【マチルダは小さな大天才】つらい毎日を吹き飛ばせ!小さな天才が理不尽をぶっ飛ばす、痛快児童文学。小学校中学年以上、大人にもおすすめです。

2024年1月18日

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マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダール/作 宮下嶺夫/訳 評論社

パパもママもちっとも気がつかないけれど、マチルダは天才です。一歳半ですらすらとしゃべり、三歳になる前に字を覚え、四歳になると難しい本も読み始めた。つらいことばかりのマチルダに、やさしくしてくれたのはハニー先生。けれど、ハニー先生にも秘密があって……

この本のイメージ びっくり☆☆☆☆ 痛快☆☆☆☆☆ 豪快☆☆☆

マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダール/作 宮下嶺夫/訳 評論社

<ロアルド・ダール>
イギリスの作家。サウス・ウェールズに生まれ、パブリック・スクール卒業後、シェル石油に。第二次世界大戦で、イギリス空軍の戦闘機パイロットとし生死の境をさまよった経験から作家になる。

 ファンの多い本です。

 マチルダは、一歳半でしゃべり出し、三歳で字を覚え、四歳からは身の回りの難しい文章も読みまくる子でした。ところが、両親と兄はテレビ中毒。本は買ってもらえず、マチルダのことなんて相手にしてくれません。

 マチルダは、近所の図書館に通うようになり、本の虫になります。娘の教育にまったく興味のないマチルダの両親は、遅れ気味で彼女を学校に通わせるようになり、そこで、マチルダは優しいハニー先生と出会うのです。

 マチルダの両親と言うのが、自分の娘を「かさぶた」 (原文ママ) くらいにしか思っておらず、親としての愛情がかけらもありません。しかも、父親は中古車を偽装して売ってる詐欺師なのです。

 幼児虐待みたいなシーンもあるのですが、マチルダが負けていなくて強烈なイタズラで逆襲するので、アウトとセーフギリギリのラインを攻めてる感じのところがあります。

 マチルダが通う学校もすごくて、校長先生がモンスターレベルの児童虐待とパワハラを繰り広げます。この人は、ハニー先生の叔母なのですが、お父さんが死んだ(自殺と言うことになってるけど謎が多い)後ハニー先生の家を乗っ取ったり、マチルダを濡れ衣でいじめたりします。生徒たちも虐待しますが、おさげを引っ張って子供を振り回すなど物理的暴力なので、かなりびびりました。ダールのこのノリについていけないときついと思います。

 ただ、100年くらい前だと劣悪な孤児院とか学校はわりとあったらしいので、そういうところがモデルになっているのでしょう。いい時代になりました。

 おそらく女性キャラにしたのは、男性キャラだとしゃれにならないからなんでしょうね。強烈です。
あまりのことに、途中で「ウッ…」と読めなくなって中断してしまったりもしたのですが、読み続けると途中途中でスカッとするシーンがさしはさまれ、ラストは文句なしのハッピーエンドなので、救われました。

 途中でチョコレートケーキを食べきっちゃう男の子の話が、いいガス抜きになっています。ここらへんのさじ加減が絶妙です。(でも、一気に読めるから本でよかった。テレビシリーズだったら、たぶん途中で脱落してました)

 今現在、学校や職場で苦しい人は、マチルダの豪快な大逆転劇に救われるかもしません。優しく辛抱強いハニー先生はとても魅力的ですし、粘り強く道を切り開いていく姿は思わず応援したくなります。あ、友人のラベンダーもいい子ですよ。

 疲れ果てて癒されたい時と言うより、理不尽に踏み潰されそうな時におすすめです。折れない心をくれる本です。現実にはマチルダのような逆襲はできないけれど(しちゃだめだし)、本の中でマチルダが敵討ちをしてくれてるんだと思えばがんばれます。そんな本です。

 今、がんばって学校に通い続けている子や、しんどい仕事場で耐えてる大人にもおすすめです。マチルダつよいです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 パワハラシーンが強烈なので、万人におすすめできる話ではありません。読んでいて途中で辛くなることがあるかもしれませんが、その分ラストの大逆転がスカッとします。「そういうシーンがあるのだな」と身構えていれば大丈夫な方には、おすすめです。

 ただ、もしかしたら受け付けない人はいるかもしれません。逆に、この話だからこそ救われる人もいると思います。ものすごく好きな人と嫌いな人に分かれるかもしれない、人を選ぶ本です。

 途中のストレスは、最後の大逆転のための「溜め」なので、そこを読みきれるなら、最後まで読むとハッピーエンドに救われます。

 濃い目の紅茶とチョコレートケーキをお供にどうぞ。

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