【ハンバーグつくろうよ】「魔女の宅急便」の角野栄子の、かわいいおばけと女の子のドタバタコメディ。今度はハンバーグ対決。シリーズ第二巻【角野栄子の小さなおばけシリーズ】【アッチとソッチとドッチ】【小学校低学年以上】
今日は大好きなエッちゃんの誕生日。アッチはおいしいハンバーグを作ろうと思い立ちます。ところが、それをのらねこのボンが聞きつけて、自分も作ると言い出しました。さあ、ハンバーグ対決です。
この本のイメージ おばけ☆☆☆☆☆ ハンバーグ☆☆☆☆☆ ねこ☆☆☆☆☆
ハンバーグつくろうよ 角野栄子/作 佐々木洋子/絵 ポプラ社 角野栄子の小さなおばけシリーズ
<角野栄子>
日本の童話作家、絵本作家、ノンフィクション作家、エッセイスト。日本福祉大学客員教授。代表作は「魔女の宅急便」
<佐々木洋子>
1952年、青森県生まれ。女子美術大学卒業。「小さなおばけ」シリーズ、「ぴょんぴょんえほん」シリーズ(ともにポプラ社)で、角野栄子さんと長年コンビを組んでいる。自作の絵本に、「くまくんのあかちゃんえほん」シリーズ、『おもちおばけ』(ともにポプラ社)などがある。
角野栄子先生のロングセラー、「角野栄子の小さなおばけシリーズ」の第二巻。初版は1979年です。
このシリーズは、一話完結で、どの話から読んでもわかると思いますが、まずはおばけのアッチとエッちゃんの出会いを描いた「スパゲッティがたべたいよう」からお読みになったほうがわかりやすいでしょう。
「スパゲッティがたべたいよう」のレビューはこちら↓
食いしん坊のおばけ、アッチはひょんなことからエッちゃんという女の子と仲良くなり、いままでは人間が作ったごちそうをつまみ喰いする生活だったのが自分でお料理して食べる生活になりました。
お料理をする楽しさを覚えたのです。
今回は、お料理が大好きになったアッチが、大好きなエッちゃんの誕生日にハンバーグを作ってあげようと奮闘するお話。近所ののらねこのボンも参加して、いつのまにかハンバーグ対決をすることになってしまいました。
ハンバーグをこねながら、ボンが不思議な呪文をパテにかけているのを知り、アッチもハンバーグに呪文をかけます。さて、ふたりの作ったハンバーグはうまく焼けるかな。
ボンとアッチは肉を焼けないので、焼くのはエッちゃんにしてもらうことになりました。
エッちゃんがハンバーグを焼くとあら不思議……
……と、いうのがあらすじ。
字はひらがなとカタカナで書かれており、50音が読めればどなたでも読めます。また、字がかなり大きくて読みやすい。絵本を卒業して、少し字の多い物語を読み始めのお子さま向けです。もちろん、読み聞かせもおすすめ。
レベルとしては、「モンスター・ホテル」や「まじょのナニーさん」あたりです。お話は単純で可愛らしく、料理に対して興味がわくように書かれています。
ハンバーグの作り方もうまく文章の中に織り込まれており、そして、レシピはここでも歌われる……。児童文学の世界では、やはりレシピは歌うものなんですね。
でも、幼児って、めちゃくちゃなメロディーで好きな言葉を歌にして歌ったりしますよね。あれだ。小さな子の生活は、もしかしたらミュージカルなのかも。
アッチの作るハンバーグは玉ねぎのみじん切りが入り、つなぎにパン粉と卵が使われていますが、今だと豆腐やオートミールなど、使われるつなぎもさまざまです。工夫してみると楽しいかもしれません。
クッキングファンタジーと言うと「こまったさん」が有名ですが、こまったさんのハンバーグ回は、そんなにレシピが詳しくないんです。アッチのハンバーグは物語本編の文章と、表紙裏の見開きに絵で紹介されていて、わりと詳しい。
つなぎにパン粉やオートミール、卵を使うとふわふわになりますね。わたしは、どっしりハンバーグよりふわふわハンバーグのほうが好きなので、アッチの作るハンバーグは好み。でも、アッチのはへんな呪文が入ってるので、そこはどうかな……。
「こまったさん」の記事でもおいしいハンバーグの作り方のコツを書いてあるので、読んでみてくださいね。こねている間、低温を保持するのがコツみたい。ボウルをよく冷やした金属ボウルにするとか、ちょっとしたことで差が出るようです。
分厚いハンバーグをフライパンで焼くのは難しいので、初心者はオーブンで焼いたりホイル焼きにしたり、煮込みハンバーグにしたりすると失敗が少なくて楽ですよ。
ハンバーグやおにぎりのような「手で整形する過程」のある料理は、慣れていないと形が不ぞろいになってしまいますが、それだけに愛情が伝わりやすいともいいます。
もちろん、衛生面を考えたら、よく手を洗ったり、薄手のビニールてぶくろを使ったりと気をつけないといけない部分はありますし、忙しいときは作れないものですが、それだけに、たまに作ったときのスペシャル感があるもの。
ハンバーグはたねをこねて整形したものを冷凍しておけば、お弁当や忙しいときの夕食にも役立ちます。朝ごはんにハンバーガーにすることもできますし、カレーやスパゲッティに添えたりするととたんにゴージャスになります。
ふだんのおかずを一段豪華にしてくれるハンバーグ。アッチと一緒に歌を歌いながら楽しく作ってくださいね。失敗したハンバーグはミートソースにしたり、ひき肉カレーにリメイクすればおいしくいただけます。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。字が大きくて読みやすく、お料理の楽しさも伝わってくるので、絵本を卒業したばかりのお子さまにおすすめです。
おいしいお料理を心をこめて作ろうと言うお話なので、食育の要素もあります。読後は親子でハンバーグつくりに挑戦してみましょう。
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