【雪の女王】アンデルセンの不朽の名作。少女の愛が氷を溶かす物語【小学校低学年以上】

2020年11月15日

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雪の女王 アンデルセン/作 木村由利子/訳 朝比奈かおる/絵 偕成社

悪魔が作った鏡が割れ、かけらがカイの目と心臓に入ってしまいました。心が凍ってしまったカイは、雪の女王に連れ去られます。幼馴染のゲルダは、カイをさがす旅に出ます。児童文学の古典、アンデルセンの不朽の名作!

この本のイメージ  旅☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 愛☆☆☆☆☆

雪の女王 アンデルセン/作 木村由利子/訳 朝比奈かおる/絵 偕成社

<ハンス・クリスチャン・アンデルセン>
Hans Christian Andersen(1805年4月2日 – 1875年8月4日)は、デンマークの代表的な童話作家、詩人。

旭川 雪の美術館
雪の美術館正面

 北海道旭川に「雪の美術館」と言う施設がありました。
 雪の女王が住む氷の神殿って、こんななのだろうか、と感じられる場所です。

 残念ながら閉館してしまったのですが、もしかしたらなんらかの形で残すこともできるかもしれないらしく、気象学者の荒木健太郎先生(「天気の子」の監修をされた方です)の呼びかけで、様々な方が声を上げていて、ネットニュースにもなりました。

 微力ながら、当サイトでも記事にしようと思い立ち、書いております。


 デザインした方が天才なんじゃないかしらと思う、アイディアに満ちた美しい建物で、通路の両側にはガラスを隔ててほんものの氷の壁があるんです!

旭川 雪の美術館
雪の美術館 氷の回廊


 だから、まさに「雪の女王」の城に入り込んだ気持ちになるんですよ。 

 小さいホールでは結婚式やミニコンサートができるようになっていますし、併設されたカフェでは優雅にお茶が飲めます。

 ステンドグラス風雪の決勝写真は圧巻で、これだけのものはなかなかないと思います。
 だいいち、北海道でなければ、おそらく氷の壁は無理でしょう。

 どうしようもなかったら、どこかの大富豪に助けてもらえないものか。(いや、地元の方が望めばですが……)けれども、これだけの建造物は、財産だと思いますので、ほんとに、何かの形で残って欲しい場所です!

 旭川は雪の美術館だけでなく、旭山動物園や、近くに大雪山森のガーデンとか美しいところがたくさんあって、いいところですよ! 雪の美術館が再開されたら、ぜひ、また行きたいです。

雪の女王 アンデルセン/作 木村由利子/訳 朝比奈かおる/絵 偕成社

 というわけで、本日ご紹介するのは、アンデルセンの「雪の女王」。1844年に出版されたお話です。
ディズニーがこのお話を原作として「アナと雪の女王」を作ったといわれていますが、あまりにも違いすぎるので、もはや別作品と言っていいでしょう。「アナと雪の女王」は名作ですが、原作も名作です。

 「雪の女王」は多くのクリエイターに愛され、さまざまなコンテンツになりました。
そのまま忠実にアニメ化した映画もあります。(宮崎駿監督の「太陽の王子ホルスの大冒険」に影響を与えたとも言われています。)

 また、2014年には、「雪の女王」を「雪の王」に変更して、フィギュアスケート界の「皇帝」エフゲニー・プルシェンコがアイスショーを行っています(日本未公開)。雪の王をプルシェンコ、ゲルダをトリノオリンピック銅メダリストのイリーナ・スルツカヤ、カイを元全米王者のジョニー・ウィアーが演じました。あの本田望結ちゃんと沙来ちゃんがスポットで出演したようです。
 映像を見つけましたので、最後にリンクしておきますね。

雪の女王 アンデルセン/作 
これは福音館の大型本

 アンデルセンの「雪の女王」の主人公はアナではなく、ゲルダ。幼馴染のカイと言う男の子と仲良しです。


 あるとき、悪魔の作った恐ろしい鏡が割れて、その破片が世界中に飛び散りました。その鏡は、良いものは小さく映り、悪いものは大きく映るという呪われた鏡だったため、無数に飛び散った破片は、世の中にたくさんの悪いことを引き起こしました。

 不幸なことに、心優しいカイ少年の目と心臓に悪魔の鏡の破片が飛び込んでしまいました。
 カイは、世の中が悪く見え、そして冷たい気持ちをもつようになってしまいます。
 そんなカイのところに雪の女王がやってきて、雪の城までそりで連れ去ってしまいました。

 ゲルダは、カイをさがして旅に出ます。旅の途中で様々な人に出会い、力をもらいながら、やがて雪の城にたどりつき、カイを取り戻す……と、言うのがあらすじ。

旭川 雪の美術館
雪の美術館 螺旋階段

 アンデルセンのお話って、「人魚姫」とか「マッチ売りの少女」とか、悲しいものが多いのです。
 だいたい、「マッチ売りの少女」って、好きな人います? あの話って、地味に子どものトラウマだと思うんですが。「フランダースの犬」のネロはルーベンスの絵を見ることができたけれど、マッチ売りの少女はあまりにも救いがないですよ……。

 また、「人魚姫」も、リスクを取って、勇気を出して行ったことが何も実を結ばず、泡と消えると言うのが気の毒すぎました。あまりにも納得がいかない女の子が多かったから、ディズニーがハッピーエンドの人魚姫を作ってくれて、みんなが喜んだのではないでしょうか。 いまでもアリエルって、ディズニープリンセスのなかで一、二を争う人気ヒロインです。

 ところが!この「雪の女王」は、悲劇好きのアンデルセンの童話にしては、めずらしくハッピーエンドなのです。
 しかも登場する女の子たちは、みんな、とても強い! 自分の人生に立ち向かって、乗り越えてゆきます。そして、現状維持や安定を求めたカラスは死んでしまう。

 つまり、住みなれた世界を飛び出して、高い代償を支払って広い世界に出た結果、消えてしまった人魚姫とは正反対の展開なのですよ。何か心境の変化でもあったのでしょうか。(いや、でも、今確認したら「雪の女王」と同時期に「マッチ売りの少女」も書いていますね……。謎ですアンデルセン。)

雪の女王 アンデルセン/作 木村由利子/訳 朝比奈かおる/絵 偕成社
雪の美術館 ホール

 これは、ゲルダとカイの物語ではあるのですが、カイはほとんど登場しません。ゲルダがカイをさがしに旅をしている途中に様々な人たちに出会い、助けてもらい、成長してゆくお話です。

 女の子はたいていそうだと思いますが、わたしも例に漏れず、途中で出てくる山賊の娘がかっこよくて大好きです。彼女は途中で力になってくれますが、雪の女王の城には一緒に入りません。それは、ゲルダの戦いだとわかっているからです。

 そして、ゲルダがカイを取り戻すと、ゲルダを祝福して颯爽と馬で去ってゆくのです。彼女が、アンデルセンの描いたなかでは最高の女性キャラじゃないかしら。もちろん、ゲルダも芯が強くて、けなげで素敵な女の子です。

 「アナと雪の女王」しか知らない人は、あんまり違う話なんでびっくりしちゃうと思うのですが、ドラマチックで面白いお話なのでぜひとも原作も読んでいただきたいです。少女が主人公のファンタジー冒険物語としては、もしかしたら最古のものかもしれません。

 何者も恐れず信じたものに向かって、はだしで歩き続けるゲルダは、170年の時を超えて、わたしたちに勇気をくれます。

 ゲルダには、その強い心以外にはなにもないのです。けれど、その心が、多くの人と動物たちの心を動かして、さまざまな助けを得ることができたのでした。

 「わたしには、いまこの子がもっているより強い力など、あげられはしない。この子が、どんなに強いか、おまえにはわからないの? 人や動物は、知らず知らずこの子につくしてきた。この子は、くつはかずにひろい世界を歩きとおしてきたんだよ。この子はなにも、わたしたちの力を借りなくていいのさ。力は、この子の心に宿ってる。(p89 引用)

 登場するキャラクターもほとんど女性で、ゲルダの旅がすすむとともに出会う女性が強くなってゆきます。これは女性の成長の物語でもあるのです。

 雪の女王がよくいる悪者ではなく、悪者退治ではないところも、すごく好き。おそらくアンデルセンにとって大切な部分だったのでしょう。雪の女王は、「ぶどうとレモンをおいしくするために、雪を降らせに行く」と言って、城を出てゆきます。彼女も、この世界に必要な存在なのです。

 字が大きくすべての漢字にふりがながふってあるので、たいへん読みやすく、かしこい子なら小学校低学年から読めるでしょう。小さなエピソードにわかれているので、読み聞かせにもぴったりです。
そして、もちろん、大人にもおすすめです。

 そのままファンタジーとして読んでも幻想的で美しいお話ですし、花や動物や登場人物を何かの比喩だと解釈しても深いメッセージを感じ取れます。

 読むたびに新しい発見がある名作です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 繊細なお話です。HSCやHSPのための童話と言っても過言ではないので、つよくおすすめします。「人魚姫」や「マッチ売りの少女」でアンデルセン嫌いになってしまったあなた、このお話はハッピーエンドです。「人魚姫」で泣ける人なら、「雪の女王」で喜べるはず。

 寒い日に、温かいお部屋で、温かいお茶をお供に。

プルシェンコの「スノーキング」

※物語のラストでカイは、雪の女王から「世界ぜんぶと新しいスケート靴」をもらうんですよね。

いつもありがとうございます

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