【めざめのもりのいちだいじ】春が来た!クマとヤマネのほのぼの友情物語絵本【おおきなクマさんとちいさなヤマネくん】【4歳 5歳 6歳】

2022年5月19日

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めざめのもりのいちだいじ おおきなクマくんとちいさなヤマネくん  ふくざわ ゆみこ/作 福音館書店

雪が解け始めたころ、ヤマネくんは春の呼び声に目を覚まします。誰か目を覚ましていないかな?うきうきして駆け出したヤマネくんが見たものは、今にも崖から落ちそうな切り株とミツバチさんたちの家。さあ、たいへんだ!

この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 友情☆☆☆☆☆ 団結☆☆☆☆☆

めざめのもりのいちだいじ おおきなクマくんとちいさなヤマネくん  ふくざわ ゆみこ/作 福音館書店

<ふくざわゆみこ>
東京生まれ。絵本作家。主な絵本に「ぎょうれつのできるパンやさん」「ぎょうれつのできるチョコレートやさん」他、ぎょうれつのできるおいしいえほんシリーズ(教育画劇)、「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」「ブルくんとかなちゃん」シリーズ(福音館書店)など多数。

めざめのもりのいちだいじ おおきなクマくんとちいさなヤマネくん  ふくざわ ゆみこ/作 福音館書店

 ふくざわゆみこ先生のかわいらしい絵本です。初版は2005年。二十年近く愛されるロングセラーシリーズです。

 このシリーズ、どれから読んでもかわいらしいのですが、もし、第一作からお読みになりたい場合は、まずは「もりいちばんのおともだち」からお読みください。

「もりいちばんのおともだち」のレビューはこちら

 とある森に住むおおきなクマさんと、小さなヤマネ(ねずみに似たげっ歯類の動物)くんは大の仲良し。いつも自分のことより相手のことを優先する大親友です。

 さて、今回のストーリーは……

 一足早く冬眠から目覚めたヤマネくんは、うきうきして外へ飛び出します。すると、雪解け水でがけ下へと崩れ落ちそうな切り株が。そこには、ミツバチさんたちの巣があり、ミツバチさんたちが困っています。

 「たいへんだ!」ヤマネくんは助けてあげようとクマさんを呼びに行きますが、クマさんはまだ冬眠中。森のみんなが集まってきて、みんなで切り株を引き上げようとしますが、力が足りません。

 もう一度、みんなでクマさんを起こしに行くと……

 ……と、いうのがあらすじ。

 小さなヤマネくんは、自分は非力ですが、森中を駆け回って仲間を集めることができました。そして、みんなで力をあわせて、ミツバチさんたちの危機を救うことができたのです。

 動物ファンタジーは、たいていの場合、肉食獣と草食獣が仲良くしていたり、小動物と猛禽類が友達だったりと、ふつうならありえない物語になっているので、「リアル」ではありません。

 ただ、これを「いろんな個性のある人間」の比喩だと思うと、わりとすんなり読むことが出来ます。気合の入った動物好きの子は、こういうのダメだったりもするのですが(その科学的視点もすばらしい)、わたしはわりと好きです。

 と、言うのも、「世の中にはいろんな人がいるけれど、いつかはきっとわかりあえるよ」と言うテーマは、人間を主人公にしてリアルに描くとむしろ、重くなりすぎて伝わりにくいのです。たぶん、読むほうにも、多かれ少なかれ、先入観が入ってしまうからでしょうね。

 わたしは、自分の児童文学体験のルーツが「ドリトル先生」だったこともあって、動物ファンタジーが大好きです。子どもの頃に見ていたアニメーションも「山ねずみロッキーチャック」など動物ものが全盛期の時代でした。

 この「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」のシリーズは、おおらかで身体が大きいクマさんと、すばしこっくて、元気なヤマネくんのコンビのシリーズ。似たものどうしが仲良くなるのではなく、ぜんぜん違うものどうしが仲良くなるというお話です。

 確かに、趣味や服装など、似たところがある人のほうが理解しやすく付き合いやすいものです。しかし、似たところがまったく無い人とお友達になると、それはそれでいろいろと新鮮な発見があります。
 クマさんとヤマネくんは、それぞれが相手にあこがれつつ、余計なコンプレックスは持たないし、そのうえで、相手に「自分のようになる」ことを求めない、それぞれがそれぞれのよさを認め合った関係です。まさに理想的。

 クマはクマどうし、ヤマネはヤマネどうしで仲良くしていれば、互いのことはわかりやすく、そんなに面倒なことも起きません。リアルではそれがふつうです。でも、その分、特別な事件が起きることも、新しい発見もないのです。

 ほかの動物たちより一足先に冬眠から醒めてしまうヤマネくんは、きっと新し物好きで好奇心旺盛なのでしょうね。そして、身体が小さいのに、なんとかしてミツバチさんの家を助けてあげたいと思う、優しいところもあります。

 クマさんを呼びに言ったり、森の仲間たちに声をかけたりと、自分ではない誰かのために他人に救助を求めることができるのも、ヤマネくんの美徳です。

 自分自身が困ったときに助けを求めることができても(これもこれで、わりと難しいことではあるのですが)、赤の他人のために他人に頭を下げて、協力者を集めると言うのは、現実社会では、自分自身の救助要請より難易度が高いことです。ヤマネくんのコミュ力がすごい。

 最終的にクマさんだけでなく森のみんなが力を合わせ、ミツバチさんたちのおうちは無事にお引越しができました。花が咲き乱れる季節に、みんなはミツバチさんたちからおいしいミツを分けてもらってハッピーエンド。

 小さなヤマネくんひとりの力では、何もできないかもしれないけれど、どうしてどうして、すばらしい能力があります。

 そして、一人で大きな切り株を持ち上げてミツバチさんたちを助けてあげられる力をもった、大きな大きなクマさんは、そんな力持ちだけどぜんぜん威張っていないし、のんきで優しいクマさんなのです。

 クマさんとヤマネくんのシリーズを読んでいると、「人は、おんなじじゃなくていい。みんなそれぞれ、違っていていい」と思えるようになります。しかも、絵はほのぼのとしていて、かわいらしい。

 デフォルメとリアルの配分は少しデフォルメ要素が多いほうですが、温かみのある筆致で、ほのぼのとした気持ちになります。ふきのとうやれんげなど、植物も詳細に描かれており、お花や自然が好きな方も満足するはず。

 文章はひながなとカタカナだけで書かれており、大きめの本なのでひとり読みもできるのですが、できればこれは読み聞かせしてあげてください。小さな子どもが、困っている誰かを助けることで、周囲の人たちとの友情を深めてゆく物語です。

 絵がとにかく可愛らしいので、動物とかわいいものが好きな方なら、大人の和み本としてもおすすめです。癒されます。

 春のお休み、おうち生活の癒しタイムにぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。絵本のサイズは大きめです。内容はほのぼのとした、可愛らしい絵本です。様々な個性の動物たちが登場し、みんなで力をあわせるお話です。

 読後はハチミツを入れた紅茶でティータイムを。

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