【E.ネズビット】没落した我が家を助けよう。6人の子供たちの大活躍【小学校中学年以上】

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宝さがしの子どもたち E.ネズビット/作 吉田新一/訳 福音館書店

お母さんが死に、お父さんの事業の失敗で没落してしまったバスタブル家。ドラ、オズワルド、ディッキー、アリス、ノエル、ホレス・オクテイビアスの6人きょうだいは、家を再興するために自分たちががんばろうと決意します。

この本のイメージ ほほえましい☆☆☆☆☆ ハートフル☆☆☆☆☆ 大どんでんがえし☆☆☆☆☆

宝さがしの子どもたち E.ネズビット/作 吉田新一/訳 福音館書店

<イーディス・ネズビット>
イギリスの小説家、詩人。E・ネズビットの名義で多くの児童文学を執筆。代表作は「砂の妖精」シリーズ。日本でも「おねがい!サミアどん」としてアニメ化されている。J.K.ローリングが愛読していたことでも知られる。

宝さがしの子どもたち E.ネズビット/作 吉田新一/訳 福音館書店

 「おねがい!サミアどん」の原作で有名なネズビットの児童文学。お得意のやんちゃな男女取り混ぜきょうだいものですが、これはファンタジーではありません。

 お父さんの事業の失敗で没落してしまったバスタブル家を再興するために、6人の子どもたちが、何とかお金を稼ごうとあの手この手でがんばるファミリーストーリーです。

 語り手は、この子どもたちの中の1人となっていて、それが誰かをあてる謎解きのような要素もあります。が、なにしろ、まだまだ分別の足りない子どもが語り手なので、生意気なクソガキ要素もあり、「イラっと来る感」と「ほほえましい感」の混ざり具合が絶妙です。ああそうそう、この年頃の子どもってこんな感じよね、と納得できてしまううまさ。

 しっかりもののドラ、ドライなオズワルド、詩人で夢見がちなノエル、ノエルと双子でやっぱり夢見がちなアリスなど、きょうだいたちもキャラが立っています。

 ただ、なにぶんにも、今は没落して学校にも通えないにしても、今まで乳母やや女中さんに面倒をみてもらってきた子どもたちが考えることですから、本人たちがどんなにがんばってお金を手に入れようとしても、どれも行動が的外れで、うまくいきません。

 それでも、周囲の大人たちがあたたかい。だから、失敗続きの子どもたちも、それなりになんとかやっているのを読むとあたたかい気持ちになります。

 ノエルが子どもなりに詩を書いているので、この詩を新聞社が買い取ってくれないだろうかと売り込みに行くお話が度胸満点です。でも、この展開の面白さは、途中の電車のなかで本物の著名な詩人レズリー夫人に出会ってしまうところ。

 しかも、子どもたちが「ジャンル・ブック」に出てくる挨拶をしていたところ、夫人のほうから話しかけてくるのです。

 「それで、あなたがた、どこへ行くの━━動物園にバギーラをさがしに行くの?」

 ※バギーラは「ジャングル・ブック」に登場する黒ヒョウの名前です

 オズワルドが、没落した家を再興するためにノエルの詩を新聞社に売りに行くのだと話すと、「女の服装をした大人の男の子」のような不思議な夫人は親切に詩と出版について様々なことを教えてくれたうえに、おこずかいをくれました。

 オズワルドが「知らない人からお金をもらってはいけないと、お父さんに言われてるんです」と辞退しようとすると、夫人は「わたしは詩人でノエルも詩人なんだから親戚みたいなものと思えないかしら」と、押し切ってしまいます。(ちなみに、ノエルの詩はまだまだとても売れるようなレベルに達していません)

 推しの話で盛り上がったら同志のために力になるわよ!みたいなレズリー夫人の行動は、時代を超えますね。推しを想う心は世代を超えるのですね。(たしかに「ジャングル・ブック」はこのような愛され方をする本です)

 その後も、怪しい新聞広告につられて、うさんくさいビジネスに参加しようとしたり、高利貸しにお金を借りに行こうとしたり、本人たちは気がついていないけど危険スレスレのことをしてしまいます。このあたりは、大人が読み聞かせをするなら解説してあげたいところ。

 そんなこんなで、たいして儲からないのですが、この子達のお父さんがほんとうに立派です。子どもたちが子どもたちなりに、何か役立つことをしようと必死になっていることを、とがめないのです。
あまりにも突拍子もなさすぎて、笑ってしまうからかもしれません。

 けれども、ほんとうに危険なことに首を突っ込みそうなときは、ちゃんと諌めるのでいいお父さんです。

 冒険の途中でほんもののお姫様に出会い、お姫様が「ふつうの子ども」にあこがれて泣き叫ぶところや、高利貸しのおじいさんが(おそらく暴利で巻き上げたらしい)美術品に囲まれて暮らしているところなど、お金に関るいろんなエピソードが詰め込まれています。

 ラストは、驚きのハッピーエンド。
 子どもたちの活躍のおかげなのか、偶然なのか……

 そこは、読んでみてのお楽しみ。

 大人になってから読み返すと、子どもの時に読むのとはまた違った感想がやってきます。
 それが児童文学のいいところ。

 せちがらい世の中に疲れた時は、この本を読んでみてくださいね。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はほとんどありません。安心してお読みいただけます。子どもたちがうさんくさい商売にだまされそうになる展開については、子どもにはわからず大人には理解できるよう巧みに書かれているので、保護者の方がお子さまに説明してあげてください。
 読み聞かせなど、親子で読むのがおすすめです。

 読みやすい文章ですが、わりとボリュームがあるので、週末などにゆっくりお楽しみください。

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