【りすねえさんのさがしもの】くるみの森のりすねえさんたちの、とびきりの日常ファンタジー開幕【りすねえさんのおはなし】【小学校低学年以上】
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 日常☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆
りすねえさんのさがしもの 大久保雨咲/作 かじりみなこ/絵 光村図書
<大久保雨咲>
おおくぼうさぎ。三重県生まれ。児童文学作家。子どもの本専門店メリーゴーランド主催の童話塾で創作を学ぶ。「飛ぶ教室」第9回作品募集童話部門にて「猫の背」で優秀作(光村図書出版主催)。主な作品に「ずっとまっていると」(そうえん社)、「ドアのノブさん」「うっかりの玉」(講談社)、「あらいぐまのせんたくもの」(童心社)、「雨の日は、いっしょに」(佼成出版社)、「からっぽになったキャンディのはこのおはなし」「かえでちゃんとひみつのノート」(小峰書店)、絵本に「アリィはおとどけやさん」(吉田尚令 絵/ひさかたチャイルド)などがある。
<かじりみなこ>
姫路市生まれ。絵本作家。武蔵野美術大学油絵学科卒業。卒業後、「あとさき塾」にて絵本作りを学ぶ。絵本に「ラビッタちゃん」シリーズ(「ゆきがふるまえに」「わかくさのおかで」「しおかぜにのって」「こおりのむこうに」)「ふたつでひとつ」「どうぶつみずそうどう」(偕成社)、挿絵に「ドリーム・アドベンチャー――ピラミッドの迷宮へ」(偕成社)、「ライオンつかいのフレディ」(文研出版)などがある。
くるみの森、からまつの木に暮らす気のいいリス、りすねえさんの日常のほのぼのストーリー。初版は2023年6月。
挿絵はラビッタちゃんのシリーズ絵本でおなじみの、かじりみなこ先生です。
三篇の短編で構成されており、短くて楽しいお話ばかりの読みやすいストーリー集です。
お話は、
・りすねえさんのさがしもの
・りすねえさんとおばあちゃんのケープコート
・りすねえさんと絵かきのタビー
の三本。
「りすねえさんのさがしもの」は、大好きな「さすらいのカルテット」の音楽界のチケットをなくしてしまったりすねえさん。エナガさんと一緒におうちを大捜索……と言うおはなし。
「りすねえさんとおばあちゃんのケープコート」は、りすおじさんの家の大掃除を手伝ったいとこのりすおが持ち帰ってきた古道具のなかに大好きなおばあちゃんのケープコートを発見。おばあちゃんとのあたたかい思い出に想いをはせるおはなし。
「りすねえさんと絵かきのタビー」は、旅の絵描きツグミのタビーと出会ったりすねえさんが、ひめねずみのちびたとともに少しだけ遠くにおでかけしてみるおはなし。
やさしくて親切だけど少しおっちょこちょいなりすねえさんの日常と、くるみの森のゆかいな住人たちのほのぼのとしたストーリー。
大事件はおきないけれど、どこかなつかしく、読んでいるだけで胸の奥がほっこりとあたたかくなるお話ばかりです。
そして、この本のもうひとつの魅力は絵。
絵本ではありませんがすべての見開きにかじりみなこ先生の美しくも愛らしい挿絵が入っていて、くるみの森の動物たちが生き生きと描かれています。
「りすねえさんと絵かきのタビー」のラストシーンはかじり先生の絵でなければ成立しないほど。作家と挿画家の信頼関係によって生み出されたすばらしいシーンです。
動物たちはかじり先生の詳細な絵でリアリティのある動物たちが二足歩行で洋服を着たすがたで描かれており、りすねえさんの家や調度品はヨーロッパの古風で素朴な雰囲気で、なにもかもがかわいらしい。
からまつの木のおうちでりすねえさんや動物たちと一緒にお茶をしたくなってしまいます。
文章は読みやすく、ひらがな多め。すべての漢字にふりがながふってあるので五十音が読めればひとり読みが可能です。短いおはなしが三本入った短編集ですので絵本を卒業したばかり、絵本より少し長めのストーリーを読み始めのお子さまにおすすめ。だいたい小学校低学年から。もちろん、読み聞かせにも。
エミリー・ロッダの「チュウチュウ通り」が気に入られたお子さまなら「りすねえさんのおはなし」はおすすめです。絵本より長いお話を楽しく読めるようになったら、次はもう少し長い小説に挑戦してみましょう。
おはなしを読むのが楽しくなる、「りすねえさんのおはなし」。
動物が登場する絵本がお好きなお子さま、かじり先生の「ラビッタちゃんシリーズ」が気に入られたお子さまならぜひ。やさしく、やわらかなお話ばかりです。大人の和み本としても。
休日ののんびりした昼下がり、お気に入りの飲みものとともに楽しみたい一冊です。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はいっさいありません。悪者のいない世界のほのぼのストーリーです。やさしいお話が読みたいときに。
りすねえさんはしっかりものに見えておっちょこちょい。でも、落ち込みすぎない、やさしくてさわやかなお姉さんです。
読後は木の実のクッキーとハーブティーでティータイムを。
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