【おもちゃ屋のねこ】ねこ好きさんに!おもちゃ屋で大活躍する、かわいい看板猫の物語【小学校中学年以上】

2024年3月30日

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おもちゃ屋のねこ  リンダ・ニューベリー/作 田中薫子/訳 くらはしれい/絵 徳間書店

ある日、ハティの大おじさんのおもちゃ屋さんに、茶色い猫がやってきました。いつのまにかやってきた猫は、あっという間に、お店の看板猫に。この猫には不思議な力があって……

この本のイメージ 動物ファンタジー?☆☆☆☆☆ ほのぼの☆☆☆☆☆ 猫の奇跡☆☆☆☆☆

おもちゃ屋のねこ  リンダ・ニューベリー/作 田中薫子/訳 くらはしれい/絵 徳間書店

<リンダ・ニューベリー>
1952年イギリス、エセックス生まれ。8歳のころから作家をめざして物語を書きはじめる。いつも物語を書いたノートを自分の洋服ダンスに隠していた。中学校の教師をしながら、作品を出版社に持ちこむようになり、1988年YA小説でデビュー。「Set in Stone」(未訳)でコスタ賞受賞、「The Shell House」「Sisterland」(共に未訳)がカーネギー賞最終候補に選ばれるなど、その作品は本国で高い評価を受けている。日本で紹介されている本に、「緑の精にまた会う日」(徳間書店)がある。

<田中薫子>
慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。訳書に、「バンダビーカー家は五人きょうだい」シリーズ、「大魔法使いクレストマンシー クリストファーの魔法の旅」「同 魔女と暮らせば」「同 魔法の館にやとわれて」「同 キャットと魔法の卵」「アーヤと魔女」「賢女ひきいる魔法の旅は」「魔法使いの卵」「時の町の伝説」(以上、徳間書店)などがある。

<くらはしれい>
イラストレーター・絵本作家。絵本や書籍の挿絵、パッケージのイラストなど幅広い分野で活躍。オリジナルのグッズ販売も手がける。絵本に「レミーさんのひきだし」(文:斉藤倫、うきまる/小学館)、「王さまのお菓子」(文:石井睦美/世界文化社)、児童書の挿絵に「クーちゃんとぎんがみちゃん ふたりの春夏秋冬」(作:北川佳奈/岩崎書店)がある。


 猫派VS犬派の戦い。それは、きのこたけのこ戦争よりも古く、人類の歴史と共に長く続く戦いです。

 でも、わたしは、猫も犬も大好き。ただ、飼いやすさで言えば猫でしょうか。というか、猫って、飼うとか飼わない以前に、「いつのまにかいる」場合がありますよね。

 最近は、野良猫が少なくなったので「いつのまにか猫がいる」って現象も減りましたが、昔から人間が猫を飼うのではなく「猫が家を選ぶ」と言ったものです。

 今回の「おもちゃ屋のねこ」もそう。「いつのまにか猫がいる」ところから物語が始まります。

 お話は……

 ハティのおじさんは、おもちゃ屋「テディとメイ」の店主です。
 以前は、メイおばさんと一緒にやっていたのですが、おばさんが亡くなってしまったので1人できりもりしているのでした。

 商売が苦手なテオおじさんは、なかなか儲けることができません。
 そんなある日、ショーウィンドウにいつのまにか茶色と黒の「べっこうねこ」が眠っていたのでした……

 ……と、いうのがあらすじ。

 原題はSHOP CAT.イギリスでの初版は2009年。日本語版の初版は2022年です。
 作者のリンダ・ニューベリーは本国イギリスでは、猫を題材にした童話を少なくともほかに二作は書いているようです。猫が奇跡を起こす話は児童文学作家に好まれる題材で、古くはシャルル・ペローの「長靴をはいた猫」が有名。

 このサイトでも作者は違いますが、さびれた村の売れないチョコレート屋を繁盛させる「チョコレート屋のねこ」と言う絵本を紹介しています。

 猫って、「鶴の恩返し」みたいなわかりやすい恩返しはしないけれど、ちゃんと飼い主を助けてくれるんですよね。

 このお話の猫「クルリン」(おそらく原書では違う名前だと思われる)も、「鶴の恩返し」の鶴のような自己犠牲的な恩返しはしないけれど、猫なりのやり方でテオおじさんを助けてくれます。

 猫って、助けてくれるときに助けてるような顔をしませんよね。「わたしはわたしで好きなようにやっているだけよ」と言う態度。ツンデレなのです。

 なので、最初は猫が何をしているのかハティたちにはわからなかったけれど……と、言うお話。

 途中で少しサスペンス的展開になるのですが、いい意味で期待を裏切ってきます。そういう意味でも、面白い。

 猫が人間のことばをしゃべったり、魔法を使ったりするわけではないので、厳密に言うとファンタジーではないのかもしれませんが、猫の存在そのものをファンタジーだと思わせてくれる、「日常の奇跡」がそこにあります。

 文章は平易で読みやすく、全部で96ページというボリュームなのでさほどの量ではありません。賢い子ならば、小学校低学年から読めると思いますが、振り仮名が総ルビではないので、小学校中学年から。

 薄くてさくっと読める本なので、総ルビの薄めの簡単な小説(「なんでも魔女商会」とか「チュウチュウ通り」など)のあとに、これくらいの本はいいかもしれません。(振り仮名がないのは五画前後の簡単な漢字なので、小学校2年生とか3年生あたりが対象でしょうか) 参考にされてください。

猫が大好きなお子さまにおすすめです。

 最近は、コンピューターゲームの台頭でめっきりみなくなりましたが、ぬいぐるみや積み木などが並んでる、昔ながらのおもちゃ屋って、わたしたち世代にはノスタルジーがあります。

 現代のおもちゃ屋さんのことを考えると、ちょっぴりせつない気持ちにもなりますが、世代間の会話のきっかけにもなりますので、ぜひ、思い出話とともに読み聞かせしてあげてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 とてもやさしいお話です。HSCのお子さまにおすすめします。
 商売が苦手でお金を儲けるのがうまくない老人たちと、おもちゃが大好きな子どもたちを猫が縁結びするお話です。

 読後は、ジンジャークッキーでティータイムを。

 

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