【ちいさなもみのき】森の小さなもみの木と少年の心あたたまるストーリー。クリスマスにぴったりの絵本。【4歳 5歳 6歳】

2024年4月14日

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ちいさなもみのき マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 バーバラ・クーニー/絵 かみじょうゆみこ/訳 

森のはずれの大きな緑の木々から少し離れたところに小さなもみの木が一本、立っていました。ある日のこと、男の人が森のほうから歩いてきて、地面を掘り、もみの木を担いで運びました……(ちいさなもみのき マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 バーバラ・クーニー/絵 かみじょうゆみこ/訳 )

この本のイメージ もみの木☆☆☆☆☆ クリスマス☆☆☆☆☆ 奇跡☆☆☆☆☆

ちいさなもみのき マーガレット・ワイズ・ブラウン/作 バーバラ・クーニー/絵 かみじょうゆみこ/訳 

<マーガレット・ワイズ・ブラウン>
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown (1910年5月23日~1952年11月13日) はアメリカの児童文学作家で児童書の編集者。ブラウンは、絵を引き立てるシンプルで美しい文を絵本画家に提供し、クレメント・ハード(Clement Hurd)挿絵によるおやすみなさいおつきさま(Goodnight Moon)や ぼくにげちゃうよ(The Runaway Bunny)など、多くの絵本作品を残した。

<バーバラ・クーニー>
バーバラ・クーニー(Barbara Cooney、1917年8月6日~2000年3月10日)は、アメリカ人児童文学作家、イラストレーターである。スクラッチボード等多様な技法の作風で知られる。
1959年と1980年にコールデコット賞、1983年に全米図書賞を受賞した。

<かみじょうゆみこ>
上條由美子。東京女子大学文学部心理学科卒業後、米国ニュージャージー州ラトガース大学大学院で図書館学を学ぶ。また同州トレントン市立公共図書館児童室に勤務する。大阪YWCA千里子ども図書室代表。翻訳に「ミリー・モリー・マンデーのおはなし」「ちいさなもみのき」「クリスマスのちいさなおくりもの」「クリスマスのりんご」(以上福音館書店)、「農場にくらして」(共訳・岩波書店)、「絵本を語る」(ブック・グローブ社)などがある。 

 原題はThe Little Fir Tree.アメリカでの初版は1954年。日本での初版は1993年です。
 世界中で60年以上愛されているロングセラー絵本「ちいさなもみのき」。

 お話は……

 深い森から少しだけ離れた原っぱに、小さなもみの木が生えていました。
 小さな種から芽を出し、四季を感じながら七年の時が過ぎました。

 小さなもみの木は、暗い森の大きなもみの木たちから離れたところにいるのを少し寂しく感じていました。

 ある日、男の人がこの小さなもみの木を見つけ、周囲を注意深く掘り、根を麻袋に包むと肩に担いで運びました。
 家には足の悪い少年がいて、外に出られなかったのです。

 もみの木は鉢に植えられ、少年の部屋に運ばれ、美しく飾られてクリスマスツリーになりました。
 自分だけの素晴らしいクリスマスツリーを見て、少年は喜んで歌を歌いました。

 冬が終わるともみの木は森のはずれに帰りました。
 そしてまた季節がめぐり、冬になると、男の人がやってきてもみの木を男の子の部屋へ運びました。
 子どもたちはクリスマスキャロルを歌いました。

 春になり、再び、もみの木は森のはずれにもどりました。

 そして、その年の冬……奇跡が起きたのです。

 ……と、いうのがあらすじ。

 植物も動物と同じように感情があるという人がいます。
 話しかけながら心をこめて植物を育てると、その人の気持ちに植物も答えてくれるのだそう。

 バラの花に「あなたは美人ね、いつも綺麗ね」と言って育てるとより一層美しく育つというのはよく聞く話です。

 これは、小さなもみの木と少年の心の交流の物語です。
 足の悪い少年は、自分の力で外に出ることはできませんでしたが、もみの木がやってくることによって生きる力をもらいました。
 そして、森から離れたところでひとりさみしく立っていたもみの木も、少年と出会うことによって喜びを得たのです。
 足の悪い少年も、原っぱのもみの木も、どちらも自力では移動できません。
 しかし、少年を元気付けたいと考えた父親が少年ともみの木を出会わせました。

 自分だけの素敵なクリスマスツリーに励まされた少年と、誰かを励ます喜びを知ったもみの木。
 この出会いは、やがて奇跡を起こします。

 海外のクリスマスの絵本には、誰かのささやかな親切が大きく育って奇跡を起こすお話が多く見られます。それは、クリスマスという日の性質や「与える心」の大切さなど、宗教的な意味があるのだと思います。

 いつからか日本では「自己責任」と言う言葉が重さを持つようになり、もともと責任感の強い日本人は自ら重責を抱え込むようになりました。
 また、「自分の力で立ち上がること」や「自分の力で助けを求めること」ばかりが重要視され(大切なことではあるのですが)何気ないことを他人のためにすること、ちょっとした手助けをすることなどは「余計なおせっかい」とされるようになりました。(実際、よけいなおせっかいは確かにあります)

 しかし、このもみの木と少年のように、自力では出会うこともなかったような存在が出会うには、第三者の力が必要です。もちろん、それで何も良きことは生まれないかもしれないし、かえって迷惑がられることもあるかもしれない。けれど、一人の力でどうしようもなかったことが、ちょっとしたきっかけで大きな解決を呼び込むこともあります。

 少年が健康になるには、もちろん少年自身の努力が不可欠です。けれど、その努力を支えるのは誰かに必要とされる喜びや励まされる幸せではないでしょうか。

 クリスマスの絵本はいつも「与える喜び」「受け取る喜び」に満ちています。
 そのシンプルな幸せは、生きてゆくうえで一番大切なことを教えてくれるのです。

 字はすべてひらがなとカタカナ。
 見開きに最大で十六行前後で、絵本としては文章量が多いほうです。しかし、漢字は使われていないので、五十音が読めればコツコツひとり読みで読みきることができるでしょう。
 もちろん、読み聞かせもおすすめです。おとうさんががんばるお話なので、おとうさんの読み聞かせもいいですね。
 また、絵が美しく、心がほっこりとする絵本なので大人の和み本としても。

 この季節にぴったりの絵本です。
 暖かいお部屋で、お気に入りのホットドリンクをお供にいかがでしょう。
 クリスマスミュージックを聴きながら読むと、もみの木の幸せな気持ちがじんわりと伝わってきます。

 クリスマスプレゼントに。冬休みの読み聞かせに。大人の和みタイムに。
 「ちいさなもみのき」は、誰かに優しくしたくなる、心あたたまる絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。植物と少年の心あたたまる交流の物語です。HSCのお子さまのほうがより多くのメッセージを受け取れるでしょう。
 植物を育てるのが好きなお子さまに。

 

 

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