【歯みがきつくって億万長者】児童小説で経済を学ぶ!歯磨きビジネスで大儲けできる?わくわくストーリー【小学校中学年以上】

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歯みがきつくって億万長者  ジーン・メリル/作 岡本さゆり/訳 平野真理子/絵 偕成社

わたしはケイト。友だちのルーファスは不思議な男の子。すっごく頭がいいし面白いことを次々と思いつく。そんなルーファスが、歯みがきを自分で作ると言い出したの。それがわたしたちの大冒険のはじまりだった……

この本のイメージ 起業から売却まで☆☆☆☆☆ ビジネスとは☆☆☆☆☆ サクセスストーリー☆☆☆☆☆

歯みがきつくって億万長者  ジーン・メリル/作 岡本さゆり/訳 平野真理子/絵 偕成社

<ジーン・メリル>
1923年、ニューヨーク州生まれ。大学卒業後、フルブライト留学生としてインドで民話の研究をする。帰国後、出版社の編集を経て、子どもの本を書き始める。「手おし車戦争」「だいすきな馬」「黒い羊」などで数々の賞を受賞。

<岡本さゆり>
1960年生まれ。上智大学文学部卒業。イギリス系の銀行に勤務ののち、子どもの本の翻訳を始める。

<平野真理子>
1961年、静岡県生まれ、横浜育ち。イラストレーター、エッセイスト。山歩きや旅、暮らしについてのイラストとエッセイの作品が多数。絵本・児童書に「たたんでむすんでぬのあそび」「料理図鑑」「生活図鑑」、「和菓子の絵本ー和菓子っておいしい!」など。著書に「私の東京散歩術」「今日から暦暮らし」、「身辺雑貨」、「人生のお祝い」など多数がある。

歯みがきつくって億万長者  ジーン・メリル/作 岡本さゆり/訳 平野真理子/絵 偕成社

 アメリカからやってきた、ユーモラスなサクセスストーリー。原題はTHE TOOTHPASTE MILLIONAIRE. 原書初版は1972年、日本語版の初版は1997年です。

 成人年齢が18歳に引き下げになりました。つまり、高校三年生から一人前の大人として、各種契約などが個人で行えることになります。いままでならば、「未成年だから無効」にできたことが、サイン一つで有効になってしまうかもしれない、恐ろしい時代。

 いままでは高校卒業してから二年間のあいだに、世の中のしくみを覚え、だんだんと理解を深めてゆけばいいところを、いきなり社会の荒波に投げ込まれることになります。

 あやしげな契約や金融商品のセールスの対象になりやすいのが、成人したての若者とお年寄りです。

 「世の中はどうしてそうなっているのか」……。それを理解するためにも、経済やビジネスを描いた児童小説を定期的にご紹介しています。それに、子ども向けなら、わたし自身の勉強にもなるんですよ!

 さて、本日ご紹介するのは、アメリカの児童小説「歯みがきつくって億万長者」です。

 これは、クラスの天才児、変わり者だけど気のいい黒人の少年ルーファスが、白人の女の子ケイトと一緒に歯みがきを作って売るビジネスを立ち上げ、大儲けするお話。

 ルーファスは数学が大好きな男の子。彼はあるとき、市販の歯みがきは粗悪な成分で価格も高いと気づき、自分で歯みがきを作って売ろうと思いつきます。

 最初は近所の人や知り合いに売るだけだったのに、これが大好評。子どもたちどうしで会社をつくり、クラスメイトが株主になり、ビジネスは大きくなってゆきます。やがて地元のテレビ番組に出ることになって……

 ……と、いうのがあらすじ。

 最初は子どもたちだけの家内制手工業だったものが、本格的な会社になり、クラスの子どもたち全員が参加してだんだんビジネスが発展してゆく様子が描かれています。それと同時に、会社や事業の成り立ちが詳しく説明されていて、よくわかるようになっています。

 「うわさのズッコケ株式会社」と似ていますね。「フェリックスとお金の秘密」とも少し共通点があります。ただ、この二つと違うのは、「歯みがきつくって億万長者」では、テレビの力を借りてビジネスを大きくすること。さすがはコマーシャル大国アメリカと言う感じ。宣伝にお金をかけることに躊躇がありません。

 また、「フェリックスとお金の秘密」では、後半は投資詐欺に立ち向かうサスペンスになったのに対して、「歯みがきつくって億万長者」は、大手歯みがき会社や歯みがき業界との戦いになります。ここらへんもアメリカらしい。

 さて、子どもたちの遊びからはじまった「億万長者ごっこ」、どうなりますか。それは読んでのお楽しみ。ただし、アメリカらしくさわやかなハッピーエンドです。そして、子どもたちはちゃんとお金持ちになります(そして親はそのお金に手をつけない)。あたりまえのことなのかもしれませんが、そこがすごいですね。

 この手の日本のお話は、どうしても最終的にお金を失ったり手放したりするお話が多いので、海外の子どもビジネスものや宝探しものを読むと最後にちゃんと大金持ちになるので逆にびっくりします。

 日本人の心には、なんとなく、「お金は失うもの」と言うイメージが刷り込まれているように思います。また、日本人は「お金は汚い」と思っている人が多いので、子どもの頃から学校や家庭であまりお金の話をしません。それが良い側面もあるのですが、あまりにも純粋培養なため、社会に出てから苦労する人もいます。

 アメリカの冒険小説や少年ビジネスものは、あっけらかんと大富豪になってしまうところが、日本人のわたしが読むと新鮮な驚きです。

 アメリカらしい面白さでいえば、ルーファスが黒人の天才少年なことです。ルーファスはお金儲けにはあまり興味が無く、歯みがきを作ってみんなに喜んでもらうことと、みんなでビジネスをするという「遊び」が楽しくて、夢中になっているうちに億万長者になっていった、と言う子。

 このルーファスを手伝うのが白人の女の子、ケイト。学校には様々な人種の子たちがいて、最終的にはクラスの子みんなが、この「会社ごっこ」の仲間になります。

 クラスの変わり者だったルーファスが、自分に興味のあることに熱中しているだけで周囲をどんどん巻き込んでゆく様子は、読んでいてわくわくします。
 日本人はどうしても「お金」と「苦労」を結びつけたがりますが、こういうポジティブなところは純粋に見習いたいところですね。

 また一緒に楽しいことをするのに人種なんか関係ないこと、頭の良し悪しや行動力にも人種なんて関係ないことも、しっかり描かれているのがアメリカらしい。インターネット以前の時代の物語ですが、こういうところはすごく「今」な感じです。

 字は程よい大きさで読みやすく、すべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビです。なので、五十音が読めれば何歳からでも。ふつうは小学校中学年くらいからがいいでしょう。

 物語としても面白く、次にルーファスたちがどんなことをするのかなと、ページをめくる手が止まりません。「うわさのズッコケ株式会社」と読み比べてみるのもおすすめ。もちろん、大人が読んでも楽しめます。

 面白くてためになる経済冒険小説。学び、工夫し、実践する楽しさと喜びを教えてくれます。親子で読むと楽しさ倍増。お金に対するイメージが、ポジティブになるかもしれません。お金と賢く付き合えるようになりそう。

 お子さまがおこずかい帳をつけさせたい歳になったら、ぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。わかりやすくビジネスや経済のことを説明しながら、サクセスストーリーを楽しむ冒険小説です。

 ほかのビジネス冒険ものとは違い、テレビコマーシャルや大手企業の談合などディープなところにも切り込んでいて、大人が読んでも楽しめます。

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