【ページズ書店の仲間たち3】想像力が鍵!作家たちと本の世界を救え。シリーズ第三巻【ティリー・ページズと物語の地図】【小学校高学年以上】
メルビルとデシマの陰謀で大英地下図書館の「原典版」が封印されてしまい、「本の旅」(ブック・ワンダー)が規制されてしまうようになった。ティリーとオスカーは、ティリーが物語から手に入れた手がかりを頼りに「旅の記録士」を探す旅に出るが……(ページズ書店の仲間たち 3 ティリー・ページズと物語の地図 アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵 株式会社文響社)
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 文豪大集合☆☆☆☆☆ 本好きの夢☆☆☆☆☆
ページズ書店の仲間たち 3 ティリー・ページズと物語の地図 アナ・ジェームス/作 池本尚美/訳 淵゛/絵 株式会社文響社
<アナ・ジェームス>
ライター、ジャーナリスト。学校図書館司書を経て、〈ザ・ブックセラー〉のブック・ニュース・エディターに就任。現在は、さまざまな新聞や雑誌に寄稿するほか、イギリス内の書店やブックフェスティバルのイベントで司会を務めたりしている。ロンドン北部在住。本にかこまれた部屋で暮らしている。
<池本尚美>
早稲田大学教育学部英語英文学科卒。訳書に絵本「うさぎさん つきからとびだす」「まっくろけ まっしろけ」「グランデュードのまほうのコンパス」「いぬがほしいの!」(共に潮出版社)、「ゆがめられた世界 パート・オブ・ユア・ワールド上/下」「ゆがめられた世界 アンバースデー上/下」(共に学研プラス)などがある。
<淵゛>
京都府出身。フリーランスのイラストレーター。学生時代に油絵や日本画を学んでいた経験を活かし、質感と温かみを大切にしたデジタルイラストを制作。季節の植物や異国情緒の溢れるモチーフを描くことが得意。主に書籍の挿画や広告イラストなどを手掛けている。
イギリスからやってきた、心躍るファンタジーの第3巻、「ページズ書店の仲間たち 3 ティリー・ページズと物語の地図」です。
原題はPAGES&CO.(3)-TILLY AND THE MAP OF STORIES. イギリスでの初版は2020年。日本での初版は2024年2月です。
これは、「ページズ書店の仲間たち 1 ティリー・ページズと魔法の図書館」から完全にお話が続いていますので、ご興味を持たれた方はまずは第1巻からお読みください。
「ページズ書店の仲間たち 1 ティリー・ページズと魔法の図書館」のレビューはこちら↓
今回のお話は……
メルビルとデシマの支配下におかれた大英地下図書館。
「原典版」(ソースエディション)が封印されたため、「本の旅」(ブック・ワンダー)は自由にできなくなっていた。
そんなとき、本にまつわる記憶が抜け落ちてしまう事件がおきる。
メルビルとデシマの陰謀を止めるため、ティリーとオスカーは物語から得た手がかりを頼りにアメリカ議会図書館へ向かう。
そこで迷路の絵の描かれた本を手に入れたティリーたちは、その本に導かれて「アレキサンドリア図書館」へと……
……と、いうのがあらすじ。
前回の「ティリー・ページズと消えた童話」がクリスマスのお話でしたが、今回の「物語の地図」はイースター休暇のお話です。
ティリーたちが今回飛び込むのは、「本」の根本となる「物語」を支える、純粋な「想像力」の世界。
そこで、かのウィリアム・シェイクスピアをはじめとしてスコット・フィッツジェラルド、ジェイン・オースティン、ヴァージニア・ウルフ、チャールズ・ディケンズ、アーネスト・ヘミングウェイ、アレクサンドル・デュマ達と出会います。
この物語の世界を走る、「想像力」を燃料にして走る不思議な列車セスクイップデリアン号。その持ちぬしホレイショーと甥のマイロが新キャラとして登場。ティリーたちを何度も危機から救ってくれます。
メルビルとデシマが私利私欲のために「本の魔法」を本から吸い取ったために崩壊しかけている「想像力の世界」。
半分架空のティリーは、彼女の想像力の力でこの危機から「物語の世界」を救えるのでしょうか。
文章は平易で読みやすいのですが、振り仮名があまり振られていないので小学校高学年から。賢い子なら中学年から。大人が読んでも良質のファンタジーとして楽しめます。
今回は多くの文豪が登場するので、彼らの作品にも興味が持てるようになるかも。要所要所の工夫を凝らした演出が読書への意欲を掻き立てます。
淵゛先生の表紙と挿絵は今回も最高。表紙は美しく、挿絵はふんだんに入っていて満足度高し。これ、よく考えてみたら日本語版だけの特権なんですね。
「物語」を読むのが絶対楽しくなるファンタジー。
男の子にも女の子にもおすすめです。
「本」と「魔法」と「冒険」が好きならぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな描写はありません。心躍る新感覚の冒険ファンタジーです。
古典名作だけでなく、今回は数々の文豪が登場するので、彼らの作品への横展開も楽しめます。
ウィリアム・シェイクスピアが大活躍するのも今回のハイライト。
読後は濃く淹れたミルクティーとおいしいビスケットでティータイムを。
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