おばあちゃんと会話しながら、セラピークッキング。お料理しながらお悩み解決のほのぼの児童文学です。【小学校中学年以上】

2024年1月21日

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トレッリおばあちゃんのスペシャル・メニュー シャロン・クリーチ/作 せな あいこ/訳 評論社

トレッリおばあちゃんは、ロージーの大好きなおばあちゃん。ロージーが悩んでいると、一緒に料理をしながら聞いてくれます。

この本のイメージ おばあちゃんの人生相談☆☆☆☆☆ おいしそう☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆

トレッリおばあちゃんのスペシャル・メニュー シャロン・クリーチ/作 せな あいこ/訳 評論社

 この方も、ニューベーリー賞(児童文学界の権威ある賞)受賞作家だそうです。

 お話は、スープ編とパスタ編の二部構成です。
スープ編は、ハンディキャップや自尊心、小さな友情の物語。パスタ編は、思春期らしいかわいらしいお話です。

 主人公の女の子、ロージーの一人称というか、心の声でお話がすすみます。会話文は「」(かぎかっこ)ではなく、太字であらわされており、ロージーの心の声をテレパシーかなんかで聞いてるような作りになっています。

 トレッリおばあちゃんは、ロージーの大好きなおばあちゃん。ロージーが悩んでいると、一緒に料理をしながら聞いてくれます。
イタリアから移民してきたおばあちゃんなので、ところどころがイタリア語です。 だから、作る料理もイタリア料理。

 おばあちゃんのいいところは、ああしなさいこうしなさいと一切言わないこと。うんうんそうだねえ、と言いながら、ロージーの気持ちに寄り添ってくれます。
そして、おばあちゃん自身の体験も話してくれる。

 この本で語られていることは、本の厚さに比べて多岐にわたり、かなり深い内容です。けれど教訓や説教ぽいものはなく、読者が壁にぶつかったり悩んだりしていることの中で、どれでもいいから参考にしてね、と言うような、ふんわりしたスタンスが優しいです。

 子供の善意のすれちがい、小さな子にもあるそれぞれのプライド、頑張りが報われないこと、男の子と女の子の友情、ハンディキャップ、立場の違い、劣等感、思春期らしい悩みなどなど…

 でも、結局は悪人は出て来ず、最後はおいしい料理を食べてみんな笑顔、と言うのがすごく幸せな感じでした。おいしい料理ってこういうパワーがありますよね。それに、おばあちゃんのお料理、どれもこれもおいしそうなんです。

 かなり内面を掘る話で、男の子でも女の子にもおすすめです。一人称の独り言調の話なので、読み聞かせにも。難しい漢字にしかふりがなはついていませんので、技術的に小学校高学年以上でしょうか?でも、かしこい子なら中学年以上でもOKだと思います。

 ただ、絵がものすごいシュール系で、この絵のせいで必要としている子に届いていないかもしれません。こういうのって、大人が買い与えてあげないと出会わないかもしれないので、お子様が悩んでいそうだなとお感じになったら、選択肢に加えてみてください。

 お話の通り、おばあちゃんから孫へのプレゼントにも、いいと思います。子供が自ら選ぶことはまれなタイプの本なので、プレゼントしてもかぶる可能性は低いと思います。

 読み聞かせに向いている話ですので、ぜひ、読み聞かせにも。(多少、演技力が必要になりますが…)これ、おそらく、朗読劇でも楽しめると思います。

 お料理にはセラピー効果があることがわかる本です。作ることも食べることも。読んだらお料理したくなるかもしれません。

繊細な方へ(HSPのめたのブックガイド)

抽象画みたいな絵以外は、かなりおすすめの本です。読んだら、絶対、具沢山のスープとパスタが食べたくなるので、前もって、ご用意ください。

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