【まほろ姫】たぬきに育てられた姫様ふたたび!都から天才絵師がやってきた!【小学校中学年以上】

2024年2月13日

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まほろ姫とにじ色の水晶玉 なかがわちひろ 偕成社

たぬきに育てられたまほろ姫は、ひみつがあります。あたまに葉っぱを乗せて宙返りすると、なんでも思ったものに化けられるのです。さて、今回は、都から有名な絵師がやってきて…

この本のイメージ かわいい☆☆☆☆☆ ふしぎ☆☆☆☆ 想像する力☆☆☆☆

まほろ姫とにじ色の水晶玉 なかがわちひろ 偕成社

 たぬきに育てられたまほろ姫が活躍する和ファンタジー「まほろ姫とブッキラ山の大テング」の続編です。

 ギンナン山のふもとの里、まほろ姫のお屋敷に、都でいちばんと噂の天才絵師、雲舟先生がやってくることになりました。お屋敷のふすま絵を描いていただくのです。

 天才絵師がおいでになるというので、お殿様もまほろ姫も大喜び。何を描いてもらおうかと、ウキウキしています。
ところが、到着した絵師は、お弟子の雲風先生。どうやらまだ駆け出しの絵師でした。

 この雲風さん、不思議な直感があって、たぬきの茶々丸とまほろ姫が化けた食器に気がつきます。絵師としては頼りないけれど、どうやら、何かしらの才はある人のようです。

 いらしたのが雲舟先生じゃなくてがっかりするお殿様。期待にこたえようと雲風は部屋に閉じこもって、ふすまにする虎の絵がかけるまで、一生懸命練習しています。でも、雲風は虎を見たことがないので、どうしてもうまく描けません。

 思うような絵が描けない雲風に、まほろ姫はたぬきの葉っぱをあげるのです。それを頭にのせて、虎を想像してみたらってことです。まほろ姫たちは、葉っぱをあたまに乗せて想像するだけで、見たこともないものにも変身できるから、役に立つんじゃないかと思ったわけですね。

 まほろ姫たちの応援もあって、雲風は虎のふすま絵を完成させます。

 そして、次は、まほろ姫のお部屋のふすま絵にとりかかります。ところが、完成目前の絵が、ある日、墨で汚れてしまうのです……。さて、どうなりますか。

 雪の日にやってきた、謎の女の子小雪ちゃんや、竹から生まれたクダギツネかぐやちゃん、そして、たぬきの茶々丸など、楽しいキャラクターたちが、まほろと一緒に大冒険します。ブッキラ山のテング様も、最初と最後にちょっとだけ登場します。

 今回のテーマは「自信」と「想像力」。駆け出し絵師の雲風先生でしたが、彼は彼にしかない豊かな感性や想像力があったんです。まほろ姫がくれた葉っぱは、その才能を引き出すきっかけになってくれました。
人って、ほんのちょっとの自信でぐんと伸びることができると言うお話です。

 もちろん、雲風が努力をしなかったわけではありません。でも、自信を持って集中することで、努力を努力とは思わず、夢中でやり遂げることができたんですね。楽しいってすごく大事なことだと思います。そして、何かを楽しむときには、やっぱり最低限の自信は必要だってことなんでしょうね。

 この話には忠兵衛さんという、見ようによっては意地悪に見える、ちょっとクセのある人が出てきます。どういう人かと言うと、絵とか芸術とかそういうものを全部金銭で換算してしまう人です。

 絵や音楽や、創作を志す人の近くに必ずいる、「それ、いくらになるの?」としか聞かないタイプ。「絵を書いてるんですよ」「音楽をやってるんですよ」と言う人に、「どんな絵を描くの?」とか「どんな音楽をやるの?」とか聞かずに「原稿料いくらなの?」と聞くタイプです。(クリエイター界隈あるある)

 ふつうのサラリーマンに「給料いくら?」って聞くような失礼な人はいないけれど、クリエイターやエンジニア相手には、しょっちゅう現れるのです。「それ、儲かるの?」とか「高く売れるの?」とか、そういう事しか聞かない人が。
たいていの場合、「そういう問題じゃない」と言っても理解してはくれないですからね。忠兵衛さんは、芸術家の周囲にいる、「ごくふつうの人たち」の代表なんだと思います。

 でも、わかってくれる事はなくても、共存はできるんです。このお話でも、忠兵衛さんは、芸術のなんたるかなんて最後までこれっぽっちもわからないままでしたが、それでも、まほろ姫たちとちょうどいい距離で関っていきます。
わかり合えない人でも、コテンパンにやっつけていなくなればいいわけではなく、まあまあの距離、まあまあの付き合いでやっていく……。そういうところが、このお話は大好きです。
どんな人でも、この世に必要な人なんですもんね。

 ほのぼのとして、やさしい、ふんわかした和ファンタジーです。
字が大きくて文章も平易で読みやすく、絵もとってもかわいらしい。
だんだん春になっていく季節の物語です。読み聞かせにも、1人で読むのにもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。安心して楽しめる、ほのぼの和ファンタジーです。お絵かきの好きなお子様におすすめです。おいしいあんころもちと、緑茶をお供にぜひどうぞ。

商品紹介ページはこちら

 

 

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