【どうぞのいす】善意はまわる。誰が読んでもやさしい気持ちになれる、ほんわか絵本。読み聞かせにおすすめです。【2歳 3歳 4歳】

2024年2月13日

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どうぞのいす 香山美子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド

うさぎさんが一生懸命、かわいい椅子をつくりました。そして、それを野原の木の下に置きました。「どうぞの いす」と立て札をつけて。すると、ある日、どんぐりがいっぱい入ったかごを持った、ろばさんがやってきて……

この本のイメージ かわいい☆☆☆☆☆ ほんわか☆☆☆☆ 善意はめぐる☆☆☆☆☆

どうぞのいす 香山美子/作 柿本幸造/絵 ひさかたチャイルド

香山美子(こうやま・よしこ)
1928年生まれ。東京都出身。主な作品は『こんたくんのえーとえーと』(金の星社)、『ごろりんごろんころろろろ』『ヒッコリーのきのみ』『もりのおくのちいさなひ』(以上、ひさかたチャイルド)、詩集『ちいさいおおおきい』(チャイルド本社)、童謡『おはなしゆびさん』『げんこつやまのたぬきさん』など。

<柿本幸造(かきもと・こうぞう)>
1915年生まれ。広島県出身。主な作品は『じゃむじゃむどんくまさん』をはじめとする「どんくまさん」シリーズ(至光社)、『しゅっぱつしんこう』(小峰書房)、『ごろりんごろんころろろろ』『ヒッコリーのきのみ』『もりのおくのちいさなひ』『フルフル』『くまのこくまきち』『どんぐりとんぽろりん』『さいしゅうれっしゃのあとで』『こりすのはつなめ』(以上、ひさかたチャイルド)など。第8回小学館絵画賞受賞。1998年没。

 本日は、最高にかわいらしく、最高に癒される絵本のご紹介です!
 30年以上のロングセラーで、絵本界では伝説の絵本らしいのですが、これは納得。

 字は全部ひらがなで、見開き2ページに10行前後、長くても100字くらいの文章が入っているだけなので、小学校就学前のお子様がひらがなの学習をかねて読むのに最適です。

 おはなしは、うさぎさんが、小さな木の椅子を作ります。椅子の後ろにしっぽがついていたりしてとてもかわいらしい椅子です。それを、野原の木の下におくことにしました。

 「どうぞの いす」と書いた立て札を、隣に立てて。

 ある日、背中にどんぐりをいっぱい入れたかごを背負ったろばさんがやってきます。「どうぞの いす」と立て札を見たろばさんは、「ありがたい」と、背負っていた重いかごを椅子に置いて、自分は隣の木の下で居眠りを始めます。

 すると、立て札と椅子の状態が、椅子の上に置かれたかごいっぱいのどんぐりを「どうぞ」と言われてる感じになってしまうのにろばさんは気がつきませんでした。

 次にやってきたのは、はちみつがたっぷり入った瓶を持ったくまさんでした。くまさんは、「どうぞ」と書かれているのでよろこんで、かごの中のどんぐりを食べてしまいます。
 けれど、全部食べてしまったら後の人がお気の毒と思って、そのかごに、自分が持っていたはちみつの瓶を入れて帰ります。
 ろばさんはまだ寝ています。

 次にやってきたのは、焼きたてのパンを持ったきつねさん。きつねさんは「どうぞ」と書かれたはちみつを、ありがたく食べ、全部食べてしまったら後の人がお気の毒と思って、パンを入れて帰ります。
 ろばさんはまだ寝ています。

 そして…… というお話。

 絵はフルカラーでかわいらしく、動物たちの目はくりくりとつぶらで愛らしい。
 悪者はいない善意だけの世界で、一眠りしていたろばさんにとっては、目が覚めたときには魔法みたいなことが起きていました。

 この世界が善意だけで回れば、こんな素敵なことが起きるんだよという、物語です。

 これって、「交換」じゃないんですよね。すべてが「プレゼント」。

 まずは、うさぎさんが椅子を作って、見えない「だれか」に「どうぞ」とプレゼントして、それをろばさんが受け取って、そして、それをくまさんが受け取って…

 と、もらった相手に返すのではなく、自分のもらった善意をべつの誰かに返すのです。
 そうすると、善意は戻ってくる。

 「情けは他人(ひと)のためならず」ということわざがありますが、それをこんなにわかりやすく絵本にしてしまった見事さ。

 以前、「ちびゴリラのちびちび」「無条件の愛」を描いた絵本として、必読!とおすすめしましたが、 「どうぞのいす」は、「善意の循環」や「ペイフォワードの気持ち」を描いた絵本として、「ちびゴリラのちびちび」に並んでやはり必読!

 しかも、この物語のすごさは、椅子を作ったうさぎさんが何にも受け取っていないことなんです。
 もしかしたら、お子様によっては、「どうしてうさぎさんは何も得をしていないの」と思うかもしれません。
 でも、うさぎさんの無償の行為が、この奇跡を起こしたのです。

 ここで、あえてうさぎさんのその後に言及しない物語つくりが、わたしは好きです。

 絵柄が性別を選ばないタイプの素朴な絵なのも魅力です。大人が読んでも癒されますので、大人にもおすすめ。
 テーマもやさしく深く、これからお友達を作っていく年齢のお子様に大切なことを伝えてくれているので、読み聞かせにもぴったりです。

 小さなお子様へのプレゼントに、全力でおすすめいたします。
 プレゼントして、かぶっても問題なしの名作です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 まさにHSCにおすすめの絵本です。人の善意の素晴らしさを知るだけでなく、自分も誰かに、そっと優しくしようと思える物語です。
 はちみつやパンなど、おいしそうなものがたくさん出てきますので、読み終わったときのために、はちみつ入りのお茶や、おいしいパンをご用意くださいね。

 

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