【ノロウェイの黒牛】美しい絵と幻想的なストーリー。イギリスの民話の絵本。【イギリス・スコットランドのむかしばなし】【4歳 5歳 6歳 7歳】

2024年3月24日

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ノロウェイの黒牛  イギリス・スコットランドのむかしばなし  なかがわちひろ/文 さとうゆうすけ/絵 BL出版

むかしむかし、ノロウェイというところに、三人の娘がおりました。いちばん上のむすめは公爵と結婚したいと言い、二番目の娘は男爵と結婚したいと言いました。末の娘は「ノロウェイの黒牛でいい」と言ったのですが……

この本のイメージ イギリス民話☆☆☆☆ 美しい絵☆☆☆☆☆ 幻想的☆☆☆☆☆

ノロウェイの黒牛  イギリス・スコットランドのむかしばなし  なかがわちひろ/文 さとうゆうすけ/絵 BL出版

<なかがわちひろ>
東京芸術大学卒業。翻訳者、作家、画家。自作の童話「かりんちゃんと十五人のおひなさま」(偕成社)で野間児童文芸賞、自作の絵本「天使のかいかた」(理論社)で日本絵本賞読者賞、翻訳の絵本「どうぶつがすき」(あすなろ書房)で日本絵本賞翻訳絵本賞を受賞。

<さとうゆうすけ>
2006年より雑誌MOEへの投稿をはじめ、2008年に初個展を開催。木彫、針金、陶器などの立体作品も手掛けている。「ノロウェイの黒牛」が絵本デビュー作となる。

 イギリス、スコットランドの民話を美しいイラストで絵本にした「ノロウェイの黒牛」。初版は2019年です。
お話は、このブログでもご紹介した「まほろ姫」シリーズのなかがわちひろ先生。

 原作の民話には様々なバージョンがありますが、この絵本では、

 ノロウェイに三人の娘がおり、いちばん上の娘は公爵夫人になりたいと言い、二番目の娘は男爵夫人になりたいと言い、いちばん美しい末娘は「ノロウェイの黒牛でいい」と言いました。

 そのため、上の娘は公爵と結婚し、二番目の娘は男爵と結婚し、そして、あるとき、末の娘を迎えに家の前におそろしい黒牛がやってきます。

 娘は、黒牛に乗って旅をし、行く先々のお城で手厚く扱われます。娘が黒牛に愛情深く接するようになったため、黒牛は呪いをかけられた王子だとわかりね半分だけ呪いが解けます。

 しかし、王子が魔物と戦い、呪いが解けかけたとき、娘の不注意でふたりは互いを見つけることが出来なくなります。

 今度は娘が王子を探す旅をし、途中で不思議な老婆に、「心が張り裂けそうなときにこの実を割りなさい」と、三つの木の実をもらいます。
 やがて、娘は長い苦しみの末に王子の城にたどりつきますが、その日、王子は魔女と結婚しようとしていました。

 悲しんだ娘は、木の実を割りますが………

 と、いうのがあらすじ。
 最後のところだけは、ここでは書きませんが、ハッピーエンドですから、ご安心ください。

 この絵本の中では、どうして王子が呪いをかけられたのか、少女がどうして「黒牛でいい」と言ったのかがわかりませんが、「美女と野獣」を思わせる民話です。

 この「ノロウェイの黒牛」の伝説、根強いファンがいるようで、札幌の市民劇団がミュージカルにしたこともあるようです。調べていたら、たどりついて驚きました。

 映像を見ると、かなりハイレベルで本格的なのです。ストーリーは伝説の曖昧な部分にオリジナルの設定を加えてドラマチックに再構成されており、面白そう。
 こんなミュージカルがあったんですね。参考までに記事の最後に動画をリンクしておきます。

 絵本のほうは、文章のボリュームがわりとあるので、読み聞かせにおすすめ。ただ、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビなので、50音が読めれば、コツコツとひとりで最後まで読むことができます。

 寒い季節に、暖かい部屋でココアなどを飲みながら、親子で読むのにおすすめの絵本です。イギリスの民話独特の、摩訶不思議な雰囲気の、余白の多い物語なので、謎めいた部分をあれこれと想像するのも楽しい。
曖昧な部分のあるファンタジーは、子どもの想像力をかきたてます。

 また、さとうゆうすけ先生の幻想的な絵もすばらしい。少女と王子が、思春期に入る前のあどけなさを残した絶妙の美しさ。古風で幻想的な背景や風景は、摩訶不思議な世界へと誘ってくれます。女の子の表情が愛らしく、ガラスの丘を登るすがたはけなげで、胸をつかまれる気持ちになった人もいるはず。

 読み聞かせに、ひとり読みに、また、大人の癒し時間にもおすすめの絵本です。サイズは少し大きめですが、そのぶん、美しい絵を楽しめます。

 静かなおうち時間に読みたい絵本です。春を待つ季節のおやすみ前に、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。娘は冒険中に苦労はしますが、ラストはハッピーエンドです。美女と野獣など、魔法にかけられた王子ものがお好きならぜひ。
物語の中で語られていない、謎が多く、自分であれこれと想像するのが好きなお子さまなら、楽しいでしょう。

 また、絵がほんとうにすばらしいので、眺めているだけで癒されます。絵本を絵で選ぶタイプの方にもおすすめです。
 子どもから大人まで、楽しめる絵本です。

 

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