【ダーク・マテリアルズ】運命を乗り越える!少女の大冒険。映像化もされた本格ファンタジー第2巻【黄金の羅針盤 下】【中学生以上】
船上民族であるジプシャンに助けられ、ライラは「真理計」を読み解きながら攫われた子どもたちと監禁された叔父の救出に向かう。しかし、そこで行われていたことは……(黄金の羅針盤 下 ダーク・マテリアルズⅠ フィリップ・プルマン/作 大久保寛/訳 TAKUMI/カバー装画 新潮文庫)
この本のイメージ ダークファンタジー☆☆☆☆☆ 少女の冒険☆☆☆☆☆ 異世界☆☆☆☆☆
黄金の羅針盤 下 ダーク・マテリアルズⅠ フィリップ・プルマン/作 大久保寛/訳 TAKUMI/カバー装画 新潮文庫
<フィリップ・プルマン>
1946年、英国ノリッジ生れ。児童文学作家。父親が英国空軍の軍人のため、子供時代は様々な国で暮らす。オックスフォード大学を卒業後、ウエストミンスター大学で英文学を教えるかたわら、小説、戯曲、絵本、児童文学などを発表。代表作に「ダーク・マテリアルズ」三部作があり、「黄金の羅針盤」で1996年にカーネギー賞とガーディアン賞を受賞。また「琥珀の望遠鏡」では2002年にウィットブレッド賞児童文学賞を受賞し、児童文学として初めて最優秀賞も受賞するという快挙をなしとげた。
<大久保寛>
大久保 寛(おおくぼ ひろし、1954年~)は、日本の英米文学翻訳家。「おおくぼかん」の読みも用いている。
原題はNorthern Lights.アメリカなどではThe Golden Compass.イギリスでの初版は1995年。日本語版は新潮社より1999年に刊行され、2003年に文庫化されています。
現在は動画配信サイトでドラマ化されており、大人気のダークファンタジーです。
さて、この巻のお話は……
船上民族ジプシャンや魔女たちの強力により、攫われた子どもたちを救出に向かうライラたち。
しかし、目的地で見たものはあまりにも悲惨な実験だった。
衝撃を受けながらも、ライラは子どもたちを救出し監禁されている叔父を助けようとする。
……
……と、言うのがあらすじ。
物語開始時のライラの年齢が11歳なので、児童小説として書かれたと思いますが展開がかなりハードでダークなので驚きます。
予定調和的展開がひとつもなく、ひとつの事件が終わるたびに「えええ?こういうことだったの?」と仰天する意外な事実が判明し、ページを読む手が止まらなくなります。
人はひとりにつき一体魂でつながったダイモンと呼ばれる守護精霊がいるという設定は物語と世界観の根幹を支えており、ライラの目を通してわかりにくい世界観がわかりやすく表現されています。
「ナルニア国ものがたり」のルーシーはかなりいい子でしたが、このライラは手のつけられない悪ガキです。物語開始時は人格的にも未熟で鼻持ちならないところもありますが、親友たちを助けるために命がけで北の果てに旅する情や根性があります。
「長くつ下のピッピ」のようであり、「トム・ソーヤー」のようでもあり……
けれど、この巻ではライラのそのガキ大将的なところは危機を乗り越えるためにすべて生かされます。
いつも真実を教えてくれる「真理計」、魂の片割れ守護精霊ダイモン、情に篤く戦闘力の高い船上民族ジプシャン、空飛ぶ美しい魔女、圧倒的に強い鎧を着たクマ、美しくもおそろしいコールター夫人……
次々と魅力的な設定やキャラクターが登場します。
この巻で第1部は完結。次のエピソード「神秘の短剣」は、異世界ではなく我々の暮らす現実世界のようです。どんなお話になるのでしょうか。
文章は読みにくくはありませんが漢字が多く振り仮名が少ないので中学生から。おそらく、海外ではライラの年齢的に児童文学として出版されていると思うので、読みやすく振り仮名の多いバージョンがあればいいのにと思います。読むことができるのなら小学校高学年からでも。
「十二国記」や「ハリー・ポッター」、「指輪物語」がお好きな方に。「ナルニア国ものがたり」の結末に納得できなかった方に。
ファンタジーを愛するすべての方におすすめする、本格ファンタジーです。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
子供向けのお話ですが、残酷なシーンはあります。気をつけて書かれていますがショッキングなシーンもあり「そういうお話なのだな」とあらかじめ心の準備をしていれば大丈夫という子にはおすすめです。
非常にハードで、ダークなファンタジーです。
しかし、面白いです。女の子の冒険物語が好きな方にはとくにおすすめです。
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