【雨ふる本屋】雨の日に迷い込んだ不思議な本屋さん。雨の季節にぴったりのファンタジックストーリー【小学校中学年以上】

2024年3月28日

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雨ふる本屋 日向理恵子/作 吉田尚令/絵  童心社

おつかいにプリンを買いに行った帰り道、ルウ子は雨宿りに寄った図書館から、カタツムリを追って、不思議な場所にたどりつきます。それは「雨ふる本屋」。「物語の種」から、本がうまれるところ。ルウ子はそこである依頼をうけるのでした……

この本のイメージ メルヘンファンタジー☆☆☆☆☆ 映像的☆☆☆☆☆ 本好きさん必読☆☆☆☆☆

雨ふる本屋 日向理恵子/作 吉田尚令/絵  童心社

<日向理恵子>
児童文学作家。主な作品に「雨ふる本屋」シリーズ、「魔法の庭へ」(いずれも童心社)、「日曜日の王国」(PHP研究所)など。日本児童文学者協会員。

<吉田尚令>
1971年大阪府に生まれる。大阪市在住。書籍の装画や挿絵、NHK「みんなのうた」のアニメーションなどで活躍。

 初読です。初版は2008年。

 「火狩りの王」の日向理恵子先生の、不思議な本屋さんを舞台にした、メルヘンファンタジーシリーズの第1巻。

 「火狩りの王」のほうを先に読んでいたわたしは、あまりにもテイストが違うお話で驚きました。(「雨ふる本屋」のほうが古いお話です)「火狩りの王」は、あんなにも容赦のないお話なのに、「雨ふる本屋」はとっても不思議だけれど優しくて……ほのぼのとした、映像的で美しいお話です。

 お話は……

 ルウ子は妹が嫌いです。

 妹のサラが生まれてから、お母さんは病気がちのサラにつきっきり。
 サラが食べたいというので、お母さんに頼まれてプリンを買いにおつかいに出たルウ子は、帰り道ににわか雨につかまってしまいました。

 雨宿りに入った図書館で、カタツムリを追って走るうちに、ルウ子は不思議な場所にたどりつきます。

 そこは「雨ふる本屋」。

 店長はドードーのフルホンさん。店員は妖精使いの舞々子さん。
 わすれられた夢や物語が行き着くところ「ほっぽり森」から流れ着いた「物語の種」から育った本を売っています。

 だけど、最近、流れ着いてくる「物語の種」の様子がおかしいのです。

 ルウ子は、フルホンさんに頼まれて、「ほっぽり森」の様子を見に行くことになりました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 とにかく、すべての描写が映像的で美しい。

 しとしと雨に濡れそぼる本屋さんの店内も、物語の種を抱いて流れ着いてくる花も、「ほっぽり森」で生まれる、ゆらめく色とりどりの種たちも……

 透明でカラフルな、ゼリーやキャンディをちりばめたような、楽しくてかわいくて美しい情景です。

 しかも、いつも優しい雨が降っているのでギラギラした原色ではなく、どれもやわらかな薄い色なのだろうと想像できるのです。透き通ったピンクとか、水のようなブルーとか、淡いラベンダーとかね。

 登場するキャラクターたちのなかで、人間なのはルウ子だけ。
 でも、幸運の青い鳥のホシ丸くんや、蛙の商人・七宝屋さん、舞々子さんの使い妖精シオリとセビョーシなど、不思議な存在たちがたくさん登場し、それがみんなとてもかわいい。

 ガラスの汽車や、ラベンダーのクジラなど、キャラクター以外の舞台装置も美しく、やさしく、愛らしい。

 読んでいる間中、ふわふわとした優しい夢の中にいるような、ほんのりあたたかい気持ちでいられる物語なのです。

 もちろん、ただのかわいいお話ではなく、ルウ子はルウ子なりに日常の悩みがあり、彼女にとっては真剣で、そんなにふわふわしたものではありません。

 が、かといってルウ子のネガティブな気持ちは、ゆき過ぎて恨みつらみや憎しみになることもなく、冒険のなかでごく自然に乗り越えてゆきます。このあたりもさわやか。

 総ルビではありませんが、文章は読み易く難しい漢字には振り仮名が振ってあります。だいたい、小学校中学年向けですが、大人が読んでも心が癒されます。

 本が好きなお子さまに。または、下の子が生まれてなんとなく微妙な時期のお子さまに。そして、この季節におすすめのファンタジーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。想像力をかき立ててくれる、ほんわかとした、摩訶不思議で美しい情景は、HSPやHSCの方にはたまらないと思います。

 妹との微妙な関係に悩む長女の気持ちなどが描かれており、下の子が生まれてから悩みがちのお子さまにおすすめです。

 非常に映像的な物語なので、映像美のファンタジー映画が好きな方にも。
 読後は、舞々子さんのティータイムを想像して、カラフルでかわいいお菓子と茶器で、おしゃれでかわいいティータイムを。

 

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