いです。

「ちょっと怖いお話なんだな」と前もって身構えていたら大丈夫な方ならおすすめです。
読後は餡餅か、きなこ団子と緑茶でほっと一息。

 

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