【理花のおかしな実験室】お料理+科学=大冒険! ときめきのパティシエ・バディストーリー第3巻【自由研究はあまくない!?】【小学校中学年以上】
わたし理花! 理科が大好きな小学五年生。クラスメイトのそらくんとお菓子作りの実験中。夏休みの自由研究をそらくんとやりたくて、誘ってみようと決心したんだけど……
この本のイメージ お菓子作り☆☆☆☆☆ 理科実験☆☆☆☆☆ 人付き合いの難しさ☆☆☆☆☆
理花のおかしな実験室 3 自由研究はあまくない やまもとふみ/作 nanao/絵 角川つばさ文庫
<やまもとふみ>
福岡県出身で千葉県在住。やぎ座のA型。2019年に第8回角川つばさ文庫小説賞金賞を受賞。趣味は街の散策と野球の観戦。好きなスイーツはホットケーキ。作るより食べるほうが好き。
<nanao>
イラストレーター。6人組エンタメユニット「すとろべりーぷりんす」の公式イラストを中心に活動中。
きっと理科とお料理が好きになる? ときめきのサイエンスクッキングストーリー、「理花のおかしな実験室」第3巻、初版は2021年6月です。
お話は第1巻から完全に続いているため、まずは第1巻「理花のおかしな実験室 1 お菓子づくりはナゾだらけ!?」からお読みください。
第1巻のレビューはこちら↓
今回のストーリーは……
いよいよ夏休み。
理花たちは、みんなで勉強会やキャンプで盛り上がります。
じつは理花は夏休みの自由研究をそらくんと一緒にやりたいけどなかなか言い出せなかったりして、じたばたしていました。
ようやく切り出すことができて、一緒に「共同研究」できることになって、理花はわくわく。
ところが、そらくんは「シュウには負けたくない」と、勝負の話ばかり。
楽しいはずの自由研究が、なんだかぎくしゃくして……
……と、いうのがあらすじ。
今回の研究テーマのお菓子は「マシュマロ」。
今まで、お菓子作りで卵黄を使うことが多く、あまった卵白を冷凍して保存していたそらくんでしたが、さすがにそろそろ処理しなければならなくなっていました。
そんな卵白で作れるお菓子がマシュマロです。
理花たちは、マシュマロを加熱したときにおきる物質的な変化と味の違いを細かく検証して、いままで気づかなかったたくさんのことに気づくのでした。
一方、少女小説らしい人間ドラマも。
理花のことが大好きな秀才のシュウくんにライバル意識を抱くようになったそらくん。
楽しいはずの実験が「勝負」になってしまい、意欲が失われてしまう理花ちゃん。
ふたりは、はじめて大きくぶつかってしまいます。
また、みんなでキャンプに行ったことで、女の子たちはそれぞれの好きな人、気になる人を確認したり、友達に囃し立てられたりして、なんだか今までにない人間関係のややこしさを知る理花なのでした。
これねえ、けっこうたいへんだなあと思ったのは、理花がキャンプでシュウくんとの間を「お似合い」と桔平くんにからかわれてしまう事件。
シュウくんはあきらかに理花のことが特別好きなのですが、理花はシュウくんに恋愛感情はないんですね。
厄介なことに「嫌い」な人ではない。共通の趣味もあって友だちとしては好きですらある。
しかし、勝手にカップル認定されるのだけは困る。
そのうえ、桔平くんは友だちのななちゃんが好きな人なので、角を立てるわけにもいかず……
うわあ、大変だ。
理花ちゃんのメンタルが強くて優しい子なので、そして周囲の女の子たちもいい子たちばかりなのでこじれずにすみましたが、これは小学生には対処が難しそうな問題です。自分がこんな目にあったら、学校休んじゃそう…… 理花ちゃん、がんばった。
しかも、ラストには嵐を呼ぶ新キャラ登場です。この子は、いったい……?
文章は読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビ。だいたい、小学校中学年からがおすすめ。
作中には「マシュマロ」のレシピつき。美味しいものと楽しい物語が大好きな子にぴったりの小説です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。お菓子作りと理科実験を合体させた、楽しい物語です。今回は少女小説らしい、乙女な心理描写や人間関係の描写もあり、理花ちゃんサイドのお話が多め。
読後はきっと、焼きマシュマロが食べたくなります。
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