【ピンクはおとこのこのいろ】女の子も男の子も、何色が好きでもいい!多様性と幸せの絵本【4歳 5歳 6歳】
男の子がピンク色を好きだと変? いいえ、ピンク色だって、何色だって、男の子も女の子も好きでいいんです。お花もちょうちょも空にかかる虹も……
この本のイメージ カラフル☆☆☆☆☆ 多様性☆☆☆☆☆ みんなちがってみんないい☆☆☆☆☆
ピンクはおとこのこのいろ ロブ・パールマン/文 イダ・カバン/絵 ロバート・キャンベル/訳 KADOKAWA
<ロブ・パールマン>
今日いちばん好きな色は青だけれど、明日は紫かもしれない。ニューヨーク市で育ち、現在はニュージャージー州にある白と緑の家に、夫とオスカー(バタースコッチり色をした世界でいちばんの子犬)と一緒に暮らす。
<イダ・カバン>
トルコで生まれ育ち、幼い頃から絵を描いたり、本を読んだり、ジャングルジムで遊んだりするのが大好き。絵を描いていないときは、サンフランシスコのベイエリアでロッククライミングをしたり、自転車で丘を登ったりしている。夫とカリフォルニア州オークランドで暮らす。
<ロバート・キャンベル>
日本文学研究者。早稲田大学特命教授。国文学研究資料館前館長。ニューヨーク市に生まれ、日本に暮らしている。好きな色は青。
あなたは何色が好きですか?
わたしにとって、ピンクはかなり好きな色です。が、ピンクと言う色はいい歳をした大人がなかなか「好き」と言いにくい色でもあります。
一般的にピンクというと、「ちっちゃな女の子の色」と言うイメージ。いい大人や年寄りがピンクを着たり、ピンクのものを持ち歩いたりすると、「いつまでも子どもっぽい」「年齢を考えなさい」と言われがち。かわいい色ですが、使い方が難しい色でもあります。
女性ですらそうなのですから、男の子が「ピンク色が好き」などととは、なかなか言いにくいのではないでしょうか。
けれど、本来「色」は平等。どんな色を誰が好きでも自由なはず。
最近は、日曜朝の子供向け番組で、ピンク色のヒーローも登場するようになったことから、男の子がピンクを好きでも、そんなにおかしくなくなったかもしれません。
パステルピンクやパステルオレンジ、クリーム色などの明るくてかわいい色が似合う男性って、わりと多いんです。シャツが淡い暖色だと、顔色が良く、元気そうに見えます。
それに、実際、ピンクや緑、紫は「癒しの色」とされ、病院の看護師さんやお医者さんの白衣にも使われています。
外来の白衣は白ですが、緊急病棟や患者の容態が重い病棟だと、お医者さんも看護師さんもカラー白衣を着ていることが多いと思いませんか?
なかでも、ピンクは「若返りの色」と言われていて、「アンチエイジング効果がある」という説もあります。
ピンクを「ちっちゃい女の子の色」「大人が着るのははずかしい色」「女の子だけの色」にしておくのは、本当にもったいない。
それに、女性だからといって、絶対に赤やピンクを着なきゃいけないわけではないし、男性だからといっていつもいつも青や紺色を着なきゃいけないわけでもない。
わたしが子どもの頃は、女の子のランドセルは赤、男の子のランドセルは黒、と決まっていました。今のように豊富なカラーバリエーションはなく、赤と黒の二色しかなかったのです。黒のランドセルって、すごくかっこよくて憧れでした。逆に赤のランドセルを持ちたい男の子だって、いたはずです。
誰が何色を好きでもいいじゃないか……
これは、そんな多様性をストレートに伝えてくれる絵本です。原題はPINK IS FOR BOYS.原書初版は2018年。日本語版初版は2021年11月。
ピンクで楽しく着飾る男の子と女の子。
青色のユニフォームで野球を楽しむ女の子と男の子。
黄色の王冠で王様ごっこをする女の子と男の子。
緑色の野山で駆け回る女の子と男の子。
赤いサーキットをカートで走る女の子と男の子。
オレンジ色のアイスキャンデーを売る男の子と女の子。
紫色のユニコーンが好きな男の子と女の子。
茶色のテディベアが好きな男の子と女の子……
様々な人種、様々な髪の色、肌の色の子どもたちが、それぞれの好きな色を思いっきり楽しんでいます。みんな、みんな、笑顔全開で幸せそう。
青いユニフォームで野球を楽しむ女の子や、ピンクのシャツでおしゃれを楽しむ男の子、そして、パステルパープルのユニコーンが大好きな男の子は車椅子ですが、ほかの子供たちと楽しそうに車椅子で駆け回っています。
どんな子が、どんな色を好きで、どんな風に生きてもいい。だって世界には、こんなにたくさんの色があふれているんだから。
字は大きめで、ひらがなとカタカナだけで書かれており、まるみを帯びたフォントがとても読みやすい。すこしだけ大き目のサイズの本は、読み聞かせにぴったりです。
いまは、あまり外出をしないほうがいい時期ですが、いろんな色のクレヨンと画用紙を用意して、この本を親子で読んでみませんか。色をいっぱい使ってお絵かきしたくなること、まちがいなしです!
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。むしろ、HSPやHSCの方におすすめ。
様々な人種、体格、年頃の子どもたちが自分たちの好きな色でおもいっきり遊んでいる、はじける元気いっぱいの絵本です。「こうじゃなくちゃいけない」みたいな縛りや固定観念を、やさしい文章と、あたたかみのあるかわいらしい絵で取り払ってくれます。
読後は、いっぱいのクレヨンで思う存分お絵かきしたくなります。
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