【りこうなおきさき】ユーモアあふれるルーマニアの昔話集。愛されるロングセラーです。【ルーマニアのたのしいお話】【岩波おはなしの本】【小学校低学年以上】

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りこうなおきさき 岩波おはなしの本  モーゼス・ガスター/文 光吉夏弥/訳 太田大八/絵 岩波書店

ある日、王様が大臣に言いました。「ヒツジを二千びき市場につれて行き、売っておいで。ただし、売れたお金といっしょにヒツジを連れて帰るのだよ」。困り果てた大臣に、大臣の娘が知恵を授けます。それは……

この本のイメージ ユーモア☆☆☆☆☆ 教訓☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆

りこうなおきさき 岩波おはなしの本  モーゼス・ガスター/文 光吉夏弥/訳 太田大八/絵 岩波書店

<モーゼス・ガスター>
モーゼス・ガスター(1856年9月17日~1939年3月5日)はルーマニア人、後にイギリス人の学者。主にヘブライ語、サマリア人、スラヴ語を中心に、2,000を超える写本の優れた収集家。10年間を投資し、ルーマニア文学の夜明けから1830年までの期間をカバーするルーマニアの用語集を編纂する。

<光吉夏弥>
光吉夏弥(みつよし なつや、1904年11月20日 ~1989年3月7日)は、日本の翻訳家・絵本研究家・舞踊評論家。本名・積男。
大阪府北区北野茶屋町で生まれる。1929年慶應義塾大学経済学部卒業。専門は児童文学・写真・舞踊。1953年岩波書店で「岩波の子どもの本」絵本シリーズを石井桃子とともに創立する。ほか児童書の翻訳、バレエの入門書など多数がある。1990年『絵本図書館(世界の絵本作家たち)』で日本児童文学学会賞特別賞受賞。
岩波書店刊の絵本「ちびくろ・さんぼ」(1953年初版)の翻訳者として知られる。

<太田大八>
太田 大八(おおた だいはち、1918年12月29日 – 2016年8月2日)は、日本の絵本作家・画家。長崎県生まれ。多摩美術学校卒業。「いたずらうさぎ」(福音館書店)ほかで小学館絵画賞、「かさ」(文研出版)で第18回児童福祉文化賞、「やまなしもぎ」(福音館書店)で1977年国際アンデルセン賞優良作品、「ながさきくんち」(童心社)で第12回講談社出版文化賞、「だいちゃんとうみ」(福音館書店)で第15回絵本にっぽん賞、「絵本西遊記」(童心社)で第45回産経児童出版文化賞など数々の賞を受賞。

りこうなおきさき 岩波おはなしの本  モーゼス・ガスター/文 光吉夏弥/訳 太田大八/絵 岩波書店

 超ロングセラー、「岩波おはなしの本」シリーズです。

 この頃の児童文学は、たいていの場合立ち上げに「クマのプーさん」「ピーターラビットの絵本」の翻訳で知られる石井桃子先生が携わっており、この方が関わる本にはほぼ間違いが無いという時代。
 こちらの翻訳をされた光吉夏弥先生も、石井桃子先生と一緒に日本の児童文学の黎明期を支えた方のようです。


 このお話、学校の図書館で読んだような、読まなかったような……。ところどころ、なんとなく覚えがある気もするのですが、あらためて読んで、子どもの頃のわくわくを思い出し、心が洗われました。

 わたしは、かしこいお姫さまのお話が大好き。プリンセスではありませんが、「アリババと40人の盗賊」のモルジアナも好きです。

 女はなかなか腕力では勝てませんが、知恵と勇気で困難を乗り越えるお話が多く、子どもの頃から虚弱だったわたしはあこがれたものです。(もちろん、力技で押し切ってしまう「ピッピ」のような女の子も大好きです)

 この「りこうなおきさき」は、昔話の短編集で、全部で13編の短編が収録されています。
 ルーマニアの研究者、モーリス・ガスターの、Rumanian Bird and Beast Stories (1915)と、Children’s Stories from Roumanian Legends and Fairy Tales (1923)から光吉先生が選んだより抜き作品集のようです。(Rumanian Bird and Beast Storiesは、アマゾンでまだ買えるようです)

 昔話は、子どもたちに道徳を教える教訓的な話と、「困ったときは頭を使え」的なとんちの効いたお話の二種類があります。このバランスが大切なんだな、と大人になって思うようになりました。

 道徳は誠実な人生を送り、幸せになるには一番大切なことですが、人生、生真面目な直球勝負だけでは乗り切れない困難もあります。
 そんなときは、ユーモアやとんちのような、変化球も必要。

 計算しているのかしてないのかはわかりませんが、昔話はいつもこのふたつが絶妙にブレンドされており、小さな子どもが物語を楽しみながら多くのことを学べるようになっています。

 小さな頃読むと、「花の騎士」のようなサクセスストーリーや「しあわせとふしあわせ」のようなお姫さまのお話が好きだったかもしれませんが、今読むと、「りこうなおきさき」がいちばん好きです。
 こういうふうにピンチを軽々と乗り越えてゆけたら……。

 まじりけの少ない昔話には、その時代の人々の生活の知恵や生き抜く力に満ちていて、読んでいると活力をもらえます。新しい物語の持つモダンな美しさや繊細さ、緻密さも魅力的ですが、たまにはこういうおはなし集もいかがでしょう。

 かわいらしい中にも力強さがあり、読んでいると元気が出てくる本です。短いお話集なので、読み聞かせにもおすすめ。

 大人が読むと、このなんとも言えないレトロな雰囲気に癒されます。純喫茶でクリームソーダなんか飲みながら読みたいところ。

 50年以上愛されるロングセラーです。雨の季節のおうち時間にぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。教訓的要素と、とんちと、そして夢あふれるファンタジーが絶妙にブレンドされているおはなし集です。短編集なので、読み聞かせにおすすめ。鳥の話が多いので、鳥好きさんにも。

 壁画のような挿絵がレトロな雰囲気たっぷり。大人なら、古い純喫茶でおいしいコーヒーかクリームソーダをお供に楽しみたい童話集です。

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