【チリとチリリ】小さなふたりのファンタジックサイクリング。かわいくて不思議なロングセラー絵本【4歳 5歳 6歳】

2024年3月25日

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チリとチリリ どいかや/作 アリス館

チリとチリリがとてもはやおきをしたあるひ、ふたりはじふんしゃででかけることにしました……。小さな女の子たち、チリとチリリがサイクリングに出かけると、不思議な森のカフェやパン屋さん、ホテルを見つけます……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ サイクリング☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆

チリとチリリ どいかや/作 アリス館

<どいかや>
1969年東京に生まれる。東京造形大学デザイン科卒業。「アイヌのむかしばなし ひまなこなべ」(萱野茂・文)で産経児童出版文化賞産経新聞社賞を受賞。「チリとチリリ」シリーズ、「チップとチョコのおでかけ」「おはなのすきなトラリーヌ」「ねこのかあさんのあさごはん」「ハーニャの庭で」「ナナカラやまものがたり」「ぼくたちねこなのゆかいな8ぴき」「ポーリーちゃん ポーリーちゃん」など、自然や生き物への愛情があふれる絵本を数多く手がけるほか、緑ゆたかな山間で猫たちと暮らす日々をつづった「ちっぽけ村に、ねこ10ぴきと。」などのエッセイも発表している。

 激動の時代、目に入るニュースは辛いものばかり……朝、目が覚めて、今日こそは何か良いニュースがあるのではないかと思ってみては落胆する、そんな繰り返しですね。

 あまりにも無力なとき、どうしても心が沈んでしまうとき、受け止めきれないときは、すこしだけ距離をとってもいいのではないかと思います。わたしも、きついときは、睡眠時間を多くとったり、自然に触れてみたりして回復をはかりますし、ブログを手伝ってもらったりもします。

 きついときに、誰かに手伝ってもらうのもいいと思います。何もかも背負うとしんどいですもんね。

 本日ご紹介するのは、ほのぼのとした、かわいらしいファンタジックな絵本です。愛らしいもの、美しいものは心をおだやかにしてくれます。大きなテーマがあるものだけでなく、シンプルで、心の栄養になってくれるような絵本も人には必要です。

 どい かや先生のロングセラー絵本、「チリとチリリ」のご紹介です。初版は2003年。どいかや先生の絵本は、過去に「ねこのニャンルー」をご紹介しています。

 この2003年と言うのは、わたしにとって殺人的に忙しかった時期で、この年から10年くらいのあいだのベストセラーやヒット作は、ほとんど読んだり見たりすることができませんでした。「本なんていつでも読める」と思い、いろいろと後回しにしていたのですが……最近、気づいたんです。

 読書って、スポーツと同じで身体的能力に依存する趣味だったんですね。

 数年前に体調を崩したとき「どういうわけか本を読むことが出来ない」と言う状態になり、苦しんだことがあります。
 読んでいると目が滑ってしまうんですよ。幸いにして一時的な症状で、今は読めるのですが、当時も短い文章やメールは読めました。小説のように長くなるとダメだったのです。

 あれはなんだったんでしょう、体力がなかったからなのか…… ただ、人に聞くところではそういう症状の方は、目立たないけれどけっこういらっしゃるらしいので、歳をとると読書ですら、様々な事情できつくなってしまうのでしょう。

 だから、本も、若いときに読んだほうがいいんですよ。

 けれども、そんなときでも「何かは読みたい」と思うもので、それで絵本や児童書を読み始めました。当時の動機は「これなら読めるかも」くらいでした。
 するとね、様々な天変地異や、トラブルや、体調不良や、暗いニュースや……そんなこんなでひからびてしまった心に、しみるのです。

 それが回復剤になりました。

 このブログでは、「大人の趣味としての児童書」もおすすめしています。お子さまと一緒に、そしてひとり読みの趣味として、絵本や児童書を選んでみてはいかがでしょう。

 自分が体験してみて思うのですが、本当に本気で疲れ果ててしまったときには、シンプルなものが効くのです。

 もちろん、複雑で、高尚で、教訓的なものや、考えさせられる問題作も心を成長させてくれたり、豊かにしてくれたりもするのですが、その人の状況によっては、そういうのが受け止められないときもあります。

 そういうときは、心が、混じりけのない、水のようなものをほしがっているのだと思います。

 この絵本は、そういう絵本です。

 かわいい二人の女の子、チリとチリリが朝、早起きをして、自転車でおでかけします。
 森の中を走っていると、どこからかいい香りがしてきて、森の喫茶店にたどりつきます。(この、カフェでなくて「きっさてん」と書かれているのが、なんだかすごくいい)

 そこは、動物や虫たちがみんな一緒に一休みできる場所で、チリとチリリも動物や虫たちと一緒に楽しくお茶をします。

 ふたりが飲んだのは「どんぐりコーヒー」と「れんげティー」。

 ふたりはまた自転車で走り出します。次にみつけたのはパン屋さん。
 くまさんは「はちみつパンの桑の実ジャムサンド」、うさぎさんは「にんじんパンのゆずジャムサンド」、チリとチリリは「くるみパンのいちごジャムサンド」「きなこパンのくりジャムサンド」を買いました。どれもおいしそう。

 池のほとりでパンを食べ、さらに自転車で走ると、森のホテルに着きました。森の動物たちが仲良く宿泊するホテルです。

 ホテルには中庭があって、そこでは動物たちが演奏会をしています。チリとチリリはベランダに出て中庭を見下ろしながら、一緒に歌いだしました。

 すてきな森の夜でした……と、いうお話。

 動物ファンタジーあるあるなのですが、肉食獣も草食獣も、小動物も虫も、みんな仲良く、楽しげに登場します。

 小さな子どもでも本気の動物好きだと、こういうのを受け付けない人もいるのですが、わたしは大人になってからも好きで時々読みます。たぶん、わたしの児童書好きのルーツが「ドリトル先生」だったからでしょう。

 私が子どもの頃、「ジャングル大帝」を「嘘だ」と言って憤っていた子がいました。「白いライオンがジャングルでほかの動物たちに尊敬されることはない」「肉食獣と草食獣が仲良くするなんてありえない」と言うのが理由なんですけど、そこはファンタジーですからね……。

 ただ、大人になってから思い返すと、物語を鵜呑みにせずそういうところに気づく小さな子どもの感性も大切だな、と思うので、どっちがいいとかではないと思うんですけども。

 そんなこんなで、好き嫌いが分かれるのが「動物ファンタジー」と言うジャンル。

 でも、疲れ果てた大人だと、子どもとは別の意味で、こういう「ありえないファンタジー」が、しみるのです。気力体力が本気でそげているときは、カタカナとひらがなのみで、たくさん字が並んでいないのもありがたい。

 ふんわりとした愛らしい絵を眺めながら、ほのぼのとしたストーリーを追いながら、身体を伸ばしてゆっくりしていると、しんどい心が癒えてくるのを感じます。

 読み聞かせにもおすすめの絵本なのですが、この本は、ぜひ、大人のなごみ絵本として。癒されます。

 週末の夜、お風呂上りに、ハーブティーを飲みながら、ゆっくりと眺めながら読むのにおすすめの絵本です。がんばったときの週末に、読んでみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 おすすめです。いっさいのネガティブ要素がありません。ただただ、癒される絵本です。小さなお子さまから大人まで。

 やさしいもの、かわいらしいものに触れたくなった方に。プレゼントに、お見舞いに。あらゆる優しいプレゼントにおすすめの絵本です。

 読後は、森のパン屋さんのメニューでティータイムはいかがでしょう。どのパンもおいしそう。桑はブラックベリーに似た味の実です。はちみつパンにブラックベリーのジャムを塗れば雰囲気を楽しめます。

 

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