【エヴィーのひみつと消えた動物たち】動物と会話できる女の子の秘密の大冒険!【小学校中学年以上】
エヴィーは動物が大好き。だけど、エヴィーには誰にも言えない秘密がありました。動物とテレパシーで話ができるのです。どうやら、死んだお母さんも同じ能力があったみたい。でも、お父さんからはその力は秘密にしなさいと厳しく言われ……
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 現代版ドリトル先生☆☆☆☆☆ 秘密の大冒険☆☆☆☆☆
エヴィーのひみつと消えた動物たち マット・ヘイグ/作 宮坂宏美/訳 ゆうこ/絵 ほるぷ出版
<マット・ヘイグ>
児童書から一般書、フィクションからノンフィクションまで手がけるイギリスの作家。児童書作品でネスレ子どもの本賞、ブルー・ピーター・ブック賞などを受賞。一般書に「今日から地球人」「#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう」(いずれも早川書房)、児童書に「クリスマスとよばれた男の子」をはじめとする「クリスマスは世界を救う」シリーズ全3巻、「ほんとうのことしかいえない真実の妖精」(いずれも西村書店)などがある。
<宮坂宏美>
弘前大学人文学部卒業。旅行会社勤務、雑誌のライターなどを経て翻訳者に。絵本や読み物、ノンフィクションなど幅広く手がける。訳書に「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズ、「森の王さま キング・クー」(いずれも小峰書店)、「輪切り図鑑クロスセクション」シリーズ(あすなろ書房)、「きみにもできる! よりよい世界のつくりかた」(廣済堂あかつき)、「すいかのたね」(こぐま社)などがある。
原題は EVIE AND THE ANIMALS.イギリスでの初版は2019年。日本での初版は2021年です。
お話は……
エヴィーは11歳。ロンドンに住む、ごくふつうの女の子……に見えるけれど、彼女には「ふつうではない」力がありました。
動物たちと心の声で会話ができるのです。
エヴィーとお父さんは、エヴィーの特別な「力」を隠して遠いエクアドルからイギリスに引っ越してきたのでした。
お父さんは、エヴィーの「力」を隠して生活していれば、平和な暮らしができると思っていました。けれど、エヴィーには、恐ろしい危険がひそかに襲い掛かろうとしていたのでした……
……と、言うのがあらすじ。
あらゆる動物と虫たちとテレパシーで会話できる女の子のお話です。
かえる、トカゲ、蛇など両生類や爬虫類とも会話ができるので、植物や鉱物以外の生物とはほとんど会話ができるという設定のようです。
児童文学の古典名作「ドリトル先生」と似た設定ですが、ドリトル先生が動物たちの鳴き声や身振り手振りを真似て会話するのに対し、エヴィーは生き物たちの「心の声」を聞き取って心で会話するので、鳴き声をださない爬虫類や虫などとも会話ができます。
しかし、それだと世界中からいろんな「声」が聞こえてきて、生活に支障がでるのでは……と思ったら、やはり「力」が強くなるとそういう問題点はあるようで、エヴィーは戸惑いながら自分の「力」と付き合って生きています。
自分だけが「ふつうではない」力を持っていると思っていたら、どうやら死んだお母さんにも「力」があったようで……
そこからは、読んでみてのお楽しみ。
エヴィーの住んでいる町の名前が「ロフティング町」、エヴィーが飼いうさぎを檻から逃がしてしまったりと、ドリトル先生へのオマージュも随所にあります。(「ドリトル先生」の作者はヒュー・ロフティング)
ゆうこ先生の表紙と挿絵の動物たちが素晴らしく、できるかぎりたくさんの動物を描くぞ! と言う愛と気合を感じます。リアルなのに、愛らしい。そして表情が豊かです。
ハードカバーで装丁も美しいので、おそらくそう簡単に重版できないと思いますので、ぜひ、入手してお読みになってくださいね。
作者のマット・ヘイグは「クリスマスとよばれた男の子」や「ほんとうのことしかいえない真実の妖精」など、ほかにも名作が多いのでおすすめです。
植物や動物など、簡単に言葉が通じない人間以外の生物と親しむと、感受性が広がり、様々な学びが得られます。多様性に対する理解や、なかなか想いが伝わらないときの忍耐、相互理解への努力など、自然とのふれあいには大切なことがいっぱい。
動物や虫たちに対する考え方、見方がかわる、良質の児童向ファンタジーです。大人が読んでも面白いので、この秋、親子でぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。動物たちの描写が生き生きとしていて、挿絵の動物たちもすべてとても愛らしいので、動物好きのお子さまにおすすめです。
これが面白かったら、「ドリトル先生」シリーズもぜひどうぞ。
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