【天井うらのふしぎな友だち】引っ越した古民家は妖怪つき?大人にもおすすめのほのぼのファンタジー【小学校中学年以上】

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天井うらのふしぎな友だち 柏葉葉子/作 講談社

紅と了が引っ越したのは、古い大きな民家でした。でも、そこに、不思議な妖怪が引っ越してきたのです。彼らは「乗り物のつぼ保存対策委員会」と名乗り、怪しい活動をはじめました。乗り物とは?つぼとは?彼らは何者なんでしょうか?

この本のイメージ とぼけた☆☆☆☆☆ 不思議な☆☆☆☆☆ わくわく☆☆☆☆☆

天井うらのふしぎな友だち 柏葉幸子/作 講談社青い鳥文庫

 柏葉幸子先生の、ほのぼの不思議ファンタジー。
 最初に申し上げますと、この本は、大人におすすめです。

天井うらのふしぎな友だち 柏葉葉子/作 講談社

 お子様がお読みになっても、わくわくと楽しく読めると思うのですが、テーマにノスタルジーが組み込まれているため、大人が読むと涙ぐんでしまうのです。

 紅と了の姉弟は、お父さんの仕事の都合で、田舎の古民家に引っ越してきました。
 その家へ、ある日、不思議な妖怪たちが引っ越してくるのです。それは、メリィさん、ゴフジョ、ユリアン、ジュピという四人組。

 彼らは「乗り物のつぼ保存対策委員会」と名乗り、紅たちの家の天井裏に住み着きます。
 「乗り物のつぼ」とは、人間が子供の頃、現実と夢の世界を行き来していた頃に乗っていた「乗り物」を保管する壷。今、壷にひびが入り壊れつつあるので、それを阻止するためにやってきたと言うのです。

 壷が壊れると、その「乗り物」が飛び出してもとの持ち主を探し出し、もとの持ち主は夢の世界に行ってもどってこれなくなる。そうしたら、たいへんなことになる、と言うわけです。

 紅と了はこの妖怪たちと、「乗り物のつぼ」を救うために活動を開始します。
 さて、壷を救うことができるのでしょうか。

 というのがあらすじ。

 紅と了が、この不思議な妖怪たちとだんだん打ち解けてきて、彼らの謎を解いてゆくにつれ、人と夢の世界の関係もわかってきます。彼らは人間の想念が作り出した存在だったのです。

 子供の頃はみんな彼らが見える。けれど、大人になったら忘れてしまう。
 大人で、彼らが見える人たちは、どこかさみしくて不幸な人たち。

 幸せなのに見える大人は、見えていた子供の頃から「見えなくなった期間」がなく、そのまま見えている大人だそうです。

 だから、彼らは「わたしたちが見えなくなるのは、幸せだってことだからいいのよ」と言うのです。なんだかさみしそう。

 わたしの周囲には「見えている子供時代のまま大きくなった」人はたくさんいます。
 でも、やっぱり、全体的には減ってきているのでしょうか。

 すべてを忘れてしまっていたかに見えた「ツララ」こと教頭先生が、実は人一倍大きな夢の世界を持っていたことがわかったシーンでは、胸が苦しくなって泣きそうになりました。

 「ばかげた空想」を抱いていることがゆるされなかった時代に、心の底に封印した夢は、すごく大きな根っことしてツララ先生を支えていたのです。

 癒されたツララ先生はどんな人になるのでしょうか。
 物語では、そこまでは描かれてはいません。

 でも、乗り物を見つけた人たちが、それ以前よりもずっと幸せになったらいいなと思います。

 夢や空想の世界は大人になると忘れてしまう、と言うのは、ファンタジーだと一般的な設定です。
 けれど、大人になったら「忘れなくちゃいけない」と言うきまりはなかったはずなのです。

 「いつまでもばかなことばかり言って」と言い続けたら、夢も希望も無い砂漠のような心になってしまいます。

 大人の世界のほうが、苦しいことも辛いことも、受け入れられないことも多いのです。大人のほうが夢や空想が必要じゃないでしょうか。

 このサイトは、わたしの読書記録をかねているので、児童文学のなかでもファンタジーが多めです。児童向けの本の中には、もっとリアルな人間模様を描いたものや、空想的要素のないものもたくさんあることをわたしは知っています。

 でも、子供のころこそ、ファンタジーやSFでわくわくしてほしい。この年齢でそれをしなかったら、もったいない! もちろん、大人だって子供心は必要だ! と思うので、このサイトポリシーなのです。

 人は人をそんなに簡単に救えません。なんとかしようと思っても、できないことのほうが多く、もどかしいばかりです。
 けれど、遠くからささやかな夢を投げることはできるのです。

 わたしは、それが創作だったり、物語だったりすると思っています。

 そのエンタメにしたって、誰かを励ますものが誰かを傷つけてしまうかもしれません。誰かには楽しい物語が誰かの哀しみになるかもしれません。万人に同じように効くものはないんだろうと思います。

 それでも、「だから夢や空想は無意味なんだ」と言い切ってしまったら、この世界からあたたかいものが全部、消えてしまいます。

 多くの人が好きで楽しいものを、わたしは楽しくないかもしれないし、わたしがいいと思うものが多くの人がいいとは思わないかもしれません。人の価値観は多様です。けれども、どんな形でも、夢や空想が必要なんだと、わたしは思います。

 忘れかけた気持ちを呼び起こしてくれる作品です。
 大人にも子供にもおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。ほのぼのとした日常系ファンタジーです。むしろ、大人におすすめの物語です。親子での読み聞かせにぜひ。
 お父さんお母さん、男の子女の子にも。楽しいのに、どこかなつかしくてしんみりしてしまうお話です。
 最初のほうだけ少しもたつきますが、導入を越えると、ぐんと面白くなり、ラストはぐっと熱い想いがこみ上げてきます。週末やお風呂上りに、リラックスしてお楽しみください。

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