【小さい魔女】ドイツからやってきたファンタジー!小さい魔女と相棒カラスの大冒険【小学校中学年以上】

2024年2月13日

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小さい魔女 オトフリート・プロイスラー/作 大塚勇三/訳

小さい魔女は、まだたったの127歳だったので、魔女集会ワルプルギスの夜に招待されませんでした。どうしても行ってみたかった小さい魔女は、こっそりもぐりこんで踊っているのがばれてしまいます。魔女のおかしらから罰を受けた小さい魔女。一年後までに「良い魔女」にならねばなりません。さて…

この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ ほほえましい☆☆☆☆ そう来たか☆☆☆☆

小さい魔女 オトフリート・プロイスラー/作 大塚勇三/訳

<オトフリート・プロイスラー>
オトフリート・プロイスラー(Otfried Preußler、1923年10月20日~2013年2月18日)は、チェコスロバキア生まれのドイツの児童文学者。長年教師をしながら童話を次々に発表する。代表作に「大どろぼうホッツェンプロッツ」「小さい魔女」「クラバート」など。本国ドイツをはじめ世界各国で多くの文学賞を受賞している。

 ドイツのかわいらしい児童文学で、去年映画化されたようです。 ドイツといえば、「はてしない物語」。不朽の名作を生み出した国なので、児童文学は良作が多いのです。

 主人公の小さい魔女は、127歳。まだまだ若い魔女だったので、毎年、ブロッケン山で行われる魔女集会、「ワルプルギスの夜」に招待してもらえませんでした。
でも、行きたくて仕方がなかった小さい魔女は、こっそりもぐりこんでしまいます。

 ところが、無断で参加したのがばれて大目玉。
魔女のおかしらから、ほうきを燃やされ家まで徒歩で三日三晩歩く罰を受け、一年後までに「良い魔女」になって魔女試験をうけたら、ワルプルギスの夜に参加させてやろうと言われます。 

 三日三晩歩いて、家に帰った小さい魔女。
翌日から、「良い魔女」になるための日々が始まります。

 相棒は、カラスのアブラクサス。この気のいいカラスが小さい魔女に、要所要所でアドバイスをして、小さい魔女は魔法を使って人助けをしていきます。

 そして、一年後の魔女試験の日……

 ここから先はびっくりするどんでん返しがあるので、ぜひお読みいただきたいです。

 映像化されたとき、小さい魔女は若い女優さんが演じたのですが、原作の小さい魔女は、若いと言っても127歳なので、見た目は小さいおばさんという設定です。

 でも、小さい子供みたいに無邪気で純粋でかわいいんです。
よく魔法を間違えて失敗したりもしますが、基本的には正義感が強くて、弱いものの味方になろうという気持ちがあります。

 「魔法を使っちゃいけない金曜日」も、小さな子供を喜ばせたり助けたりするためなら、規則を破ってついつい使ってしまうのです。

 後半は「良い魔女」とは何か、と言う話になっていきます。
100人いれば、100人の価値観があります。コミュニティにも種族にも生き物にも、それぞれの価値観があり、それぞれの善悪があります。そんななかで、小さい魔女がどんな決断をしていくのでしょうか。

 ラストは、児童文学ならではのブラックな一面もありますが、小さなお子様が価値観の多様性について、考えるきっかけになるお話でもあります。

「魔法」と言うのを、普通の人にはない特別な力、に置き換えると、腕力だったり知恵だったり、財力だったり権力だったり、テクノロジーだったりを、どう使うのが「良い」ことなのか、小さなお子様に考えていただけるでしょう

 小さい魔女は、一歩一歩成長し、学んだ魔法を周囲の人を幸せにすることに使いました。
おっちょこちょいで、失敗ばかりする小さい魔女ですが、明るく純粋な彼女は、いじわるな先輩魔女たちと仲良くするよりも、相棒アブラクサスと一緒に、周囲の人たちを助けながら楽しい一年を過ごします。

 さて、彼女の「夢」は叶ったのでしょうか。彼女が参加したかった「ワルプルギスの夜」は、あこがれたようなものだったでしょうか。

 小さい魔女の夢は叶わなかったとも言えるし、叶ったとも言えます。

 メルヘンファンタジーなので、ちょっと過激なラストをそのまま受け止めないほうがよい部分もあるのですが(昔のおとぎ話にはよくある展開)、伝えたいことは、そういうことだと思います。

 高い山の頂上にあこがれて、頑張って登って見渡した風景は、思ったようなものじゃなかった。でも、歩いてきた道のりのなかに、たくさんの美しいものがある、そんな話です。

 そびえる山を下から見ると、頂上はきらきら輝いていて、あそこに登ってみたいなあと思うものです。でも、実際登りきってみると、「あれ?こんな場所だったの?」って思うことも。
そのとき、「ああ、こんな山なら登るんじゃなかったなあ」と思わないためにも、「どう登るか」「誰と登るか」「苦しいときにどうするか」が、大切なのかもしれません。

 カラスの相棒、アブラクサスは、そんな小さい魔女の一年間にとって、最高の相棒でした。

 失敗したっていいし、頑張った結果、思うようにならなくてもいいんです。でも、きっと、最高の相棒や仲間たちと、転びながらでも頑張って山を登れば、最初に思ったような場所ではなくても、自分なりのゴールにたどり着くはず。(時々ケンカしたとしてもね!)

 いじめっ子魔女たちにひるまない小さい魔女の負けん気には励まされます。
字は大きく読みやすい本です。小さなエピソードに分かれているので、読み聞かせにもおすすめです。ぜひ読んでみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 学校でつらい立場にいるお子様にはおすすめの本です。小さい魔女はつい応援したくなりますし、ラストはスカっとして元気が出ます。カフェオレとプレッツェルをお供にぜひどうぞ。

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