【たんぽぽのふね】たんぽぽの綿毛で遠くへ。春にぴったりの幻想的で愛らしいファンタジー絵本。【4歳 5歳 6歳】
小さなたんぽぽの上に絵を描くことが大好きな小さな女の子がいました。名前はぽぽん。小さな犬のぽんたと仲良く暮らしていました。「たんぽぽのわたげはどこにとんでいくのかな」…… (たんぽぽのふね まるやまあやこ/作 世界文化社)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 幻想的☆☆☆☆☆ たんぽぽ☆☆☆☆☆
たんぽぽのふね まるやまあやこ/作 世界文化社
<まるやまあやこ>
1982年長野県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。 「たんぽぽのふね」(新風舎)で絵本デビュー。おもな絵本の仕事に「ひとりでおとまり」(福音館書店)、「ゆきのひのいえで」(「おはなしプーカ」学研)など。絵を担当した絵本の仕事に「わたしのくつ」(ポプラ社)、「おかしのくにのバレリーナ」(教育画劇)などがある。
初版は2023年。もともとの初版は2007年(新風舎 刊)で、その新装版のようです。
子どものころ、たんぽぽの綿毛を飛ばすのが好きでした。
たんぽぽの綿毛を飛ばすのと、サルビアとツツジの蜜を吸うのは春先の学校の帰り道のひそかな楽しみでした。
寄り道して空き地でツクシを摘んだり、どくだみの葉を摘んだりもしました。昔は空き地がたくさんあって野草も多かったし、歩道の脇の花壇から少しばかり花を摘んでも叱られない、緩い時代でした。
この絵本では、たんぽぽの綿毛の力でどこまでも飛んで行く、ふしぎな船に乗る小さな小さな少女のお話です。
少女の名前はぽぽん。
小さな犬のぽんたと暮らしていました。
「たんぽぽのわたげはどこへとんでいくのかな みにいきたいな」と考えたぽぽんは、ぽんたと一緒に小さなたんぽぽの船を作ります。
どんぐりの帽子にたんぽぽの綿毛をたくさんつけて。
ふわっと風に吹かれて飛んだたんぽぽの船。でも、やがて地面に落ちてしまいます。
船がこわれてがっかりしているぽぽんを小さなうさぎがたんぽぽの森へ案内します。
そして、小さな小さな動物たちも手伝ってくれて、今度は小さな生き物たちが全員で乗れる、大きなたんぽぽの船を作るのでした……
……と、いうのがあらすじ。
親指姫のような小さな女の子ぽぽん。
そして、小さな女の子と同じくらい小さな、子犬のぽんた。
犬だけでなく、うさぎやねずみ、さる、くま、象など妖精のように小さな動物たちが小さなぽぽんを手伝います。
空を飛ぶたんぽぽの船はノアの箱舟のようですが、もともとは長野県安曇野の「御船祭り」にインスパイアされたものだそうです。
全編、幻想的で美しく、またぽぽんが幼い子どもの好奇心いっぱいの行動力で愛らしく、不思議な感覚のままラストまで読めてしまいます。
字はすべてひらがなとカタカナ。文章量は見開きで最大でも8行程度なので読みやすく、五十音が読めるお子さまなら必り読みで最後まで読み切ることができるでしょう。もちろん、読み聞かせにも。
やわらかな筆致で描かれる幻想的な世界を楽しむ絵本です。
空想するのが好き、かわいいものが好き、絵を描くのがお好きなお子さまにも。
今の季節にぴったりの、美しい絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。まるやま先生のやわらかで愛らしい絵を楽しむ絵本でもあります。
春にぴったりの絵本です。
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