【ちいさな魔女とくろい森】ハロウィンシーズンに!森を助ける魔女の物語【4歳 5歳 6歳】

2022年10月18日

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ちいさな魔女とくろい森  石井睦美/作 岡田千晶/絵 文溪堂

満月の夜、ちいさな魔女はいちわのカラスをつれて、おおきな魔女といっしょに北の国へむかいます。その森はびょうきで、魔女たちがきてくれるのをまっていたのです……

この本のイメージ 魔女☆☆☆☆☆ 森を癒す☆☆☆☆☆ 受け継がれる想い☆☆☆☆☆

ちいさな魔女とくろい森  石井睦美/作 岡田千晶/絵 文溪堂

<石井睦美>
神奈川県生まれ。「五月のはじめ、日曜日の朝」(岩崎書店)で毎日新聞小さな童話大賞と新美南吉児童文学賞。駒井れん名義「パスカルの恋」(朝日新聞社)で朝日新人文学賞、絵本の翻訳「ジャックのあたらしいヨット」(BL出版)で産経児童出版文化賞大賞、「皿と紙ひこうき」(講談社)で日本児童文学者協会賞。
作品に「わたしはすみれ」シリーズ(偕成社)、「しずかな しずかな クリスマス・イヴのひみつ」(BL出版)、「ビックバンのてんじくネズミ」(文溪堂)、「兄妹パズル」(ポプラ社)、「愛しいひとにさよならを言う」(角川春樹事務所)など多数。

<岡田千晶>
大阪府生まれ。セツ・モードセミナー卒。絵本作家・イラストレーター。ボローニャ国際絵本原画展2010ほかの入選、入賞歴がある。絵本作品に「うさぎくんとはるちゃん」「だいすきのしるし」(岩崎書店)、「ぽっつんとととは あめの おと」(PHP出版)、「ちいさいわたし」(くもん出版)、「もうすぐもうすぐ」(教育画劇)、「あそびたいものよっといで」(すずき出版)、童話の挿絵に「ラッキーセブン」(ポプラ社)、「ムカシのちょっといい未来─ユウレイ通り商店街1」「ダンス・ダンス!─ユウレイ通り商店街2」(福音館書店)など多数。

ちいさな魔女とくろい森  石井睦美/作 岡田千晶/絵 文溪堂

 ハロウィンシーズンなので、魔女の絵本のご紹介です。初版は2019年。

 自称環境保護団体の人がゴッホの「ひまわり」にトマトスープをぶっかけたと言う衝撃ニュースで朝から呆然としております。同じ想いのみなさま、こんにちは。  ※絵は無事だったそうです。本当によかった!

 多くの方がSNSなどでつぶやいておられますが、これがどう環境保護につながるのか、さっぱりわかりません。

 自然環境って、とても時間をかけて作られるのでなんらかの理由で崩壊したとき、再び回復するには長い時間と努力が必要になります。

 破壊するのは一瞬なので、美しい自然が失われたときの損害は大きいものです。しかし、だからといって、一人の人間が生涯を賭けて生み出そうとした芸術を破壊することで、それが伝わるものなのか……

 わたしの中には自然を尊ぶ気持ちや女性の自己実現を応援する気持ちがありますが、自然を保護するために誰かの大切なものを毀損する破壊的行動に出たり、アニメや漫画のキャラクターをよく知ろうともせずに攻撃することが、それぞれの目的に本当にかなうものなのか、いつも疑問に感じています。

 これは、そんなわたしが書いているブログです。

 さて、本日ご紹介するのは、「ちいさな魔女とくろい森」と言う絵本。
 夜の月明かりの下で生きる魔女たちの物語です。

 どこか、遠い国で。

 とある魔女がちいさな魔女である娘を連れて北の国にやってきました。ここの森が病気で、助けるためにやってきたのです。

 おおきな魔女とちいさな魔女は森のちいさな小屋に住み、魔法の薬を作って木々に与えるのでした。

 森が回復するには時間がかかります。まだまだ回復までほど遠いというとき、南の森の病気を治してほしいという知らせがおおきな魔女に届きました。

 ちいさな魔女は、自分が北の森の世話をするから、お母さんは南の森へ行ってと言います。

 ちいさな魔女は呪文を覚えてしまっていました。呪文だけでは薬は作れない。お母さんのおおきな魔女は、ちいさな魔女に薬の作り方を教えます。

 厳しい練習の末に、ちいさな魔女は薬が作れるようになりました……

 ……と、いうのがあらすじ。

 ちいさな魔女は、お母さんのおおきな魔女が使っている魔法を習得するために「とっくん」します。この「とっくん」というのは、特別訓練の略で漢字では「特訓」と書きます。

 最近はなかなか耳にしませんが、令和でも使う言葉ですか? 昭和ではあたりまえのように使われた言葉です。「アタックNo.1」とかで。(古いよ)

 「アタックNo.1」って、おそらく東京オリンピックの影響で生まれた漫画だと思います。少女漫画では「アタックNo.1」、少年漫画では「巨人の星」が大ヒットして、子ども向け漫画に「スポ根もの」があふれました。スポ根とはスポーツ根性の略です。「特訓」は、当時よく耳にした言葉でした。

 今調べたら、令和でもゲーム等では使われる言葉のようです。

 まあ、つまりは、「ある目的のために、とてもとても頑張って、たいへんな努力をする」と言うこと。
 特訓は、自主練習ではなく指導者がつきっきりになって特別に指導する意味があるので、お母さんのおおきな魔女はちいさな魔女につきっきりで教えてくれたはず。

 魔法をおぼえたちいさな魔女は、北の森をまかさせます。
 これからは、ちいさな魔女が北の森を守るのです。

 いつのまにか、ちいさな魔女は一人前になっていたのでした……

 月の黄色、深い濃い青の魔女服、黒い森…… 明るい色は月の黄色しかありませんが、月明かりに照らされた世界を描く、ふんわりとやさしい絵です。

 魔女の魔法で一瞬で森が生き返る……というわけではないことがリアル。
 森の回復も、ちいさな魔女の成長も一瞬ではないけれど、毎日毎日地味な努力を続けることによって、少しずつ少しずつ成果が出るものです。

 あっという間に森が蘇るのではなく、ちいさな魔女がちいさな一歩を踏み出したことで、むしろ力強い未来を感じさせます。

 字は漢字とひながなの混合ですが、すべての漢字には振り仮名が振ってある総ルビです。50音が読めればコツコツひとりで読めるのでひとり読みもできますが、母娘ものなので読み聞かせにもぴったり。

 努力の大切さだけでなく、森などの大自然と、人間との関わり方についても考えさせてくれる絵本です。
 公園や森の葉が色づき始めるこの季節、こんな絵本はいかがでしょう。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。

 暗い色合いなのに、やさしさがあふれる、あたたかみのある絵です。魔法を題材にしていますが、魔法は簡単に問題を解決する手段ではなく、毎日の努力が必要なことが描かれています。

 「こうしましょう」「ああしましょう」と言う具体的なメッセージはないけれど、読んだ子の心に何かが芽生えるよう、願いをこめられているのが感じられます。HSCのお子さまのほうが、より多くのメッセージを受け取れるでしょう。

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