【シノダ!】子ども部屋のたんすの引き出しから異世界へ! 狐の子どもたちの大冒険【樹のことばと石の封印】【小学校中学年以上】

2021年12月12日

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シノダ! 樹のことばと石の封印  富安陽子/作 大庭賢哉/絵 偕成社

パパの名前はハジメ。ママの名前はサキ。そして三人の子どもたちは、ユイ、タクミ、モエ。ごくふつうの家族に見えるけれど、実はママはキツネだったのです!ママの和箪笥から異世界へ。信田きょうだいの異世界大冒険!

この本のイメージ 異世界へ☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ 能力発現☆☆☆☆☆

シノダ! 樹のことばと石の封印  富安陽子/作 大庭賢哉/絵 偕成社

<富安陽子>
富安 陽子(とみやす ようこ、1959年2月15日~)は、日本の児童文学作家。東京都生まれ。和光大学人文学部卒業。25歳でデビューし、1989年「クヌギ林のザワザワ荘」で日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、1997年「小さなスズナ姫」シリーズで新美南吉児童文学賞、2000年「空へつづく神話」でサンケイ児童出版文化賞を受賞。「やまんば山のモッコたち」はIBBYオナーリスト2002文学作品に選出。2011年、「盆まねき」で第49回野間児童文芸賞、第59回産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。2021年、「さくらの谷」で第52回講談社絵本賞を受賞。(wikipediaより)

<大庭賢哉>
1970年、神奈川県に生まれる。イラストレーターとして、児童書のさし絵、漫画、装画などで活躍。主な作品に絵本「トマとエマの絵本」シリーズ(ほるぷ出版)、「トモネン」(宙出版)、「郵便配達と夜の国」「屋根裏の私の小さな部屋」(青土社)。挿画に「シノダ!」シリーズ(偕成社)、「ティーン・パワーをよろしく」シリーズ(講談社)、「旅するウサギ」(小峰書店)、「犬のことばが聞こえたら」(徳間書店)、「魚屋しめ一物語」(くもん出版)等多数。

 人間と狐のあいだに生まれた信田三きょうだいの冒険を描く「シノダ!」シリーズの第二巻。初版は2004年です。

 それぞれの巻でそれぞれの巻でお話は完結していて、続き物ではないので、どの巻から読んでも楽しめます。

 この信田一族の関係を知っていたほうがわかりやすいので、一応、第1巻からお読みになるといいでしょう。
 第1巻のレビューはこちら

 今回のお話は……

 パパとママが友達の結婚式にでかけている間、ユイ、タクミ、モエはお留守番。ところが、子ども部屋で大きな音がすると思ったら、夜叉丸おじさんが飛び出してきました。

 偶然、漢字ドリルを借りにきていた友達の優花ちゃんがユイと一緒に部屋へ入ると、子ども部屋にある、和箪笥。そのいちばん下の引き出しが開いて、不思議な空間が見えます。

 優花ちゃんは、その空間に吸い込まれてしまいました!

 びっくりしたユイとモエでしたが、モエの握っていた金色のどんぐりの力で、引き出しを開け、そのなかへ吸い込まれます。そして、その後、タクミも箪笥から別の場所へ……

 たどりついた先は、不思議な世界。
 森の中に石にされた人々がいて、そのなかに、石にされた優花ちゃんが。モエのつぶやいた不思議な言葉を頼りに、ユイとモエは館の主のもとへ向かいます。

 一方、タクミは、記憶を失った「石の工(たくみ)」とともに、旅をすることになるのでした。
 はたして、優花ちゃんは助けられるのか? そして、この世界の秘密とは?

 ……と、いうのがあらすじ。

 第1巻と違って、かなりぶっとんだ内容なので驚きました。今回は、飛び込み系異世界ファンタジーです。

 狐のママと人間のパパのあいだに生まれた信田三きょうだいは、一族から送られた特殊な能力があります。
 長女のユイは「風の耳」。においや音、目に見えない気配などを感じ取る能力です。長男のタクミは「時の目」。未来や過去を見ることができます。次女のモエはどうやら「魂の口」と言う、人間以外のものの言葉を聞きつける能力のようです。

 三人は、この能力と、知恵と勇気を使い、困難を乗り越え事件を解決します。

 第1巻の「チビ竜と魔法の実」は竜の子どもを自宅で飼うことになった信田一家のホームコメディでしたが、今回は一気にスケールが大きくなり、「ナルニア国ものがたり」のように和箪笥の引き出しから異世界へ跳んで、その世界を救うお話になりました。

 今後は、三人がこの能力を使い、いろんな事件を解決するお話になるのでしょうか。

 狐一族からもらった特殊能力がある三人は、人間のパパからは人を思いやる優しい心を受け継いでいます。それが、今回も事件を解決する大きな力になるのでした。

 ママ以外の狐の親族は、わりと人でなし(まあ人ではないんだけども)で、一族以外の人間にはかなり冷酷で自分勝手です。今回も、夜叉丸おじさんが、なかなかひどい。今回も「だいたい夜叉丸のせい」です。たぶん、この人、こういう人なんだ……。

 夜叉丸おじさんは、冒険家と称してあちこちに旅して、そこの事情に中途半端に首を突っ込み、信田家にトラブルを持ち込むトラブルメーカー。そのうえ、人間には薄情で無責任なのでかなり困る人なのですが、この巻には登場しない、他の狐一族の人々も、それぞれが、相当ずいぶんなところがあります。

 あれですね、よく魔女と人間が結婚するたぐいのファンタジーと似ています。人間と結婚する魔女は、人間が大好きなくらいですから心が優しいし正義感があるのですが、魔女の一族は全員、人間嫌いの人でなしと言う……

 ただ、これがぎりぎりのさじ加減で、憎みきれないように書いてあるのが、巧みの技。ママの一族の人たちは、全員一歩間違えると悪役になってしまうので、そこらへんが本当にすばらしい。

 今回は、三人の、とくにモエの能力の発現を描きつつ、物語の謎解きを通じてきょうだいの結束や、友情、ユイの心の成長などを描きます。
 ユイの優花ちゃんへの友情、責任感、そして、お姉ちゃんとしてしっかりしなきゃという思いなどが、まっすぐに伝わってきます。ときに判断を間違えることもあるけれど、子どもらしい大人っぽさ、みたいなこの年齢特有の美徳があります。歳をとってから読むと、学ぶこともあり、心が洗われます。

 文章は読みやすいのですが、かなりボリュームがあります。ただし、簡単な漢字以外にはふりがながふってあるので、小学校中学年から。長い小説に慣れていないと厳しいかもしれませんが、面白いのでチャレンジしてみてください。小学校高学年なら、大丈夫だと思います。面白いです。

 このシリーズは、まだまだ続くみたいです。これからも、楽しみにコツコツ読んでゆくつもりです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。良質の児童向ファンタジーです。女の子が主人公の正統派冒険ファンタジーがお好きならおすすめです。男の子のタクミくんにも重要な役割があり、大活躍するので、男の子も楽しく読めると思います。

 読後は、モエちゃんの大好きなマシュマロとココアでほっと一息。

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