【キダマッチ先生!】人情あふれるカエルのお医者さんとゆかいな患者さんたちの絵本シリーズ。第1巻【先生かんじゃにのまれる】【3歳 4歳 5歳】
キダマッチ先生は背中に黄色い水玉模様があるカエルのお医者さんです。今日もキダマッチ先生のもとに、虫や動物やさまざまな患者さんが訪ねてきます。先生はどんな病気でもあっという間になおしてしまう名医なのです……
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆ カエル☆☆☆☆☆ お医者さん☆☆☆☆☆
キダマッチ先生! 1 先生かんじゃにのまれる 今井恭子/文 岡本順/絵 BL出版
<今井恭子>
広島県生まれ。日本文藝家協会会員。日本児童文学者協会会員。児童文学作家。作品に「歩きだす夏」「ぼくのプールサイド」(学研)、「アンドロメダの犬」(毎日新聞社)、「前奏曲は荒れもよう」「切り株ものがたり」(福音館書店)、「丸天井の下のワーオ!」「こんぴら狗」「縄文の狼」(くもん出版)、「鬼ばばの島」(小学館)、「キダマッチ先生!」シリーズ(BL出版)など。 「こんぴら狗」では第58回日本児童文学者協会賞、第65回産経児童出版文化賞産経新聞社賞、第67回小学館児童出版文化賞を受賞。
<岡本順>
1962年愛知県生まれ。挿絵を中心に広く活躍中。主な作品に絵本「きつね、きつね、きつねがとおる」(日本絵本賞受賞、ポプラ社)「キダマッチ先生!」シリーズ(BL出版)、挿絵に「となりの蔵のつくも神」(ポプラ社文庫)、「はなざかりの家の魔女」(あかね書房)、「宇宙からきたかんづめ」(ゴブリン書房)、「キジ猫キジとののかの約束」(小峰書店)など。
ゆかいな絵本シリーズのご紹介です。第1巻の初版は2017年。
カエルのお医者さんキダマッチ先生と、山の動物たちとの物語です。
お話は……
仏さまが胡坐をかいたかたちのアグラ山。そのふもとの池のほとりの古い木に、カエルのお医者さんキダマッチ先生が住んでいました。
どんな怪我や病気もあっと言う間に治してしまうという評判の名医です。
アリンコもトカゲも、キダマッチ先生に治してもらってごきげんで帰ってゆくのでした。
さて、ある日、キダマッチ先生は急ぎの往診を頼まれ、牧場に到着するとボールを飲み込んだ子牛が倒れていました。キダマッチ先生が子牛の口のなかを覗き込むと……
……というのがあらすじ。
この後、どんなことになってしまうのかはタイトルを読めばわかってしまうので、あえては書きません。でもちゃんと助かります(あたりまえ)。
動物ファンタジーは、たいていの場合、生態系を無視した状態で描かれるため「科学的ではない」と受け付けないお子さまが一定数います。
その視点が持てるお子さまもそれはそれですばらしく否定するべきではないのですが、このような作品での動物や虫は「多様な人間たち」の比喩表現であるとご説明いただけるとわかりやすいでしょう。
キダマッチ先生は背中に黄色い水玉模様のあるカエルのお医者さんです。
このお話の面白いところは登場する生き物たちです。よくある動物ファンタジーはウサギや猫、ネズミ、リス、熊などデフォルメしたらぬいぐるみのように可愛らしくなる動物が主人公であることが通例です。
ところが、この物語の主人公はカエル。
カエルのキダマッチ先生の患者さんは、問題の子牛以外はアリやトカゲ、カマキリ、ヘビ、カラスなど、一般的にはあんまり好かれていない動物たち、虫たちです。
アリンコの患者さんがカエルのキダマッチ先生と同じ大きさだったりするのを除けば、虫や爬虫類も過剰なディフォルメはなくかなりリアルに描かれています。しかし、そんななかにもとぼけた愛嬌があります。
字は漢字まじりですが読みやすく、すべての漢字にふりがながふってある総ルビなので50音が読めるお子さまなら一人でコツコツ読みきることができます。もちろん、読み聞かせにも。
岡本順先生の絵がリアルななかにも表情があり、それぞれの生き物の魅力をあたたかみのある筆致で描ききっており、絵を眺めているだけでも楽しい気持ちになってきます。
ウサギやアヒル、牛だけでなく、カエルや虫や爬虫類など、生き物全般が大好きなお子さまに。男の子女の子関係なく生き物大好きなお子さまにおすすめの、ゆかいな絵本です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。
しかし、カエル、トカゲ、ヘビなどがリアル志向の絵で描かれており、アリやカマキリなども登場するので、爬虫類や虫がどうしてもダメなお子さまにはご注意ください。
しかし逆に虫が好きだったりするときっと
動物たち、生き物たちがリアルでありながら生き生きと表情豊かに描かれていますので、生き物全般が大好きなお子さまにおすすめです。
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