【たなばたのねがいごと】なくならない願いごととは? ほんとうに大切なものを考える絵本【3歳 4歳 5歳】

2024年4月10日

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たなばたのねがいごと 村中李衣/作 えがしらみちこ/絵 世界文化社

明日はたなばた。幼稚園ではみんなが短冊に願い事を書いています。ほしいおもちゃ、かわいい服、ゲーム……「でも、ほんとうにすてきな願い事はなくなったりしないのよ」先生に言われてあおいちゃんは……

この本のイメージ たなばた☆☆☆☆☆ 願いとは☆☆☆☆☆ 大切なもの☆☆☆☆☆

たなばたのねがいごと 村中李衣/作 えがしらみちこ/絵 世界文化社

<村中李衣>
村中 李衣(むらなか りえ、本名:高橋久子 1958年~)は日本の児童文学作家・絵本作家・児童教育学者。ノートルダム清心女子大学教授。

<えがしらみちこ>
1978年福岡県生まれ。絵本作家、イラストレーター、絵本専門店「えほんやさん」代表(静岡県三島市)。主な絵本に「なきごえバス」(白泉社、「MOE絵本屋さん大賞2016」パパママ賞第1位)など。子どもが見せる一瞬の表情を水彩画でみずみずしく切り取る画風に、ファンが多い。

 なぜ今頃たなばた? と思われる方も多いと思いますが、実は北海道では8月7日がたなばた。日本では七夕は二回あるんですね。

 と言うわけで、今年はもう一度七夕の絵本のご紹介です。

 お話は……

 明日は七夕。
 あおいちゃんの幼稚園では、みんなで短冊に願い事を書きました。

 おもちゃがほしい、かわいいお洋服がほしい、ゲームがほしいなどなど……

 でも、幼稚園の先生は「ほんとうにすてきな願い事は、時間がたってもなくなったりしないことなのよ。おもちゃとかは、もらったときはうれしいけど、時間がたつとその気持ちがなくなったりすることがあるでしょ」といいます。

 あおいちゃんは、こわれたりなくなったりしない願い事ってなんだろう? 
 と考えました。

 お迎えにきてくれたおばあちゃんと手をつないで帰るあおいちゃん。
 なくならない願い事ってなんだろう?

 そして、
 あおいちゃんは「おばあちゃんとずーっといっしょにいられますように」
 と、書くのでした。

 ……と、言うのがあらすじ。

 大人の目から見たら、おばあちゃんはいつかあおいちゃんのもとからいなくなってしまいます。

 だけど、あおいちゃんの心の中のおばあちゃんが好きだという気持ち、おばあちゃんと一緒にいたいという気持ちはずっと残ります。それがいちばん大切なことです。

 幼い頃に愛された経験は、その人のその後の人生を支えます。
 祖父母からの孫への愛は、無条件の愛そのものです。

 無条件の愛を受け取った子どもは、それを相手に返すことも知っています。それが高い自己肯定感になるのです。

 自己肯定感については、このブログでは何度も取り上げています。
 高い自己肯定感をはぐくむ絵本については、こちらのまとめ記事をご覧ください。

 高い自己肯定感は「無条件の愛」ではぐくまれます。
 「かわいいから」「かしこいから」「役に立つから」「近所に自慢できるから」好き(条件付肯定)ではなく「あなただから」好き(絶対肯定)。

 自分は愛されている、自分は生きているだけで価値がある、この世で生きていていい、そう考えることができるのが自己肯定感です。

 これが不足していると、「かわいくないと愛されないかもしれない」「役に立たないと許されないかもしれない」「かしこくないと自分には価値がない」と思い込んでしまい、かわいくならなければ、役に立たなければ、賢くならなければ、とがむしゃらに消耗するまでがんばってしまったりします。

 そうなってしまうと、かえって幸せから遠ざかってしまい、自分の心の足りないものを「そうではない」もので埋めようとして埋まりきらずに苦しんでしまうのです。

 過酷な幼少期を送った方がその後の人生を苦しむのは、自己肯定感の本質をつかむことに苦しんでしまうからなのです。

 そういうかたがたにも、わたしは絵本をおすすめしています。

 無条件の愛に満ちた絵本を読むことで、自分の心の中の「子ども心」が少しずつ癒されてゆくからです。
 それは、今現在つらい状況にいる方にも救いになります。

 ※余談ですが、いま現在つらい状況にある大人の方にはヴィクトール・フランクルの「夜と霧」をおすすめします。また、低い自己肯定感に苦しむ方には加藤諦三先生の「愛されなかったときどう生きるか」をおすすめします。 この二冊は今まで多くの人を救ってきた名著です。

 幼い頃に無条件の愛に触れ、「愛とは何か」を本能で本質的に理解していることは、人生の宝になります。

 この絵本であおいちゃんが本能的に学んだ「壊れたり無くなったりしない願い事」とは、目に見えない大切なもの━━無償の愛━━でした。

 小さな子どもに「無償の愛とは」と解説しても言葉ではつたわりませんが、このように絵本のエピソードで何度でも読み聞かせると、じんわりじんわり心にしみこんでくれるはず。

 日本は無宗教だと言われながら、大自然や目に見えないものを大切にする国民性があり、七夕や初詣など「願い事」をする文化があります。
 「願い」とは「祈り」であり、自分以外の誰かの幸せを望む心でもあります。

 あおいちゃんは本当に大切なのは「あれがほしい、これがほしい」と言う「欲」ではなく、誰かの幸せを願う心「祈り」だと知ったのでした。

 文章は読みやすく、すべてひらがなとカタカナ。カタカナにはひらがなのふりがながふってありますから、ひらがなさえ読めれば一人でコツコツ読みきることができます。
 けれども、これはぜひ、読み聞かせで。

 七夕シーズンだけでなく、いつでもおすすめしたい絵本です。
 夏の夜のリラックスタイムに親子でぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

  

 ネガティブな要素はありません。
 祖母と孫の無償の愛の交換を描いた絵本です。夏の読み聞かせにおすすめです。

 

 

商品紹介ページはこちら

 

 

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