【ろくぶんの、ナナ】サイコロをふると何かがおきる?わくわくの友情ファンタジー【小学校高学年以上】
はじまりは、閉園間近の遊園地。小さなみやげ物屋の主人から、不思議なサイコロをもらったナナ。でも、このサイコロには秘密があって、彼女がサイコロをふると出た目によって「事件」がおきるのだ。
この本のイメージ 日常ファンタジー☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 成長☆☆☆☆☆
ろくぶんの、ナナ 林けんじろう/作 高橋由季/絵 岩崎書店
<林けんじろう>
1974年、広島県出身。奈良県北葛城郡在住。大阪芸術大学・大学院修士課程修了。現在、会社員。2020年、第17回ジュニア冒険小説大賞、大賞受賞。2021年4月14日、受賞作である「ろくぶんの、ナナ」刊行(岩崎書店)。「星屑すぴりっと」で第62回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。
<高橋由季>
イラストレーター。カヤヒロヤとデザインユニット「コニコ」としても活動。 2016年韓国のブックショップYOUR MINDより「Coffee & Bread」を出版。2017年ON READINGの出版レーベルELVIS PRESSより作品集「ニューテレポーテーション」を出版。書籍、雑誌、広告、CDジャケットなどさまざまな媒体で活動中。
2020年ジュニア冒険小説大賞受賞作品だそうです。初版は2021年。
その昔、NHKの番組に「少年ドラマシリーズ」と言うのがありまして、当時の子どもたちに大人気でした。
わたしは、このシリーズを全部を見たわけではないのですが、「タイム・トラベラー」と言う筒井康隆先生の「時をかける少女」を原作としたドラマが大のお気に入りだった記憶があります。(ただ、大好きだったわりに、もう細部は思い出せない……くやしい) そうそう、この小説はのちに原田知世さん主演で映画化されました。
この小説を読んだとき、ふと、そんなSFファンタジーや少年ドラマを夢中で見ていた幼いころの気持ちを思い出しました。ただ純粋に「不思議なもの」「わからないもの」に興味をおぼえ、熱中していたころの気持ちです。
お話は……
才原ナナは引っ込み思案で怖がりの小学五年生。
家から遠く離れたところへ行くのも怖いし、大声を出す人も怖い。はじめてのことはみんな怖い。
そんなナナが春の遠足で閉園間近の遊園地「いにしえの丘パーク」に行ったときのこと。
みんなとはぐれておびえきっていたナナに、土産物屋のご主人が不思議なサイコロをくれました。
このサイコロ、ただのサイコロじゃない。
ふった目ごとに人格があり、その人格がナナに憑依してしまうのでした!
理屈っぽいイッちゃん。
ニコニコのニコちゃん。
ぐうたらなミッちゃん。
物知りのシローちゃん。
物静かなゴーちゃん。
怖がりのムッちゃん。
ナナはこの「六人のサイコロ人格」と、奇妙な友情を築くことになります。
そんなある日、親友のポポちゃんが行方不明になるという大事件が!
ナナは「六人のサイコロ人格」、クラスメイトたちの力も借りて大親友のポポちゃん捜索にむかうのでした……
……と、いうのがあらすじ。
ナナは怖がりで引っ込み思案な性格だけど、思いやりがあり優しい子です。
ただあまりにも内気で怖がりのため、彼女のよさが表に出ていなかったのです。
ナナはサイコロの「六人の人格たち」と出会うことで、そしてその「不思議」を友だちと共有することで、本来持っている強さや明るさを表に出せるようになってゆきます。
サイコロ人格はナナの性格の一面のようでもあり、イマジナリーフレンド(空想上の友だち)のようでもあり……
登場人物は後半に向かうにつれどんどん増えてゆき、そこへサイコロ人格も加わっての複雑なやりとりになりますが、とても読みやすく書かれており混乱せずに読むことができます。うまい。
サイコロの六人格のひとりひとりと出会い法則を解く謎解き、次々と起きる事件、後半のポポちゃん大捜索への流れもテンポよくよどみなく、ラストまでスピード感があり失速しません。
ナナとポポちゃんの友情が熱く、男の子キャラも大勢出てくるわりに最後までこのふたりの友情物語だったのも推しポイント。
異世界に行ったり剣と魔法で戦ったりはしないけど、小さな不思議と出会い、ナナは心を開いて大冒険をします。
そして、最終的にはナナだけでなく登場人物たちそれぞれが、サイコロ人格たちとの出会いを通じて成長することができたのでした。
明るくて楽しくて、そしてほのぼのとした日常ファンタジーです。この年頃特有の純粋さがまぶしい。
ファンタジーが好きな子にはもちろん、「ファンタジーはちょっと」と言う子にもおすすめです。大人が読んでも楽しめます。
この夏、ファンタジーに挑戦してみたいお子さま、保護者の方にぜひどうぞ!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
おすすめです。
HSPやHSCのほうが共感できることも多いと思います。
六人のサイコロ人格はイマジナリーフレンドのようでもあり、ナナの性格の側面のようでもあり、あれこれと考えるのが楽しい作品です。
読後は旅に出たくなるかもしれません
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