【ハロウィン】【パンプキン・ムーンシャイン】スローライフのカリスマ、ターシャの絵本【読み聞かせ】【3歳 4歳 5歳 6歳】

2024年2月18日

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パンプキン・ムーンシャイン ターシャ・テューダー/作 内藤里永子/訳  メディアファクトリー

パンプキン・ムーンシャインは、かぼちゃちょうちんのこと。シルヴィー・アンは、ハロウィンのかぼちゃちょうちんをつくるために、かぼちゃをとりにいきますが、かぼちゃはころころころころがって……

この本のイメージ ハロウィン☆☆☆☆☆ かわいい☆☆☆☆☆ かぼちゃ☆☆☆☆☆

パンプキン・ムーンシャイン ターシャ・テューダー/作 内藤里永子/訳  メディアファクトリ

<ターシャ・テューダー>
ターシャ・テューダー(Tasha Tudor、1915年8月28日 – 2008年6月18日)はアメリカの絵本画家・挿絵画家・園芸家(ガーデナー)・人形作家。彼女の絵は「アメリカ人の心を表現する」絵と言われ愛されている。50歳代半ばよりバーモント州の小さな町のはずれで1800年代の農村の生活そのままの自給自足の一人暮らしを始める。彼女の住む広大な庭でのライフスタイルはいまなお多くの人々のあこがれである。

 10月31日はハロウィン。日本では、だいたい1ヶ月前くらいから、ハロウィンシーズンに入ります。デパートやスーパーでもハロウィン関係の商品が並び始める時期になりました。

 ハロウィンの由来は、もともとケルトのお祭り「サムハイン(Samhain)祭」または「サウィン」といって、夏至と冬至のあいだ、つまり、「これからだんだん冬になってゆく日」の感謝収穫祭に起源します。日本でいう秋彼岸に似ています。

 日本だと「あの世」の方々のためにお墓参りをし、お供え物のお下がりとして秋は「おはぎ」をいただきます(春は「ぼたもち」。正体は同じものです)。

 おはぎの材料、「あずき」には魔よけの意味があり、悪霊を退けると考えられています。昔から、お彼岸やお盆には、この世とあの世の境界が薄くなるので、その期間にお墓参りをしたり仏事を行います。でも、その期間は、親しい家族やご先祖様以外にもいろいろいらっしゃってることが多いので、魔よけの菓子を食べる、ってことらしいです。

 さて、ハロウィンも、秋の収穫を祝うためにカボチャを飾ります。このカボチャの中をくりぬき、顔をように切り取って、中にろうそくを入れてランタンにして飾るのが、ならわしです。このランタンが魔よけの効果があるようなのです。
 子どもたちが仮装するのは、魔よけのためらしく、そして、仮装した子どもたちは、近所を訪ねて歩き、お菓子をもらいます。

 ちょっと似ていますね。

 とくに、秋彼岸は、だんだん日が短くなってゆく境目の日です。(おそらく、旧暦と新暦の関係で日にちが離れていますが、本来はだいたい同じような時期に行われていたのではないでしょうか)だんだん陽が短くなってゆく、という事は「太陽の力がだんだん弱くなってゆく」と言うことです。
 古今東西、太陽というのは「神」の象徴なので、「天の力が弱くなってゆく」と解釈されることが多いのです。
 春彼岸から秋彼岸までの、太陽の半年間、たくさんの収穫を支えてくれてありがとう、という感謝の気持ちのお祭りでもあります。これから半年間は、お日様は休息期間に入ります。

 昔から、ケルトと日本は似ていると言われることが多く、小泉八雲など、日本に郷愁を感じ、移住してしまう方もいました。

 ハロウィンなんて西洋の風習にかぶれてなげかわしい、とお考えの方もいると思うのですが、お彼岸と思えば親しみが沸きます。

 あんな西の遠い国の風習がどうして極東の国の風習と似てしまうのか、それは不思議でなりませんが、むかしむかしの大昔に、民族の大移動とか、何かがあったのかもしれません。そう思うと、ロマンがありますよね。(歴史ミステリーがだいすきなので、このあたりに詳しい方に、いろいろと教わってみたいです。)

 さて、本日ご紹介するのは、ターシャ・テューダーの絵本「パンプキン・ムーンシャイン」。
 「パンプキン・ムーンシャイン」とは、別名「ジャック・オ・ランタン」とも言われる、かぼちゃちょうちんのことです。
 小さなシルヴィー・アンが、畑にかぼちゃを取りに行き、それがランタンになるまでの大騒動が、かわいらしく描かれています。

 丘の上の畑からシルヴィー・アンが収穫したのは、大きな大きなかぼちゃ。これが、ころころころがって、やぎを驚かせ、にわとりをおびえさせ、ガチョウを怒らせ、白ペンキを持ったヘメルスカンプさんに体当たりして、家の玄関に衝突して止まります。

 大冒険をして家までたどり着いた大きなかぼちゃは、シルヴィー・アンのおじいさんの手で、無事にかぼちゃちょうちんになりました。めでたし、めでたし。

 というお話。

 幼いシルヴィー・アンがかわいらしく、動物たちも表情豊かに、けれど決してデフォルメされていなくて、リアルなのだけど生き生きと描かれています。

 この絵本の作者、ターシャ・テューダーは、アメリカのバーモント州に1800年代ふうの家と広大な庭を持ち、そこで当時のままの暮らしをしながら絵本作家としての活動を続けました。2008年に92歳で亡くなっています。

 彼女がこの暮らしをはじめたのが、なんと57歳のときで、それからこの人生の大事業をはじめたというのだから驚きです。
 ターシャの人生は、スローライフにあこがれる多くの人に影響を与えました。

 内向的で繊細な人は、自分が世の中にどう適応してゆけばいいのかで悩むことが多いと思います。
 もちろん、必ずしも繊細=正義なのではありません。傷つきやすいけど、対応がうまくなければ人を傷つけてしまうこともあります。誤解やすれ違いが絡み合えば、トラブルになることもあるでしょう。でも、むやみに戦ったり傷つけあったりしないで、ほどよい距離で生きてゆくことができたら、それはどんな人にとっても幸せなはずです。

 ターシャは、広大な庭の中の古風な家で、気の合う人たちだけとゆっくりと生活しながら、かつ、絵本作家として、自分だけの表現手段と外の広い世界へのチャンネルを持つという、内と外とのバランスの取れた生活をしていました。

 彼女の人生は、内向的な人たちの人生へのひとつの最適解のように思えたのです。

 ターシャ・テューダーについては、日本のファンのために「名言集」のようなものもまとめられていて、彼女の庭の写真とともにその言葉のひとつひとつを読むと、疲れたときにはじわじわと励まされます。

 せわしなく生きていると、「幸せ」とか「成功」とかが、世の中が決めたひとつの形しかないような錯覚をおぼえることがありますが、「幸せ」や「成功」には、いろんな形があるのだと、気づかされます。

 ターシャのぬくもりある筆致で描かれる絵本の世界に触れてみてください。

※この本は現在、Amazonでは新品は入手困難です。中古(古書)でお求めになるか、図書館、書店にある場合があるので、お近くの書店の書店員さんにお尋ねください。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 繊細すぎるHSPへの、ひとつの解答を与えてくれるターシャ・テューダーの絵本です。絵を見ているだけで、心が和み、あたたかい気持ちになります。週末、ひとりの時間に読むのもおすすめ。もちろん、読み聞かせにも。あたたかい紅茶とパンプキンパイをご用意くださいね。

商品紹介ページはこちら

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