【てのひら】引っ込み思案のゆみちゃんのためにお母さんがくれたおまじない。心温まるストーリー。【絵本】【3歳 4歳 5歳 6歳】
ゆみちゃんは幼稚園に通う三歳の女の子。幼稚園のバスを待つ間、ママの手をぎゅっと握っています。幼稚園についてからも、口をぎゅっと結んだままで…… (てのひら 瀧村有子/作 ふじたひおこ/絵 PHP研究所)
この本のイメージ 母の愛☆☆☆☆☆ 心をほぐして☆☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆
てのひら 瀧村有子/作 ふじたひおこ/絵 PHP研究所
<瀧村有子>
1968年、千葉県生まれ。3児の母。子育てをしながら、日々のできごとなどをもとに絵本を作り、家庭の中で楽しんでいる。この作品もそのような中から生まれた。千葉県在住。 絵本に「ちょっとだけ」(福音館書店)がある。
<ふじたひおこ>
香川県生まれ。日本児童出版美術家連盟会員。児童書の挿絵、絵本を中心に活躍中。 主な作品に「ぶなぶなもりのくまばあば」(あかね書房)「バイバイ、富永くん」(岩崎書店)「ひきだしの魔神」(文研出版)絵本シリーズ「いちねんせいのいちにち」「ようちえんのはる・なつ・あき・ふゆ」ほか(佼成出版社)「しっぱいのれんしゅう」「きょうはいい日だね」ほか(PHP研究所)などがある。
四月になりました。
幼稚園や小学校への通い始め、新学期と新しいシーズンの始まりです。
何もかもが新鮮で好奇心に満ちた季節であると同時に、見知らぬ場所、見知らぬこと、見知らぬ人との出会いに戸惑いと緊張の連続の季節でもあります。
本日は、そんな季節にぴったりの、心温まる優しい絵本のご紹介。初版は2010年のロングセラーです。
お話は……
ゆみちゃんは幼稚園に通う三歳の女の子。
だけど、幼稚園ではいつも口をぎゅっと結んでひとりでいるのでした。
幼稚園で元気ですごせないゆみちゃんのために、ママは手のひらに「おまじない」を書いてくれます。
それは、にこにこ笑った笑顔のマークでした。
いつもゆみちゃんに微笑みかけてくれるママの笑顔のようなマーク。
ゆみちゃんはマークを見るたびに少しずつ元気が出てきました。
ご挨拶も小さな声だけど言えるようになり、給食も少しずつだけれど食べられるようになり、お歌も小さな声で歌えるようになりました。
だけど、まだお外でみんなと遊ぶことはできませんでした。
するとママは……
……と、いうのがあらすじ、
子どものなかには好奇心旺盛で新しい環境を面白がってどんどん自分から踏み込んでゆける子もいれば、新しい環境に慣れるのに時間がかかり、その環境に変化があるととたんにどうしていいかわからなくなるタイプの子がいます。
ゆみちゃんは未知のものに対する感受性が強すぎるのでしょう。
そんなゆみちゃんに対して、ママは「そんなことではいけません」とか「勇気を出しなさい」とかは言わず、ただただゆみちゃんの固く緊張した心をほぐそうと考えます。
そうして生まれたのがニコニコマークだったのでした。
てのひらに描かれたニコニコマークがゆみちゃんの「お守り」となって、ゆみちゃんの固くこわばった緊張はほぐれてゆきました。
できなかったことは、少しずつできるようになってゆきます。
そして、さいごに残った「みんなと外遊びをする」ことに向き合おうとするとき、ママは驚くべきことをしてくれたのでした。
ママはゆみちゃんに「辛かったら泣いてもいい」ことを教えてくれます。
このママ、超能力者みたいにゆみちゃんの心を理解してくれているんです。
ゆみちゃんが本当は幼稚園が嫌いなわけでも、ご挨拶したくないわけでも、お友だちと仲良くしたくないわけでもなく、ただただ未知のものに緊張してみんなのようにちゃんとできない自分に劣等感を感じているだけなんだとわかっているのです。
あたたかいママの愛情に包まれて、ゆみちゃんの心はほぐれてゆくのでした。
字はすべてひらがなとカタカナ。文章量は見開きで最大14行とそれほど多くなく、五十音が読めるお子さまならコツコツと最後までひとり読みで読み切ることができます。
しかし、これはぜひ、読み聞かせで。
ママの深い愛情が伝わる絵本です。
未知のこと、緊張する状況になったとき、「怖くなんかない、自分はママの愛情に守られている」と信じられるお話です。どうぞ、何度も読んであげてくださいね。
「てのひら」は、新しい環境に緊張しがちなこの季節にぴったりの絵本です。
お休み前の読み聞かせにぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
おすすめです。
繊細な心を持つと言われるHSCのお子さまにぴったりの絵本です。てのひら
言葉にできない緊張感や不安感をやさしくほぐしてくれるでしょう。
読後には手にマークを描いてあげたら喜ぶかも。
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