【それしかないわけないでしょう】未来はいくらでもある!視界がひろがるやわらか頭の元気な絵本。【3歳 4歳 5歳】

2024年4月14日

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それしかないわけないでしょう ヨシタケシンスケ/作 白泉社

おにいちゃんが言った。未来の世界には怖いことがいっぱいなんだって。でも、おばあちゃんは言うの。「それしかないわけないでしょう、未来はいっぱいあるのよ」と…… (それしかないわけないでしょう ヨシタケシンスケ/作 白泉社)

それしかないわけないでしょう ヨシタケシンスケ/作 白泉社

<ヨシタケシンスケ>
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。「りんごかもしれない」「もうぬげない」(以上、ブロンズ新社)、「りゆうがあります」「なつみはなんにでもなれる」「おしっこちょっぴりもれたろう」(以上、PHP研究所)、「あつかったらぬげばいい」(白泉社)で、MOE絵本屋さん大賞第1位、「りんごかもしれない」で、第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞。著書に、「このあとどうしちゃおう」「ころべばいいのに」「ねぐせのしくみ」(以上、ブロンズ新社)、「ふまんがあります」「わたしのわごむはわたさない」(以上、PHP研究所)、「つまんないつまんない」(白泉社)、「あるかしら書店」(ポプラ社)、「みえるとかみえないとか」(アリス館)などがある。2児の父。

 ヨシタケシンスケ先生の新感覚絵本。初版は2018年です。

 わたしが子どもの頃「40歳寿命説」と言うのが、まことしやかに流れていたものです。
 当時の公害などの環境汚染、癌や白血病の増加、成人病、ストレス、様々な社会問題などを考えると、子どもたち(つまりわたしたち)は、せいぜい40歳くらいまでしか生きられないのではないかと言うのでした。

 これは決してトンデモ理論ではなく、本当にこんな理論を真面目に説く識者が地方の学校に招かれてありがたい講演をしたりと、わりと大人たちも真剣に話していたのです。

 今振り返って考えると確かにわたしたち世代はその上や下の世代に比べて若くして癌や白血病で鬼籍に入っている友だちも多いのですが、とはいえ40歳すぎてもわたしは生きています。

 もしかしたらそういう暗い未来もあったのかもしれませんが、人類はそっちを選ばなかったってことなんでしょう。
 未来は暗いものばかりではない。

 この絵本の主人公の女の子も、ある日おにいちゃんから人類の未来は暗いんだぞと脅かされて怖くなってしまいます。けれど、その直後におばあちゃんに「それしかないわけないでしょう」と元気付けてもらいます。

 「あれ」と「これ」。
 未来は二択なんてことはない。

 「繁栄」じゃなければ「滅亡」だなんて、そんな極端なこともない。

 大人の社会のよくある言葉に「この仕事場でがんばれないようなら、どこへ行っても通用しないぞ」と言うのがあります。
 が、それこそ、「それしかないわけないでしょう」?

 「通用する」と「通用しない」のあいだには、「まあまあ通用する」とか「ちょっと通用する」とか「ときどき通用しない」とか「たまたま通用する」とか、いろいろとグラデーションがあるわけです。そのグラデーションが個性だし人生なのです。

 「ふたつにひとつ」と思い込んでいると脳みそが固くなってしまいます。
 「これをしないならあれしかない」とか、「これができないならやめるしかない」とか。
 本当にそうかなあ、気がつかないでいる選択肢が隠れているんじゃないかなあ。

 そこに気づいたとき、女の子の視界は果てしなく広がってゆくのでした。

 ああ、あるある、現実でもこういうこと。
 「これができないなら、諦めるしかないね」とか(ほんとに?)、
 「こうしないなら、ああするしかないね」とか(二つしか方法がないの?)、
 「謙虚に生きるか傲慢に生きるか、どっちなんだ」とか(中庸はないの?)
 よくよく考えたら絶対にそうではないのに、あたかも「それしかない」ように見せかけられていること。

 そんなわけはない、未来はもっと自由で、もっとたくさんの選択肢がある。

 誰も助けてくれないと思っていても、思わぬところで思わぬ人が助けてくれることもある。
 今まで打開した人がいないと言われていた困難でも、乗り越えた人がいて実は記録に残っていなかっただけと言うこともある。
 昨日まで「不可能」と思われてきたことが、新発明で簡単にできるようになることもある。

 「これしかない」なんてことはないと思えたら、生きるのがもっと楽しくなるし、世界は好奇心に満ちたわくわくしたものに感じられてきます。

 字はすべてひらがなとカタカナ。女の子のモノローグは活字で、しゃべり言葉は味のある書き文字で書かれています。五十音が読めれば、楽しみながらひとりで読みきることができるでしょう。もちろん、読み聞かせもおすすめ。
 親子で読んでいると、大人の心もほぐされて気がついたら癒されています。

 大判の絵本ですが、大人のなごみ本としても。
 「これしかない」「きっとこうなる」と思い込んでいると、肩に力が入りすぎてきつくなってしまいます。
 選択肢は無限にあるし、未来も無限にある。

 つらいことばかりじゃなくて、未来はきっときっと楽しい。

 なにかとしんどいご時勢ですが、時々はいい感じに脱力してゆるっと参りましょう。
 熱いお風呂にゆっくり浸かって、お風呂上りには絵本をどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はまったくありません。固定観念で凝り固まった頭をやわらかくしてくれる、ゆかいで癒される絵本です。

 「これ」と「あれ」しかないように思えても選択肢は無限にあることに気づかされます。
 心が自由になり、空想が広がり、発想の翼が羽ばたく絵本です。

 大人にもおすすめです。

 

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