【コーギビルのゆうかい事件】ターシャ・テューダーの愛らしい絵本がリニューアル。ターシャファンと大人の絵本愛好家に。【子どもから大人まで】

2024年4月10日

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コーギビルのゆうかい事件 ターシャ・テューダー/絵・文 食野雅子/訳  河出書房新社

コーギ犬のケイレブはコーギビルの探偵です。ならずもののアライグマ集団の様子がなにやらおかしいことに気づき、調査を開始します。するとボガードのマートが飼っているニワトリのベーブが狙われていると知り……

この本のイメージ 繊細で美しい絵☆☆☆☆☆ 振り仮名なし☆☆☆☆ ターシャファン向け☆☆☆☆☆

コーギビルのゆうかい事件 ターシャ・テューダー/絵・文 食野雅子/訳  河出書房新社

<ターシャ・テューダー>
世界で愛されているアメリカの絵本作家。自然と動物を愛し、美しい庭をつくり、生活のすべてを楽しんだ生き方は、多くの人に勇気と感動を与えている。優れた児童書に贈られるコルデコット賞オナーブックを2度受賞。

<食野雅子>
翻訳家。児童書、ノンフィクション、小説、写真集など訳書多数。ターシャ・テューダーと翻訳を通じて知り合い、多くのターシャの本を手掛ける。山梨県にターシャ・テューダーミュージアムジャパンを開設。

 スローライフのカリスマ、ターシャ・テューダーの絵本です。原題はThe Great Corgiville Kidnapping.アメリカでの初版は1997年。日本語版は2001年にメディアファクトリーから出版されていましたが、今年2023年に新訳でリニューアルされました。

 ターシャ・テューダーはアメリカの絵本作家でガーデナーです。
 アメリカのバーモント州に東京ドームくらいの広さの庭に19世紀風に立てられた自宅兼アトリエを建て、19世紀ふうの暮らしをしながら絵本作家として活躍を続けました。
 亡くなる少し前まで仕事をしており、2008年に92歳でこの世を去っています。

 広大な庭の中にある古風な家で、電気も使わない生活(しかし、客間には電気が通っていたらしい)。
 野菜や果物を自分で育てヤギを飼いヤギのミルクを飲むという、自給自足に近い生活をしごく親しい人々とだけ交際する静かな生活。

 俗世を拒絶した仙人のような生活にも感じられますが、亡くなる直前まで絵本作家としての仕事を続けており、社会とのチャンネルはきちんと保持したまま作品を発信し続けていました。

 はじめてターシャのことを知ったとき、「こんな生き方もあるのだなあ」と目を開かされた思いでした。

 現代社会では、とくに日本では、とにかく多くの人と交流することを是としそれを要求されます。
 「誰とでも嫌な顔をせず、わけ隔てなく仲良くする」━━これが社会人の、とくに女性に求められる美徳なのです。

 しかし、これはかなり難しい。最近は人の価値観も生活ペースも多種多様。どんな人とでも笑顔で仲良くするなんて、なかなかに難易度の高いことです。

 ターシャは家庭の主婦として、かつ創作活動をするクリエイターとして、このあたりの取り組みにかかわる労力をばっさりと切り捨ててしまいました。

 そのぶんのエネルギーを美しい庭をつくることや、絵本を生み出すこと、お気に入りの家で古風な暮らしをすることにすべて注ぎこんだのです。

 一般人にはなかなかできない思い切りのよさですが、だからこそ憧れます。
 しかも、完全に厭世的になるのでもなく、また、絵本作家としての仕事に生活すべてを捧げるのでもなく、彼女なりに内的世界と外的世界とをうまく日常生活で折り合いをつけているバランスのよさ。

 ここまでのことはできなくても、こんな風に生きてゆけたら……

 ナチュラリストのターシャは、誤解されがちですがベジタリアンではありません。
 ターシャのレシピブックには肉を使った料理もたくさんありますし、砂糖を使ったオーソドックスな甘いお菓子のレシピもあり、肉も甘いものも楽しんでいたことがわかります。

 そして、自分は電気も使わない生活をしていても客間には電気を通す配慮もあります。頑固さと柔軟さがほどよく同居しているのです。

 特定の思想に縛られることなく、ただ自分の好きなものに囲まれて、自分の好きなものを愛し、手作りの生活を続けてきたターシャ・テューダー。

 彼女のライフスタイルはいまなお、多くの人々に愛されています。

 本日ご紹介するのは、そんなターシャ・テューダーの本業の絵本です。
 コーギー犬をこよなくあいするターシャは、コーギーが主人公の絵本のシリーズを描いています。それが「コーギビルシリーズ」。

 この「コーギビルのゆうかい事件」は、コーギー犬の探偵ケイレブが、ならずもののあらいぐま団からローストチキンにされそうになっていたニワトリのベーブを救出するお話。

 ターシャ晩年の本なので少し筆致が弱弱しくなっているのが残念ですが、それはそれで味になっています。
 リアルな動物たちが二足歩行をして服を着ているタイプの絵なので「ピーターラビット」などがお好きな人におすすめ。どの動物たちも愛らしく、表情豊かで生き生きとしています。

 ターシャの絵本は年々入手困難になっていたのでうれしいですね。ただし、この本はカタカナの名前のキャラクターが多く文章もボリュームがあり、漢字も多く振り仮名がありません。
 ですから、子どもが読むには適当ではないかもしません。どちらかというと、ターシャファンの大人のための絵本です。

 ターシャ・テューダーの暮らしと絵を愛する方に。
 そして、心が疲れていて癒しが必要な大人のなごみ絵本として。

 お風呂上りのリラックスタイムに、眺めながらゆっくりと読むのにおすすめの絵本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。
 が、漢字が多いわりに振り仮名がないので、大人の絵本愛好家向けの本です。

 クラシックで美しい絵は、ながめているだけて癒されます。読み終わったらリビングに飾っても。
 自分だけのリラックスタイムにハーブティーなどをお供に、ぜひどうそ。

 

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