【もりのとしょかん】ふくろうさんのおうちは本がいっぱいの森の図書館。ほのぼの動物ファンタジー絵本【4歳 5歳 6歳】
ふくろうさんの家は、本がいっぱいです。あるとき、うさぎの子ときつねの子が「本を読みたい」とたずねてきました。最初は、嫌だったふくろうさんですが、ふたりに本をよませてあげているうちに、それが森のうわさとなり……
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 読書の楽しみ方☆☆☆☆☆ 図書館の魅力☆☆☆☆☆
もりのとしょかん ふくざわゆみこ/作 学研
<ふくざわゆみこ>
東京生まれ。絵本作家。主な絵本に「ぎょうれつのできるパンやさん」「ぎょうれつのできるチョコレートやさん」他、ぎょうれつのできるおいしいえほんシリーズ(教育画劇)、「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」「ブルくんとかなちゃん」シリーズ(福音館書店)など多数。
ふくざわゆみこ先生の愛らしい動物ファンタジー絵本、初版は2017年5月です。
おはなしは……
一人暮らしのふくろうさん。杉の木のおうちに住んでいますが、訪ねてくる人はひとりもいません。
ところがある日、森に迷い込んだきつねの子とうさぎの子がやってきました。
ふくろうさんの家は本がいっぱい。絵本が大好きなふたりは、目を輝かせます。
子どもは嫌いだけど、本が好きならわしの仲間じゃと、ふくろうさんは家に入れてあげます。
絵本を夢中で読むこどもたち。
きつねの子とうさぎの子は、ふくろうさんのところへ絵本を読みに通うようになります。
不思議に思った森のどうぶつたちに、「ぼくたち、ふくろうさんの家に本を読みに行くの」と答えたところ、森の動物たちが次々と、本を読みに訪ねてくるようになりました。
やがて……
……というのがあらすじ。
最初は、騒がしくしていた子どもたちを外につまみ出すくらい厳しかったふくろうさんですが、本を読みながらついつい寝てしまうフェレットさんや、大声で音読してしまうきゅうかんちょうさんにも適切で優しい対応ができるようになります。
一人暮らしだったふくろうさんの家は、森のみんなが集まる憩いの場となったのでした。
最初に飛び込んでくる子どもたちが、「きつねの子」と「うさぎの子」と言う、捕食動物と被食動物の組み合わせであることから、この物語の動物たちは比喩であると考えられます。
実際、きつねとうさぎが同じ場所にいたら、うさぎは食べられちゃいますからね。というか、ふくろうも肉食です。あとでフェレットも登場しますし、本来ならこんなところではうさぎは生存できません……
動物ファンタジーは、たいていの場合、そうしたリアリティを抜きにして様々な人間を動物にたとえる、多様性の表現として使われることが多い手法です。本を読みに来る動物たちにはくまもひつじもいますし、それぞれが読書を楽しんでいる絵は「様々な個性をもった人々が、本をきっかけにして幸せに交流する」図をあらわしています。
本がつなぐ憩いの場は、「何か面白いことをしなければ」「なんとか話をつなげなければ」「場を盛り上げなければ」と言うプレッシャーがなく、それぞれが自分の世界を楽しんでいるのでとても気楽な場です。
それぞれが参加したいときに参加して、帰りたいときに帰ればよく、静かにして本を傷つけない散らかさないことさえ気をつければ、誰でも参加できることも魅力です。
この物語でも、目当ての本が絵本でも、お料理の本でも、大人向けの小説でも、生まれも育ちも種族もちがっても、本が好きと言うだけで、森のみんなが集まってきて仲良くしています。
本はひとりで読んでも楽しいし、みんなで読んでも楽しいと言う、素晴らしい人間の発明品。
この夏は、もっともっと本と親しみましょう。
図書館は、いつも素敵な本と出会わせてくれます。
あまりお出かけできない夏ですが、おしゃべり禁止の図書館は飛まつが飛ぶ心配もあまりないし、感染対策もしっかりしていて、クーラーが効いていて涼しいので、お出かけ場所としては最適です。お気に入りの本を探しに、図書館にでかけてみましょう。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はありません。ふくざわ先生のあたたかみのある筆致で森の動物たちが愛らしく描かれています。ふくろうさんの本棚が豪華で美しく、本好きなら絶対憧れてしまうはず。
読後は、ひつじさんのようにカップケーキでお茶にしましょう。
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