【きかせたがりやの魔女】学校には魔女がいる?魔女が話してくれた不思議ストーリー。【小学校高学年以上】

2024年3月30日

広告

きかせたがりやの魔女  岡田淳/作 はたこうしろう/絵 偕成社

たいていの小学校には魔女か魔法使いがいるらしい。これは、魔女に聞いた話だからほんとうだ。ぼくがふつうの小学五年生だと言うなら、あのひとは、ふつうの、定年退職した魔女だった…… 魔女が語る短編集。

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 魔女☆☆☆☆☆ 短編集☆☆☆☆☆

きかせたがりやの魔女  岡田淳/作 はたこうしろう/絵 偕成社

<岡田淳>
日本の児童文学作家。著書「雨やどりはすべり台の下で」で産経児童出版文化賞を、「こそあどの森の物語」で野間児童文芸賞を受賞し国際アンデルセン賞の国際児童図書評議会(IBBY) オナーリストに選ばれた。翻訳家、挿絵・イラスト作家、エッセイストでもある。

<はたこうしろう>
1963年、兵庫県西宮市生まれ。絵本作家、イラストレーター。ブックデザインも数多く手がける

 ハロウィンシーズンなので、魔女のお話をご紹介しています。初版は2016年。

 「こそあどの森」の岡田淳先生がおくる、学校に住みついている魔女や魔法使いの短編を「きかせたがりやの魔女」が語るという枠物語でまとめた短編集です。

 お話は

 ・七月のこと 踊り場の魔女
 ・九月のこと はずかしがりやの魔女
 ・十一月のこと ひげの魔女
 ・一月のこと タワシの魔女
 ・三月のこと しおりの魔法使い
 ・一年あとのこと きかせたがりやの魔女

 の、六本。

 ある日、学校で「魔女」に出会った主人公の男の子が、強引に不思議な話を聞かされるというストーリーです。

 岡田先生は小学校の先生をされていたので、岡田先生の作品に登場する小学生には飾り気のない等身大のリアリティがあります。作られたようなあどけなさや、やんちゃさはなく、真面目なところも不真面目なところもあるふつうの子どもなのです。

 「タワシの魔女」のリミコとシンタの関係は、昔なら男女が逆だったと思いますが、これを逆転させてもリミコがそんなに嫌味に感じられないのがすごい。
 昔よくいたやんちゃな男の子がそのまま女の子になったような、単なるデリカシーのない悪たれ小僧と感じられるように書いているのです。岡田先生の男女感がすがすがしいほどフラットなのがわかります。

 わたしは「はずかしがりやの魔女」の話が好き。こういう、不思議な「気配」って感じることがあります。とくに子どもの頃は。ああ、あるある、と言う感じ。

 「踊り場の魔女」や「ひげの魔女」などは、子どもの頃に「こんなことがあったら楽しいな」と想像するようなゆかいさだし、「しおりの魔法使い」はとぼけたなかに子どもにとって大切なメッセージが入っています。

 まさに、小学校高学年の、もうすぐ中学生になるぞというくらいの年齢の等身大の瑞々しさがあるのです。
 おそらく、その年齢くらいのお子さまが読めば、「どの学校にも魔女か魔法使いがいる」と言う設定に臨場感を感じ、毎日が不思議に満ちたわくわくしたものになるに違いありません。

 すべての漢字に振り仮名があるわけではないので、ひとり読みならば小学校高学年から。けれど、読み聞かせなら小学校低学年から。

 短編集なので読みやすく、忙しいお子さまや読書慣れてしていないお子さまも少しずつ読みすすめることができます。「魔女が聞かせる」と言う形式で書かれているので、読み聞かせにもぴったり。大人が読んでもファンタジー短編集として楽しめます。

 ほぼ毎ページにはたこうしろう先生のかわいくてとぼけた絵が入っていて、それも魅力。きかせたがりやの魔女は美人だし、小さな魔女はかわいいのです。

 この季節にぴったりのファンタジー。読むときは、部屋のカーテンを閉めて100円ショップで売っているLEDランプをつけて読むと雰囲気たっぷりですよ。

※この本には電子書籍もあります。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はありません。日常の中に魔女や魔法使いが潜む、コミカルなファンタジーです。
 ごくふつうの日常が楽しくなりそうな、ちょっとしたことのなかにゆかいな不思議を発見できそうなお話の短編集です。

 読後は魔女のようにハーブティーでティータイムを。

 

商品紹介ページはこちら

 

 

お気に入り登録をしてくださればうれしいです。また遊びに来てくださいね。
応援してくださると励みになります。

にほんブログ村 本ブログへ

広告