【ライバル・オン・アイス】フィギュアスケートへの情熱につき動かされる自己実現ストーリー第3巻【小学校中学年以上】
特待生ナンバーワンを選ぶ特別合宿が始まった。美馬のほかに全国から集められた女の子たちは、いずれ劣らぬ精鋭ばかり。はたして美馬は勝ち残ることが出来るのか?
ライバル・オン・アイス 3 吉野万理子/作 げみ/絵 講談社
<吉野万理子>
1970年生まれ。神奈川県出身。作家、脚本家。2005年、「秋の大三角」(新潮社)で第1回新潮エンターテインメント新人賞を受賞。児童書の作品に、シリーズ20万部を超え、文庫化もされた「チームふたり」などの「チーム」シリーズ(学研)や「100%ガールズ」シリーズ、「時速47メートルの疾走」「赤の他人だったら、どんなによかったか。」(以上講談社)などがある。「劇団6年2組」「ひみつの校庭」(ともに学研)でうつのみやこども賞受賞。
<げみ>
1989年兵庫県三田市出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動をはじめる。

<この季節おなじみのスケートトーク。不要な方はスクロールしてね>
今朝まで、コロラドスプリングスで四大陸選手権でした!
まずは女子シングル、千葉百音選手、銅メダルおめでとうございます!
昨年の全日本選手権のショートプログラム「シンドラーのリスト」で心をつかまれた方も多いのではないでしょうか。繊細な表現力、優雅な仕草、ジャンプの前後の動きは滑らかで、スピンは美麗。儚げな中に力強さがあります。来シーズンからはシニアに参戦。活躍が楽しみです!
渡辺倫果選手、フリーのトリプルアクセル、すばらしかった!渡辺選手のジャンプはバシン、と決まるとかっこいいし本当に気持ちいい。だんだん調子が上がっているように感じます。ショートフリーともにトリプルアクセルを揃えれば、さらなる得点の上積みも期待できて、今から世界選手権で完成形を見るのが楽しみです!
吉田陽菜選手、ショートフリーともにトリプルアクセルへの挑戦、すばらしかったです。はつらつとした明るいパワーがみなぎる選手。このほがらかで健康的な雰囲気は、吉田選手の魅力だと思います。素敵な演技をありがとう。これからも、期待しています!
そして、男子シングル、三浦佳生選手、金メダルおめでとうございます!
四大陸チャンピオンの最年少記録を一ヶ月更新らしいです。すばらしい! 以前の最年少記録(17歳9カ月)のネイサン・チェン選手のその後の活躍を考えると、将来が楽しみですね。フリーの「美女と野獣」は圧巻。猛スピードでジャンプに突入してゆく豪快なスタイルはすでに海外にもたくさんのファンがいるようです。最後のループのあとのガッツポーズすら振り付けのようでした。本当におめでとうございます。世界ジュニア、期待しています。
佐藤駿選手、銅メダルおめでとうございます!
素晴らしい、渾身のフリーでした。冒頭の四回転ルッツが決まるとあとは流れに乗ってばんばんジャンプが決まって気持ちいい。最後は倒れこんでしまうほど力を注ぎ込みました。それでも、まだまだスピンやステップなどの上積みが期待できて、今後が楽しみです。
島田高志郎選手、お疲れ様でした。今回はジャンプが上手く決まりませんでしたが、わたしは島田選手の表現力や独自の世界観が大好きです。どんなにうまくいかないときも、全開の笑顔で滑るステップ、幸せ気分をもらえます。今後も応援しています。
そして、ペアはりくりゅう!
三浦璃来、木原龍一組、優勝おめでとうございます! 本当にめでたい!
ミスもあり、内容的には満足ではないかもしれませんが、完成形はぜひ世界選手権で。ふたりの演技からあふれる多幸感、心が洗われるような雰囲気にはいつも元気をもらっています。ありがとう、そしておめでとう。
アイスダンス。
チームココこと小松原組、かっこよくて素敵な演技でした!二人の息がぴったりで、キレキレの演技とあうんの呼吸が気持ちいい。フリーダンスの妖艶な雰囲気が好きです。これからも、応援しています。
かなだいこと村元高橋組、お疲れ様でした。今回は高地ということもあって、高橋選手にはきつかったかもしれません。男子シングルでも、試合後に倒れこんでしまう選手が何人かいました。高地での高難度の技はとにかく体力を奪います。
ひとつひとつの技がすばらしく、何をするにせよ難易度を下げて無難にまとめることを選ばない挑戦的なカップル。ふたりがシングル選手出身ということもあって勝負師ですね。点数と順位だけだとこの二人のすごさは伝わらないので、ぜひ、動画をごらんになっていただきたい。ふたりが挑戦する高みをうかがい見ることができます。ワールドでは渾身の演技をみせてくださいね。
海外選手について少し。
ボーヤン・ジン選手、おかえりなさい。病み上がりで本調子ではない状態でもボーヤン選手らしい演技をみせてくれました。ショートプログラムの振り付けはかっこよかった。デビューの時は笑顔がかわいい、あどけない少年でしたが、もうかっこいい青年なんですね。これからも、応援しています。
キーガン・メッシング選手。すばらしい演技でした。とくにフリープログラムはキーガン選手の春風のような魅力が全開。キーガン選手の演技が終わった後、感動しすぎて「もう、キーガンが優勝でもいいよ!」とつい思っちゃっていたのは内緒。見ているだけで心があったかくなる演技をしてくれる選手です。世界選手権で見納め。会心の演技を期待しています!
<ここからが本題。本日の本紹介>
本日ご紹介するのは、吉野万理子先生の「ライバル・オン・アイス」第3巻。2017年初版です。
フィギュアスケートを習う10歳の女の子、三矢城美馬と彼女のライバルたちが織り成すスポーツ群像ドラマです。
お話は、第1巻から完全に続いているので、このレビューを読んで興味を持たれた方は、まずは、第1巻からお読みください。第1巻のレビューはこちら↓
ストーリーは……
ついに、特待生を決める選抜合宿が始まりました。
められたのは、それぞれ個性的で実力もある選手たち。ノービス9位の朝霧花恋。バレエとフィギュアの二刀流の聖祥子。息を飲むほどの美少女、世良光香。カナダからきた佐波樹理亜。
ライバルたちにも様々な事情があり、短い合宿のなかで美馬は彼女たちとの友情もはぐくんでゆきます。
しかし、勝負は勝負。
はたして、美馬は、最終選考に残れるのでしょうか……
……と、いうのがあらすじ。
今回は、あらたなライバルたちが登場。
選考合宿とは言え、家を遠く離れて泊り込みになるなかで、少女たちは心を通わせるようになります。
1巻、2巻では、ギスギスした人間関係になりがちなライバル関係でしたが、今回はさすがにそれぞれが選び抜かれた子たち、それぞれのスタイルに違いはあれど、フィギュアスケートに対する想いは真剣です。
美馬は、ここで愛音以外の友だちを作ることができました。スケートに打ち込みながら、本当の意味で切磋琢磨できる好敵手と出会えたのです。
最終選考でどうなるのか……それは読んでみてのお楽しみですが、この3巻はかなり面白く、それぞれのキャラクターの今後も楽しみな展開でした。
この作品の魅力は、フィギュアスケートのジャンプなど演技中の身体感覚について詳細に描いており、自分でも滑っているような気持ちにさせてくれるところ。美馬がトリプルジャンプを飛べるようになってゆく過程は、自分もジャンプを飛んでいるかのような高揚感がありました。
この第3巻が2017年に出版されてから、続きは出ていないようなので、一応はここで完結ということなのでしょうか。確かに一応はお話は終わってはいるのですが、続編の可能性がある形で終わっています。
けれど、尻上がりで面白くなっているので、この先どうなるのか、読んでみたい。
オリンピックも終わり、フィギュアスケート人気もひところより落ち着いた感じではありますが、最近は羽生選手のプロ転向、織田信成選手の現役復帰、高橋大輔選手のアイスダンスでの活躍など、まだまだ熱い。
それに、女子シングルは再びトリプルアクセルや四回転など高難度ジャンプを跳ぶ選手が増えてきたため、面白くなってきています。
美馬ちゃんの今後だけでなく、今回登場した新キャラたちとの友情や勝負のゆくえも気になります。
出版者様、よろしくお願いします!(と、テレパシー)
好きなものにまっすぐに打ち込む女の子の情熱を描いた、熱いスポーツ物語です。
フィギュアスケートシーズンにぜひとうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。フィギュアスケートが大好きな方ならわくわくする要素が満載のスポーツ小説です。登場するライバルたちはみんな個性的で良い子たち。ピリ辛の子もいますが、スポーツに賭ける情熱はまっすぐです。
フィギュアスケートが好きなお子さまにおすすめです。
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