【銀のらせんをたどれば】星と異世界を愛する人におすすめ!ファンタジーの女王が織り上げる、不思議タペストリー。【小学校高学年以上】

2024年2月13日

広告

銀のらせんをたどれば ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作 市田泉/訳 佐竹美保/絵 徳間書店

ハレーは、両親を失い、おじいさん、おばあさんと暮らしていました。おばあさんは厳しい人で、あるとき、ハレーはおばあさんの怒りを買い、アイルランドの親戚の家に出されることになってしまいます。そこには、たくさんのおばさんといとこ達がいて、不思議なゲームをしているのでした……

この本のイメージ 多元宇宙☆☆☆☆☆ 星の神話☆☆☆☆☆ 不思議ファンタジー☆☆☆☆☆

銀のらせんをたどれば ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作 市田泉/訳 佐竹美保/絵 徳間書店

 原題は「THE GAME」。

 「ハウルの動く城」の原作者として知られる、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーです。ジョーンズお得意の多元宇宙もので、様々な次元を主人公が旅します。

 また、ジョーンズ作品によくある、それぞれのキャラクターが何か別のものの映し身である設定なので、それを推理しながら物語を追うのも楽しいんです。
細密なパズルのように複雑な設定なので、小学校高学年か中学生以上におすすめ。もちろん、大人にも。

 文章自体は簡単なのですが、読み込むのに力が必要な物語です。でも、すごく面白い。

 古典的児童文学のような教訓的なことはあまりなく、ただただお話を楽しむタイプのファンタジーなので、教育的効果は期待しないでください。ただし、思考力や読解力はつくかもしれません。

 年配の方なら、昔、NHKで放送していた「少年ドラマシリーズ」がお好きだった方ならおすすめです。主人公がいきなり不思議世界に巻き込まれ、なんとかして解決していく系のお話です。古きよきジュブナイルの香りがします。

 さて、お話は。

 ハレーには両親がいませんでした。あるのは写真だけ。
彼女はいつからか、規則に厳しい祖母と忙しくてなかなか家にいない祖父と三人で暮らしていました。しかし、ある日、ふとしたことで意味も無く祖母の怒りを買い、家を追い出され、アイルランドの親戚の家に預けられてしまいます。

 そこには、六人の叔母と、たくさんのいとこ達が一緒に暮らしていました。
最初は、おばさんたちになじめなかったハレーですが、だんだん、おばたち、いとこたちと打ち解けていきます。
 でも、ハレーたちの一族には、大きな秘密があったのです。

 それは、一族を統べる、怖い怖いジュターおじさんに関ることでした……。

 ストーリーが複雑なので、これ以上説明することが難しいです。
キャラクターは、神話と星の両方の意味を持ち、それが複雑に絡み合っています。

 ギリシャ神話や民間伝承、星や星座が好きな人なら、途中で「おおっ」と思って謎が解けるかもしれません。
でも、わからないまま読み進めて、ラスト近くでぱたんぱたんと、見事にお話がたたんでいくのを感じるのも気持ちいいです。

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの話には二種類あって、「ハウル」「クレストマンシー」のようにキャラクターを楽しむ話と、お話のトリックや構成を楽しむお話があります。今回は、後者。

 なので、すごいイケメンとかすごい美女とかが出てきて大活躍するような話ではありません。
でも、お話が始まったときには絶対に想像できなかったラストに連れていってくれるので、摩訶不思議なファンタジーが好きな人にはおすすめです。

 そういえば、物語の中に、鳥の足がついた移動する家に住んでる人が出てくるんですけど、この家、おそらく、宮崎監督が作ったハウルの城のデザインにインスパイアされたのかな、と思っていたら、違いました。本当に、そういう伝説があるようです。(2020.05.15追記)どうやら、宮崎監督が、その伝説からインスパイアされたみたいです。 

ファンタジーは、奥が深いですね。 
 

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。むしろ、徹底的に現実離れしているので、つらいときに純粋に楽しめるかもしれません。推理小説や、パズルなんかが好きな人にはおすすめです。時間があるときにじっくり読んでみてください。噛めば噛むほど味が出る、そんなファンタジーです。
アイリッシュティーと、ソーダブレッドをお供に、ぜひどうぞ。

商品紹介ページはこちら

 

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告