【おそなえはチョコレート】チョコレートをそなえれば、呪文をおしえてもらえる。不思議なぬいぐるみと、図書館の大冒険!【小学校中学年以上】
ふみかがゴミ捨て場で出会ったのは、言葉を話すヘビのぬいぐるみ、スマスマ。スマスマには不思議な力があって、チョコレートをおそなえすれば魔法の呪文をおしえてくれるのだ……(おそなえはチョコレート 小森香折/文 広瀬弦/絵 BL出版)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ チョコレート☆☆☆☆☆ 心の自由☆☆☆☆☆
おそなえはチョコレート 小森香折/文 広瀬弦/絵 BL出版
<小森香折>
東京都に生まれる。「ニコルの塔」でちゅうでん児童文学賞大賞、新美南吉児童文学賞を受賞。作品に「歴史探偵アン&リック」シリーズ、「夢とき師ファナ」「時知らずの庭」「ウパーラは眠る」など、翻訳に「リスベート・ツヴェルガーの聖書物語」などがある。
<広瀬弦>
1968年東京都生まれ。絵本・さし絵などで、個性ゆたかな仕事が高く評価されている。「かばのなんでもやすぅすぅすぅ、ふあああん」(佐野洋子作/リブロポート)でサンケイ児童出版文化賞推薦。「空へつづく神話」(富安陽子作/偕成社)で産経児童出版文化賞受賞。主な作品に「サメのサメザメ」(講談社)、「おにいちゃんにまかしとき」(ベネッセコーポレーション)、「まり」(クレヨンハウス)、「かってなくま」(偕成社)、「西遊記」シリーズ(理論社)などがある。
バレンタインシーズンなのでチョコレートにちなんだ本をご紹介しようとあれこれ探していたら出会った、摩訶不思議なファンタジー。初版は2003年です。
お話は……
ある日、ふみかはゴミ捨て場でしゃべるヘビのぬいぐるみ、スマスマと出会います。
スマスマは不思議な力を持っていて、ふみかが困っているときには魔法の呪文を教えてくれるのです。チョコレートをおそなえすれば。
ふみかはスマスマと一緒にダンス教室に行ったり、図書館に行ったりと楽しい時間を過ごします。けれど、ふみかの知らないところで事件はおきていたのです。
近所の子どもたちが次々と「別人のよう」になってしまう事件がおきていました。
占い師の息子であるゆうは、お母さんに持ち込まれた相談でその事件を知ります。おかしくなってしまった子どもはその前に図書館でとある本を借りていたようです。
図書館で出会ったゆうとふみかは、一緒に事件を解決しようと乗り出しますが……
……と、いうのがあらすじ。
最初はぬいぐるみファンタジーなのかなと思って読んでいたのですが、あれよあれよと思わぬ展開になります。
しかし、ただの冒険物語でもなく、要所要所でスマスマが大切なことをおしえてくれたり。
たとえば、スマスマの教えてくれた「みんなとなかよくやる呪文」は「ムリニ・ナカヨク・ナロウト・スルナ」です。これは大切なことですよね。
日本では「みんな仲良くしましょう」と言う考えを強烈に教え込みますが、40人近いクラスメイト全員と仲良くすることは不可能です。でも、「しなければ」と気負ってしまうから、大人数のグループとぶつかったり、派閥争いに巻き込まれたり、けんかになってしまったり。
仲良くできなければできないでいいや……と、思っていたら気が楽になったりします。
それに、「みんな仲良く」なんて大人でもできてません。
よーく観察してみると、先生同士、職員室でもいじめがあるんです。青い顔で孤立していて辛そうな先生がどんな学校にでも何人かはいます。
今、学校で辛い思いをしている子はそういう先生を探して話しかけてみるといいかもしれません。そういう人はちゃんと話をきいてくれる可能性が高いです。
話が少しずれてしまいました。
ふみかは、不思議なヘビのぬいぐるみスマスマの力を借りて、図書館に潜む不気味なおばあさんと対決します。
それは、「子どもたちの自由を奪い、考える力を取り上げ、閉じ込めてしまえば子どもたちは傷つくこともなく、幸せに生きていられる」と言う考え方との戦いでもありました。
さて、ふみかは子どもたちを助け出せたのでしょうか。
それは読んでみてのお楽しみ。
文章は読みやすく、振り仮名は手厚くはありませんが、難しい漢字は使っていないので小学校中学年くらいからお読みいただけます。
ボリュームはないので、気軽に読めると思います。
個人的にはちょっぴり「モモ」を髣髴とさせるところもあり、「モモ」好きのわたしはかなり惹きこまれました。
本が好きなお子さま、ぬいぐるみ好きのお子さま、ファンタジー好きのお子さまに。
図書館に行くのが楽しくなりそうな摩訶不思議ファンタジーです。
読んでいるだけで、チョコレートの美味しそうな匂いがしてきそうで、この季節にぴったり。
寒い日には、あったかなお部屋で読書を楽しみましょう。
面白くて、励ましてくれて、そして、ちょっぴり考えさせられる、元気な女の子のわくわく冒険ファンタジーをぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。HSCのお子さまのほうがより多くのメッセージを受け取ることができるでしょう。明るく楽しい、そして考えさせられるファンタジーです。
読後はとっておきのチョコレートでティータイムを。
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