【ウィリアム・ウェントン】ノルウェーからやってきた、サイエンスファンタジー。電子書籍もあるよ【世界一の暗号解読者】【小学校高学年以上】

2024年3月7日

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世界一の暗号解読者  ウィリアム・ウェントン 1   ボビー・ピアーズ/作 堀川志野舞/訳 カガヤケイ/絵 静山社

ウィリアムが幼いころ、一流の暗号解読者だったおじいちゃんが行方不明になり、なぜか家族は名前を変え、イギリスからノルウェーに引っ越した。8年後、12歳になったウィリアムは、世界で最も難解なパズルを解いたのだが……

この本のイメージ ハイテク☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆☆

世界一の暗号解読者  ウィリアム・ウェントン 1   ボビー・ピアーズ/作 堀川志野舞/訳 カガヤケイ/絵 静山社

<ボビー・ピアーズ> 
1974年生まれ。ロンドン・フィルム・スクール卒業。監督、脚本家、イラストレーター。短編映画「Sniffer」でカンヌ国際映画祭のパルム・ドール獲得。本作は小説デビュー作。

 初読です。比較的新しいシリーズで、ヤングアダルトのジャンルに入ると思います。紙の本は在庫が安定していないようなので、電子書籍がおすすめ。原題はWilliam Wenton and the Luridium Thief です。

 ストーリーは

 ウィリアムは12歳。幼いころ父親と事故に遭い、父は車椅子生活となった。ちょうどそのころ、一流の暗号解読者だった祖父が行方不明になり、なぜか一家は名前を変えてノルウェーに移住する。

 ところが、ある日、ひょんなことから「世界一難解なパズル」をウィリアムが解いてしまい、それがきっかけで、彼は「ポスト・ヒューマン研究所」に入ることになる。

 そこは、科学のような、魔法のような不思議なハイ・テクノロジーを駆使しながら、「何か」の研究をしている場所だった。

 そこでウィリアムは、自分の運命と、そして邪悪で強大な敵の存在を知ることになる……

 と、いうのがあらすじ。

 最初に誤解を解くために説明しますと、この作品における「暗号」と言うのは、ルービックキューブが複雑になったような立体パズルみたいなもので、言語や文章に秘密が含まれている暗号ではありません。

 そして、ウィリアムがその「暗号」を解読するときの解説などはとくにありません。不思議な力でパズルを解読しちゃう展開です。
 ですので、暗号を解読するミステリー的なお話を期待するとちょっとちがいます。

 この物語には「ルリジウム」と言う架空の「知的金属」が登場し、それが物語の鍵となります。それ以外にも、生物のような機械や、意思を持つ(ように見える)ロボット、本物そっくりの合成食品などが登場する、未来的な、けれども少しファンタジックな世界観です。(出版社のキャッチフレーズは「サイエンスファンタジー」)

 主人公のウィリアムには幼児期の秘密があり特殊な力がありそうなこと、特別な施設に入所し専門の訓練をうけること、そしてそこで友達と出会い、冒険を共にするなど……基本のストーリーラインは「ハリー・ポッター」や「パーシー・ジャクソン」に似ています。

 ウィリアムはこれらの三作のなかでは一番、家族に恵まれており、比較的素直な性格に育っています。
また、物語の世界観も、心(らしきもの)を持つロボットや生物的な機械がたくさん登場するハイテク世界になっており、その独特の世界観が魅力です。

 作者のボビー・ピアーズは映画関係の方のようで、すべての場面が映像的で、派手です。おそらく、書いているときに映像を思い浮かべながら書いているのでしょう。疾走感あふれる展開です。

 ただ、心理描写は少ないので、そこは物足りない人はいるかもしれません。
 キャラクターの掘り下げは女流作家のほうが上手い傾向があり、「ハリー・ポッターシリーズ」などハリーの孤独や苦悩が描かれたシーンは胸にせまるものがあります。

 ああいう、悲哀に満ちたシーンはあまり無いのですが、謎に継ぐ謎、危機に継ぐ危機、と言うスピーディーな展開なので、ハラハラしながら最後まで読めます。中だるみが無いのは見事です。

 ノルウェーでは人気のシリーズのようで、日本でもすでに三冊刊行されています。お話のほうは一応この巻のラストでいったんは完結していますので、最後まで読めばハッピーエンドでほっとした気持ちになれます。
 ハイテクファンタジーが好きなら大人でも楽しく読めるのでおすすめ。

 まだまだ謎が多く、これからたくさんの冒険があるよ、と言う予感に満ちたお話なので、読み進めてゆくのが楽しみです。
 今後もこつこつ読んでいこうと思います。

 紙の本は在庫が安定しないようなので、すぐ読みたい方は、ぜひ電子書籍。端末は、ゲームやインターネット閲覧には使えない、読書専用モデルがおすすめです。 

 

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素は意外に少ないのです。アクションシーンや危険なシーンはありますが、残酷なシーンや流血シーンは、気をつけて書かれているので、思ったほどありません。ちょっとみがまえていれば読めるのではないかと思います。

 イギリスとノルウェーをいったりきたりするお話です。ノルウェーのお菓子って本当に知らないんですけど(汗)。マシュマロチョコレートやジンジャークッキー、ココナッツクッキーみたいなのが主流みたいです。
 熱いミルクティーをお供に、週末にお楽しみください。

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