【クリスマスマーケット】クリスマスを待つ季節に! 心あたたまる、少女と子犬の物語【ちいさなクロのおはなし】【絵本】【4歳 5歳 6歳】
12月のはじめ、街の広場に市場が立ちました。クリスマスマーケットです。焼き栗売りのおばさんはクリスマスツリーの下に子犬の入った小さな箱を見つけ…… (クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~ 降矢なな/文・絵 福音館書店)
この本のイメージ クリスマスマーケット☆☆☆☆☆ 心がほっこり☆☆☆☆☆ 犬☆☆☆☆☆
クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~ 降矢なな/文・絵 福音館書店
<降矢なな>
1961年、東京に生まれる。スロヴァキア共和国ブラチスラヴァ美術大学にて石版画を学ぶ。絵本に「まゆとおに」などの「やまんばのむすめ まゆのおはなし」シリーズ、「めっきらもっきら どおんどん」「きょだいな きょだいな」「ちょろりんと とっけー」「たあんき ぽおんき たんころりん」「あいうえおうた」「ねえ どっちがすき?」「ずんずんばたばたおるすばん」「えんどうまめばあさんと そらまめじいさんの いそがしい毎日」(以上、福音館書店)、「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)など多数。スロヴァキア共和国在住。
クリスマスを待つ、今の季節におすすめの絵本をご紹介。「クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~」。2023年10月初版です。
イベントや催し、記念日などは当日だけではなく、その日のために準備する日々が楽しいものです。最近は、日本でもヨーロッパのようにクリスマスマーケットが催される街も増えました。
ツリーのオーナメントやキャンドル、シュトーレンやアドベントカレンダー、クリスマスのマグカップなど、お買い物しなくても見て回るだけでも楽しいものです。
焼き栗やココアを買って、ベンチで休んだり、ストリートミュージシャンの音楽に耳を傾けたり……
クリスマスマーケットには「わくわく」がいっぱい。
本日ご紹介する絵本は、そんなクリスマスマーケットで起きた心あたたまるストーリーです。
お話は……
広場にクリスマスマーケットが建った日、焼き栗屋のおばさんはツリーの下に小さな箱を見つけました。
中には黒い子犬が。
おばさんは栗の空き箱に子犬のベッドを作りました。マフラー売りのおにいさんがマフラーを箱に敷いてあげ、ホットドッグ売りのおじさんは肉の切れ端を食べさせてくれました。
クロと名づけられた子犬は、クリスマスマーケットの人気者になりました。
おばさんは、クロに飼い主が見つかるように張り紙を書いてあげることにしました。
ある日、赤いコートを着たなーちゃんと言う女の子がお母さんと一緒に市場にやってきました。
クロと仲良くなるなーちゃん。
「もう行きますよ」とお母さんに言われ、歩き出したなーちゃんは大切にしていた白い犬のぬいぐるみスノゥを落としたことに気がつきません。
それを見ていたクロは……
……と、いうのがあらすじ。
広場の大きなツリーの下に捨てられていた捨て犬のクロでしたが、クリスマスマーケットの市場の人たちの親切に助けられ、可愛がられ、生き延びることが出来ました。
そして、助けられたクロは自分も小さな女の子の役に立とうと奮闘し、その結果、思いよらぬ幸せが訪れることになります。
もしかしたら小さな箱の中で凍えて死んでしまうかもしれなかった子犬は、温かい人々の優しさに触れ、自分も誰かに優しくすることを学び、そうしてあたたかい家と家族を得ることになります。
焼き栗屋のおばさんにしても、マフラー売りのお兄さんにしても、ホットドッグ売りのおじさんにしても、見知らぬ子犬を助ける義務も責任もありません。けれど、自分に出来ることを少しずつしてあげることで、子犬は命をつなぐことが出来ました。そして、子犬は自分にできる精一杯をすることで困っている少女を助けることができたのです。
たった一人のおばさんの小さな善意が、少しずつ善意を引寄せて善意が善意を呼び、やがては大きな幸せとなる……
なーちゃんがクロとスノゥをぎゅっと抱きしめる場面で心がじんわりと温かくなってきます。
誰かに自分ができることは、ほんのちょっとかもしれない。凍えている子犬にベッドを用意してあげるくらいのことかもしれなくても、それは廻りめぐって大きな幸せを生み出すことになるのかも……
忙しく生きていると忘れてしまうような、大切な何かを教えてくれる絵本です。
字はすべてひらがなとカタカナ。文章は見開きに最大で15行前後なので絵本としてはわりと文章量がありますが、ストーリー展開に起伏があるため、引き込まれて読んでしまいます。五十音が読めるお子さまなら、コツコツ読めばひとり読みで最後まで読みきれるでしょう。もちろん、読み聞かせをしても楽しそうです。
絵は温かみのあるほのぼのとした絵で、クロが表情豊かでとにかく可愛らしい。
これは動物がしゃべるタイプのお話ではありせんが、クロがいまでも語りだしそうなくらいの表情と仕草で、クロの純粋な気持ちが伝わってきます。
また、クリスマスマーケットの臨場感がすばらしく、降矢先生が現在海外在住と知って納得です。あの、あたたかく、キラキラとした独特の雰囲気。わたしは国内のクリスマスマーケットしか行ったことはありませんが、幻想的で楽しい、それでいてぬくもりに満ちたあの空間が思い出されます。
クリスマスプレゼントと言うよりも、クリスマスを待つ今の季節に。
「クリスマスマーケット ~ちいさなクロのおはなし~」は、クリスマスミュージックを聴きながら、あれこれとクリスマスの準備を考えながら、温かいココアを飲みながら、親子で楽しんでいただきたい絵本です。
今年のクリスマスが楽しいものになりますように。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。特に犬好きさんにおすすめの絵本です。子犬のクロがとにかくかわいい。
また、クリスマスマーケットの心踊る様子が描かれ、クリスマスを待つ気持ちが盛り上がります。
読後は、焼き栗とホットドッグでひとやすみ。
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