【ふゆのはなさいた】ちがいすぎるふたりの出会いが心の目を開かせて・・・。やさしさに気付く絵本。【絵本】【4歳 5歳 6歳】
はじめての冬を迎えたこねずみは、池のほとりで泣いていました。ひとりぼっちになってしまったと思っていたのです。「なくのはやめてよ」と、池のなかから声をかけられ……(ふゆのはなさいた 安東みきえ/文 吉田尚令/絵 アリス館)
この本のイメージ 気づき☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 気持ちがつながるとき☆☆☆☆☆
ふゆのはなさいた 安東みきえ/文 吉田尚令/絵 アリス館
<安東みきえ>
日本の児童文学作家・絵本作家。山梨県甲府市生まれ。 1992年、「地球のゆめ」で 第12回 カネボウ・ミセス童話大賞 アイディア賞を受賞。1994年、毎日新聞社主催の《小さな童話》大賞で大賞と選者賞今江祥智賞を受賞 。2000年、「天のシーソー」で第11回椋鳩十児童文学賞を受賞。
<吉田尚令>
1971年生まれ。書籍や絵本の作画を主に手がける。絵本「希望の牧場」。
冬にぴったりの絵本をご紹介。初版は2019年です。
お話は……
はじめての冬を迎えたこねずみは、池のほとりで泣いていました。
ひとりぼっちになってしまったと思ったのです。
泣いているこねずみに、池の中から金魚が声を掛けます。
こねずみは仲良しのつばめがいなくなってしまったことや、ずっと一緒にいたヤマネが
自分を無視して眠ってばかりのこと、大好きなお花が咲かないことを嘆いていました。
金魚は、つばめは春になったら戻ってくること、ヤマネは冬眠しているだけだから春になったら目覚めること、花は春になったらまた咲くことを教えてあげます。
話しているうちにふたりは仲良しになり、翌日もまた会う約束をしました。
ところが翌日、真っ白な銀世界に喜びながらこねずみが池に行くと、池はくもりガラスのような氷が張っていて、金魚の姿が見えません。
こねずみは、金魚に嫌われてしまったと思い、泣いていると……
……と、いうのがあらすじ。
人と人の心が強くつながるとき、それは楽しいことをしているときではなく、実は大変なことや困ったことが起きてそれを乗り越えようとするときのような気がします。
自分ではない誰かを助けようとするとき、誰かの悲しみを小さくし励まそうするとき、人と人の心はつながり、大きな力を発揮しようとします。
どうしてもネガティブになりがちなこねずみ。
人間に飼われていたらしい、物知りなでポジティブな金魚。
ちがいすぎる二人が友情をはぐくむ話と思いきや、ラストはたくさんの心と心がつながって、大きく美しい冬の花が咲きました。
ともに何かを作り上げたり、困難を乗り越えたりすることで得た友情は、長く長く続きます。
なんとなくで一緒にいたり、楽しいときだけ集まって遊んだりするよりも、多くの気持ちを共有しともに成長し、忘れられない思い出を作ります。
ちょっとくすんだ冬の色で進むお話なだけに、ラストの「花」の鮮やかさが目に沁みます。
文章は漢字交じりですが、すべての漢字に振り仮名がふってありますので、五十音が読めればひとり読みで最後まで読み切ることができます。文章量は見開きに最大でも15行くらいです。もちろん、読み聞かせにも。大人が読んでも癒されます。
「ふゆのはなさいた」は冬の夜の読み聞かせや、寒い日のお留守番タイムにぴったりの絵本です。
北風がぴりぴりするこの季節に、絵本でハートを温めましょう。
ほっこりしたいときに、ぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。心温まる冬の物語です。HSPやHSCの方のほうが多くのメッセージを受け取れるでしょう。
ついつい、ネガティブに解釈しがちなお子さまに。
世界の広がりが感じられる絵本です。
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