【バレンタイン企画】小さな女の子からおじいちゃんへのプレゼントにいいかも。小学校低学年向けの児童小説の古典。子どもたちとお菓子屋さんの頭脳戦。【チョコレート戦争】

2024年1月18日

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チョコレート戦争 大石真/作 北田卓史/絵 理論社

小さな町の子どもたちが、ひょんな誤解から高級洋菓子店と戦うことに?おかしなおかしな「チョコレート戦争」のはじまり。

この本のイメージ 楽しい☆☆☆☆☆ レトロ☆☆☆☆ やんちゃな☆☆☆☆

チョコレート戦争 大石真/作 北田卓史/絵 理論社

 バレンタイン企画としてチョコレートを題材にした本を探していました。でも、読んでみたら、ぜんぜんそういう雰囲気の話じゃなくて(笑)

 でも、小さな女の子が、おじいちゃんのためにプレゼントしたり、おじいちゃんのために読み聞かせをしたりするなら、これかな、と思って、本日はご紹介です。

 光一くんと明くんが、ひょんな誤解で高級洋菓子店、金泉堂のガラスを割った犯人だと決め付けられるところからお話ははじまります。

 たいへん辛い思いをして憤慨した光一くんは「金泉堂のショーウィンドウのチョコレートの城を盗んでやりたい」(いや、いかんやろ)と言い出します。それをなんとか止めようとする明くん。でも、その明君の行動がとんでもない方向に……

 最初の誤解が玉突き事故になって、子どもたちや大人たち、いろんな人を巻き込んで、お菓子屋さんと子どもたちの頭脳戦が繰り広げられます。

 これこれ、昔はこういうお話や子供向けドラマがたくさんあったのですよ。悪ガキものというジャンル。男の子がむちゃくちゃをやって、お姉ちゃんにとっちめられたり、近所のメガネかけた女の子が「しようがないわね」とか言いながら尻拭いを手伝う系。

 まだまだ人の失敗やいたずらに寛容な時代でした。
そして、フィクションと現実はきちんと分けられていて、「お話を読んで子どもが真似するかもしれないから」という理由で作品の幅が狭まることも、まだまだ少なかったのです。
いまだと、こういう話は最初から最後まで無理なんじゃないかな、と思います。

 最後は、マスコミの力で勝つ?みたいな展開なのは、作者の方が作家と出版社編集の兼業だったからかもしれません。この時代だと、すごくいい展開で通るんですよね。
でも、現代だと学校新聞ではなくておそらくSNSとか、ホームページとかになると思うので、まったく印象の違う話になってしまうのです。

 この時代ではとてもほほえましく面白い話なのですが、現代に時代を移すと、雰囲気も含めてすべてが破壊されてしまうかもしれない物語です。

 昔懐かしい、古きよき時代の雰囲気がいっぱいです。作中で「大鵬」が出てきますし、「巨人、大鵬、卵焼き」(子どもの三大好きなもの)の時代ですね。ラーメン一杯が100円です。
その時代に、シュークリームが一個80円と言うのだから、洋菓子は本当に高級品だったのですね。

 作中のお菓子屋さんは、「うちは本物の洋菓子を出している」と言ってるので、バタークリーム全盛の時代に生クリームを使っていたのでしょうし、ラーメン100円の時代に一つ80円のシュークリームを売ってたのですから、仕事の上で妥協しない人だったのでしょう。

 どこにも悪人は出てこなくて、すれ違いだけで話が進んでいくタイプの話なのですが、話の引き込みがすごく上手くて、どうなるんだろう、どうなるんだろう、と思っているうちに最後まで読めてしまいます。

 現代なら、絶対こんなふうに綺麗にまとまらないな、と思えるところまで含めて、ユートピア感がある話です。

 お子様ではなくて、お孫さんからおじいちゃんへのプレゼントにおすすめです。バレンタインに、おじいちゃまにこういうプレゼントはいかがでしょうか。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

現代だと成立しない、古きよき時代の物語です。小さなお孫さんからの、高齢の方へのプレゼントやお見舞いにおすすめです。もし、お祖父様やお父様が一人暮らしなら、プレゼントにぜひどうぞ。

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