【ルビと子ねこのワルツ】本屋さんの看板猫のファンタジック・ストーリー第四巻【小学校中学年以上】
ルビは本屋さんのほこりから生まれた小さな猫です。モシモさんにかわいがられ、おいしいものをたくさん食べてずいぶん大きくなりました。お友だちのマック・ロウは海賊の本がお気に入りで、このところ毎日お店に来ては本を読んでいます……
この本のイメージ メルヘン☆☆☆☆☆ ねこ☆☆☆☆☆ 本っていいね☆☆☆☆☆
ルビと子ねこのワルツ 野中柊/作 松本圭以子/絵 理論社
＜野中柊＞
野中 柊（のなか ひいらぎ、1964年12月5日～）日本の小説家。新潟県出身。新発田市で育つ。立教大学法学部卒業後、渡米。ニューヨーク州在住中に「ヨモギ・アイス」で作家デビュー。
＜松本圭以子＞
1957年生まれ。イラストレーター。1984年渡米。ニューヨークパーソンズスクールオブデザイン・イラストレーション科卒業後、1989年に帰国。翻訳もの・ミステリーなど書籍の装画や、雑誌コラムなどの挿画を多く手がける。1992年よりスペース・ユイにて定期的に個展を開催。
ルビとは、文章の振り仮名のこと。飼い主のモシモさんは本屋さんなので、小さな子猫に「ちっちゃい」という意味でこの名前をつけました。
本屋のほこりから生まれた小さな猫、ルビと飼い主モシモさんの心の交流を描くほのぼのファンタジー「本屋さんのルビねこ」シリーズ、第４巻です。初版は2021年。
お話が続いていますので、まずは「本屋さんのルビねこ」からお読みください。
「本屋さんのルビねこ」のレビューはこちら↓
https://www.mmanorhouse.com/2021/07/23/post-7665/今回のお話は……
ルビの友だちの黒猫マック・ロウは、カフェ「月の庭」の看板猫。
だけど、最近はお気に入りの本ができたようで、毎日モシモさんの本屋「本の木」に現れます。
マック・ロウは本屋さんのソファの上で海賊の出てくる本を読むのが大好きなのです。
堂々と読書している黒猫が話題になり、ちょっぴり劣等感を感じてしまうルビ。
そんなルビの気持ちをマック・ロウは察して……
……というのがあらすじ。
今回は、「月の庭」の店主ソラさんなど、新キャラも登場します。
ルビは本に積もった「ほこり」から生まれた、不思議な子猫です。本当の猫ではなく、母猫や父猫が存在しません。
ふだんは、本当の子猫とまったくかわりがないのですが、「本物の猫ではない」ことが、すこしだけルビの心に影を落としています。
ルビがほこりから生まれた不思議猫だということはルビ自身しか知りません。飼い主のモシモさんですら、ただの捨て猫だと思っています。
この「小さな秘密」が、ルビをほんの少しだけ、気弱にさせているのです。
あまり大きな大事件は起きない、淡々としたお話です。
でも、このシリーズはむしろ大人におすすめの童話です。
他人にとってはたいしたことがない、でも自分にとっては大きな、小さな秘密。または劣等感。
それを抱えて、ほんの少しだけ自信のない主人公が、周囲のあたたかな交流のなかでできることをひとつずつ増やしてゆく物語です。
ダイナミックな起伏があるお話ではないので、激しい冒険活劇などが好みの方には物足りないかもしれません。
しかし、忙しい毎日の中で心身ともに疲れ果ててしまったときには、このようなお話は癒しになります。
繊細で、ちょっとお疲れ気味のお子さま、または大人の方、本が大好きで猫が大好きで、優しい物語で癒されたい方におすすめです。
字はほどよく大きく読みやすく、難しい漢字には振り仮名が振ってあります。だいたい、小学校中学年から。本を読みなれていない場合は、小学校高学年から。
松本圭以子先生の絵がかわいらしく、装丁もおしゃれなので、大人の和み本として楽しんで読み終わったらインテリアとして飾っても。
いっさいのとげがないお話なので、傷つきやすいお子さまやお疲れの保護者さまにおすすめのシリーズです。
癒されたい方のリラックスタイムにぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素がいっさい、ありません。HSPやHSCに。 外界からの刺激がすべて傷になってしまいそうなときにおすすめです。
自分らしさを見失いそうになったときに、真ん中にもどってくるようなお話です。きつさや厳しさのない物語ですが、毎回、成長はあります。
