【科学でナゾとき!】科学を使って事件を解決!きっと勉強が好きになる、新感覚の科学ミステリー第3巻【星空キャンプ事件】

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科学でナゾとき! 星空キャンプ事件 あさだりん/作  佐藤おどり/絵  偕成社

パーフェクトな児童会長彰吾のひみつは、変人理科教師キリン先生がじつは父親であること。そんな彰吾に、ライバルが出現!彰吾は、ひみつを守りながら事件を解決できるのか? 身近な科学で事件を解決するシリーズ第三巻。  

この本のイメージ 科学の知識☆☆☆☆☆ ミステリー☆☆☆☆☆ ライバル登場☆☆☆☆

科学でナゾとき! 星空キャンプ事件 あさだりん/作  佐藤おどり/絵  偕成社

<あさだりん>
1970年東京都生まこうれ。早稲田大学第一文学部卒。現在は長野県松本市在住。日本児童文学者協会会員・信州児童文学会会員。作品に「まっしょうめん!」シリーズがある。

<佐藤おどり>
イラストレーター。書籍・参考書などの装画や挿絵で活躍中。

科学でナゾとき! 星空キャンプ事件 あさだりん/作  佐藤おどり/絵  偕成社

 「科学でナゾとき!」第三巻は「星空キャンプ事件」。初版は2022年9月。

 このシリーズは、一つの本に三本から四本の短編が収録されているオムニバスで、どの巻から読んでも楽しめるようになっています。

 しかし、おおまかな時の流れはあるので、もし、順番に読みたい方は、まず「わらう人体模型」からお読みください。「わらう人体模型」のレビューはこちら

 このサイトでは、わたしが子どもの頃好きだった児童文学だけでなく、「こんな本がわたしの子どもの頃にあったらな」と思う本をご紹介しています。

 そのなかに「学校の勉強が楽しくなりそうな本」があります。子ども時代、生活の中で学校が占める時間は長く、授業や宿題、つまり「勉強すること」がつらいと、毎日が味気なくなってしまいます。けれども、ただ教えられたことを毎日丸暗記しているだけなら、楽しいわけがありません。

 学校で教えてもらうことは、どんな役に立つのかな? 学校の勉強で、身近な謎が解けるのかな?
 そんな気持ちにこたえてくれるのが、この「科学でナゾとき!」です。

 ストーリーは……

 主人公、鈴木彰吾は自他共に認めるパーフェクトな児童会長。でも、誰にも知られたくない秘密がありました。それは、誰がみても変人にしか見えない、理科教師キリン先生が父親だと言うこと。

 常にかっこよくありたい彰吾は、ドジでかっこわるいお父さんが恥ずかしくて仕方がありません。しかし、このお父さん、身近な謎を理科の知識で解決する天才なのです。

 彰吾たちの学校は夏休み。
 公民館での夏祭りや、学校の畑当番、山でのキャンプなど、ふだんはできない体験がたくさんできるときです。

 青葉小学校児童会長の彰吾はそれぞれのイベントで張り切りますが、そこに赤羽小学校の児童会長中島拓実くんがあらわれます。はじめて出会うライバル。はたして……

 ……と、言うのがあらすじ。

 短い物語のオムニバスで、今回収録されている物語は、

  ・ジュースひえひえ事件
  ・スライムどろどろ事件
  ・夏のニラ畑事件
  ・星空キャンプ事件

 の四本です。

 今回はご紹介するのが遅くなり、夏のお話のご紹介が今になってしまって、本当に申し訳ありません。
 キリン先生は今回も大活躍。そして、彰吾くんとの距離も少しだけ縮まります。

 また、新しいキャラクターも登場。
 彰吾くんのライバル、赤羽小学校の中島拓実くん、そして、夏鈴ちゃんの弟の草太くんと風太くんです。

 拓実くんは彰吾くとんはまたちがった意味で親子関係に問題を抱えていそう。
 ふたりはライバル関係ではありますが、だんだんわかりあえるようになります。

 とはいえ、彰吾くんとキリン先生との関係は、とくに深刻な問題ではないのです。彰吾くんが恥ずかしがっているだけで。キリン先生、かっこいいし。

 キリン先生は、科学の知識で身近な事件を解決してくれる頼もしいお父さんなのですが、好きなことに夢中になりすぎるとほかのことに注意が向かなくなる性格のため、科学以外のことにはとことんポンコツなのでした。
 家族にはポンコツなところで迷惑をかけることも多いため、彰吾くんはどうしてもお父さんが「かっこわるく」感じてしまう。

 でも、好きなことに夢中になるのは幸せだしかっこいいこと。

 わたしは、誰かが自分の好きなことについて熱弁をふるっているのを聞くのが大好き(自分がまったくわからないジャンルのことでも)なので、キリン先生のような人は大好き。

 好きなことについて語ってる人って、目がキラキラしてて幸せそうじゃないですか? ちょっと早口になるけど。誰かが幸せそうな様子を見るのは、こちらも幸せ気分になります。

 昔から、クラスメイトの噂話とかを聞くより、豆知識やウンチクを聞いていたほうが楽しかったんですよね。相手がマシンガントークになるとこちらは「ほええ」「そうなんだー」くらいしか相槌うてなくなるけれど、それもそれで楽しいものです。

 なので、キリン先生が立て板に水で話始めたときは「おおっ、待ってました」とわたしは思うんですが…… 周囲の人々は「話が長い」と思うみたい。そうか……ふつうはそうなのか……

 でも、いくつもの事件を一緒に乗り越えて、彰吾くんとキリン先生の心の距離はぐっと縮まりました。というか、キリン先生の心はいつも彰吾くんの傍にあって、彰吾くんの心が開いた感じです。

 彰吾くんが小学校六年生なので、小学校高学年からおすすめ。でも、夏鈴の弟たちも登場するので、賢い子なら小学校中学年からでも楽しく読めそうです。

 どれも、学校の理科や、科学の知識がうんと身近に感じられるお話ばかり。
 大人が読んでも面白いので、親子で読んであれこれ感想を話し合うのもいいですね。

 ところで、今回はひとつ、個人的な発見が。夏鈴ちゃんの名字は「山本」って言うんですよ。つまり、彼女の弟くんの名前は、山本そ……  あさだりん先生、応援しています!

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。気持ちのすれ違いも、ちゃんとおさまるところにおさまるように書かれており、登場人物はいい人、いい子ばかりです。

 学校の理科の授業で習う知識が、身近な事件を解決する糸口になっているので、科学の知識が身近なあれこれにこんなに関係しているのだと気づかせてくれる科学ミステリーです。

 読後は、みんなで餃子パーティーをしたくなります。

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