【ねこのふくびき】飼い猫が1日だけ人間になったなら?猫好きさんにはたまらない、ほのぼの猫ファンタジー【小学校低学年以上】

2024年4月14日

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ねこのふくびき 木内南緒/作 よしむらめぐ/絵 岩崎書店

ある日、学校に行く途中、みゆを追いかけてきた知らない男の子。ふわふわのグレーの髪に青い目をしたルーク君。彼はなんと……(ねこのふくびき 木内南緒/作 よしむらめぐ/絵 岩崎書店)

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 猫☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆

ねこのふくびき 木内南緒/作 よしむらめぐ/絵 岩崎書店

<木内南緒>
大阪府生まれ。愛媛県松山市在住。立命館大学法科大学院修了。第35回福島正実記念SF童話賞大賞受賞作の「AIロボット、ひと月貸します!」でデビュー。同作品で第36回愛媛出版文化賞を受賞。

<よしむらめぐ>
大阪府生まれ、三重県育ち。東京都在住。大手前女子大学(現・大手前大学)卒業。 元美術教員。 ゆうゆう絵本通信講座で絵本づくりを学ぶ。 「まめざらちゃん」(あさのますみ 作)で第7回MOE創作絵本グランプリ受賞。

 初版は2021年。猫好きさんに断然おすすめのかわいいお話です。

 「動物の気持ちがわかったら」と言う夢を叶えてくれるファンタジー児童文学としては「ドリトル先生シリーズ」が有名ですが、こちらは人間のドリトル先生が動物語を学んで話せるようになるお話。
 今回ご紹介する「ねこのふくびき」では猫のほうが1日だけ人間になって人間の言葉をしゃべります。

 ストーリーは……

 ある日のこと、登校中のみゆちゃんを知らない男の子が呼び止めました。
 ふわふわのグレーの髪と青い目の男の子。名前はルーク。

 みゆちゃんの飼い猫のルークが、福引で一等賞を当て、その景品として一日だけ人間になれたと言うのです。
 半信半疑のみゆちゃんでしたが、「ガッコに行ってみたい」と言うルークと一緒に1日、学校で過ごすことになりました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 仲良しの動物がいると「この子は自分のこと、どう思っているのかな?」と気になることがありますよね。
 懐いてくれてるし、自分は仲良しだと思っているけど、本当はどうなのかな? 餌をくれるから喜んでいるだけ? 眠ってばかりなのは退屈なの?

 もしも、飼い猫の気持ちがわかったら……
 これは猫の飼い主の夢が現実になったようなファンタジー。

 人間のすがたになったからといって、ルークの中身は猫のまま。人間になった飼い猫ルークとの1日は、びっくりすることの連続でみゆちゃんは振り回されっぱなしです。

 でも、授業で「お友だちのよいところをみつけよう」と言うテーマで作文を書くことになったとき、ルークはみゆちゃんの良いところをスイスイと書いてしまうのでした。これは泣けてしまいますね。

 猫って、いつも自分勝手だし、おなかが空いたときにはにゃーにゃー懐いてくるけれど自分の気が乗らないときはそっぽむいてどこかへ行ってしまう。と思っていたら、カブトムシやコウモリなどびっくりするものを捕まえては見せに来る。(いや、見せられても……)

 足元に死んだカブトムシをそっと置かれてじいーっと見つめられても「わたしに何をしてほしいのよ……」と、幼児だったわたしは困惑しまっていました。褒めればよかったんでしょうけども。(ちなみにコウモリのときは生きていました)

 この子が人間の言葉が話せたらなあ。何を考えているのかわかるのに……
 読んでいたらあの頃の気持ちが蘇ってきました。

 ルークは猫の世界の福引で一等賞を当てて、「ねこのきゅうか」をもらいます。1日だけ「ねこをおやすみ」していいことになったルークは人間になって飼い主のみゆちゃんと楽しい1日を過ごすのでした。

 人間になったのに猫みたいな行動をするルークにみゆちゃんは振り回されっぱなしになりますが、ルークの気持ちを知って温かい気持ちになります。そして、ルークのいいところや普段からルークに助けられているたくさんのことに気づくのでした。

 人間と猫のコミュニケーションには言葉はいらないけれど、あえて言葉にしてみるといままで気づかなかったたくさんのことが浮かび上がってきます。人と猫はちがう種族だけれど大切なパートナーなのです。

 文章は平易で読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。字はほどよく大きく、見開きに最大で十八行前後、すべての見開きによしむらめぐ先生の挿絵が入っており、ところどころにフルカラーの挿絵もあります。
 総ルビなので五十音が読めればコツコツとひとりで読みきることができます。もちろん、読み聞かせにもおすすめ。

 絵本を卒業して、少し長めの物語を読み始めたくらいの頃の、絵本と小説の中間くらいの位置づけの本です。

 よしむらめぐ先生の描く猫の絵が表情豊かで可愛らしく、ルークの猫らしい仕草もほほえましい。読んでいるとほのぼのとした気持ちに包まれてあったかい気持ちになってきます。

 プレゼントに、お留守番子の読書に、読み聞かせに。猫好きさんには特におすすめ。
 「ねこのふくびき」は、好きな動物の気持ちが知りたい人にはぴったりの、ほのぼのファンタジーです。

 ※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。飼い猫や近所の猫と会話してみたいという小さな子どもの夢が叶う、ほのぼのファンタジーです。
 誰かのいいところ、自分のいいところを認め合うお話でもあります。

 読後はいちごのゼリーでひとやすみ。

 

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